真夜中のさそり星
空には青白く 星が輝いております
今なお 命を燃やして 黒画用紙に点を打ったような炎が
ごうごうと音を立てます
あの星は一所懸命に生きています
ただあるように 今だけを
あの赤いのは さそりの心臓でしょうか
子どものとき 光の絶えた南国で 眼前に広がった
あの雄々しいさそりでしょうか
(たとえそうでないとしても)
わたしはその並びに 思い出を重ねるのです
頭に水を打ったような星を抱えて
すらりとしたしっぽが 星を斜めに横断します
その星の周りにも 小さい青い日はいっぱいに燃えて
しらしらと 音を立てるのでした
輝くものが こすれ くだける音です
あれのいくつかは 人工衛星でしょうか
いいえ いいえ
少しも関係ありません
(たとえそうだとしても)
空でも地でも燃える火に かげりなど見られません
空の美しさは 消えてなくなったりはしません
星のマントに覆われて 命はみんな眠ります
自然の中で 空を見上げるとき
機械仕掛けの世界に生まれたわたしは 息をします
真夜中の清廉で 息をします
むかし、うたって、いたこと 一華凛≒フェヌグリーク @suzumegi
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