祈り
午後のミズ
祈り
この時間が永遠に続きますように。
ボクはいつも寝る前にそうやって祈る。隣で眠る彼の顔を見ながら。
ボクの名前は
そして、ボクも彼も“男”だ。男同士だけど、お互いのことが好きで付き合って、同棲している。
彼はちゃんとした男だけど、ボクの身体は“男”でも、心は壊れちゃってもう“男”なのかどうかも分からない。男のこと好きだし。
それでもお互いが同意の上で好きだし、同棲できてるから十分幸せなの。
お互い社会人として働いて、それなりに安定した暮らしをしている。
でも、夜中に突然、死んだらどうなるのかと怖くなることがある。前は独りでベットにいることが凄く怖かった。でも、同棲を始めて隣に飛鳥がいるだけで怖くても大丈夫になった。どうしてなんだろうってしばらく不思議だったけど、きっとこれが好きってことなのかなって思った。
25年も生きていると突然の不幸にも見舞われることもある。でも、それを乗り越えてきたから生きてるし、今の幸せを手放したくない。いつこの幸せが崩れてしまうのか毎日びくびくして生きてる。
でも、隣に愛する人がいれば毎日が幸せ。
ボクに起こった不幸な話をしようと思う。これは今が幸せだから語れる話だ。そうじゃなきゃ恐怖にぺちゃんこに潰されて話すことなんてできなかっただろう。
それは私が大学生になった時から始まる。
ボクは当時、17歳の初心な大学1年生だった。彼女を作って楽しいキャンパスライフを送れるものだと信じて疑わなかった。その為にできるだけ明るく楽しいサークルに入ることにした。入学してすぐにあるサークル勧誘で一番人気がある様子だった軽音サークルに入った。そこで少しやんちゃ目な友人が何人かできて、そいつらと過ごすようになった。しばらくしてギターも少しづつ上手くなり楽しくなっていき、彼女も友達の紹介でできた。
でも、彼女がはじめてできて嬉しかったが違和感を感じ始めた。
それは、2人きりの時、デートに行く時、ベットの中で……。
どんどん時間が経つにつれてどんどん違和感は膨れ上がっていった。
ある時、他校の大学生達と合コンをした。彼女がいる身だが、人数合わせのために誘われたのだ。そこでボクは運命の出会いをしてしまった。それがすべての元凶だった。
ボクは他校のある一人の
程なくして彼はボクを振った。「だって男と付き合うなんておかしいから、俺も変な奴だって思われたくないし」
だそうだ。
しばらくの間、放心状態でサークルに参加した。そして、彼はこの話を誰かに言ったのだろう。サークルの中でもボクのことを嫌煙したり、ホモだとか言うような奴もいてどんどん居場所がなくなっていった。
しばらくして、サークルには行かなくなった。
でも、その後で飛鳥に出会った。飛鳥は同じサークルだったけど、人付き合いが苦手でいつも1人だった。サークルでは知り合いぐらいの関係だったけど、飛鳥は1人のボクに声をかけてくれた。
理由は話してくれない。
だんだん仲良くなってボクはずっと告白したかったけど、前みたいになるのがすごく怖くて、一歩が踏み出せなかった。
でも、飛鳥から告白してくれた。ボクのことがずっと気になってたって言ってくれた。好きだって言ってくれた。こんなボクを受け入れてくれた。
それからボクたちは一緒に暮らすようになった。飛鳥はボクと24時間一緒にいられるようになるっていうのがすごく嬉しそうだった。まるで犬みたいだった。しっぽがあったらすごい勢いで振っていそうだった。
普段は寡黙で切れ長の目と相まって怒ってるのかって思ってたけど、彼は表情を作るのが下手みたいだった。それでも一緒にいるようになって雰囲気や表情があることに気づいた。そんなところがかわいいしもっと好きになった。ボクは好きな人にはすごくベタベタするし、依存しちゃうけど、それでも受け止めてくれる。
だから、飛鳥とボクはずっと一緒に居たい。まだこれからどうするのかわからないけど、ずっと一緒にいられるようにボクは祈る。
祈り 午後のミズ @yuki_white
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