概要
古典的作風。「鵺を描く」とは何か。ホラー・純文学・創作論・禅・統失。
禅僧の悟省は絵が得意である。天狗になる悟省に禅師は修行として鵺(ぬえ)という化け物を描くように言いつける。次第に絵にのめり込み、鵺に魅入られていく悟省に狂気が忍びよりはじめる。悟省にとって上達とはなにか。真に書きたいものはなんであったか。悟りとはなにか?
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- ★★★ Excellent!!!答えは自分の中にある。
【物語は】
ある若い層が、自由闊達に描いた絵を高値で買う者が現れたことにより、天狗になる堕落し、禅師に悟省と改名するように言われるところから展開されていく。この物語で重要なのは”顧みる”ではなく”省みる”というところにあり、二つの違いは”顧みる”とは思いめぐらすなどどちらかと言うと、回想などの記憶に対しての意味合いがあるものであり、それに対して”省みる”とは、自分自身と向き合い、己の行いを振り返る、反省するなどの意味合いを持つものだと思われる。すなわち”省みる”ところから”悟”までが描かれているのではないかと解釈した。
【物語の魅力】
物語に惹きこんでいく文体、表現、言葉選び展開、構成に至…続きを読む