必要

柚希藍里

ゼロ話

芯の折れた鉛筆、1本しかない箸、

満たされているゴミ袋、針の無い時計。

必要なのは……きっと全て不必要だ、

普通なら有無も言わず捨ててしまうだろう。



すぐ崩れる決意、泣き虫な僕、

上辺だけの関係、利用されるだけの君

……必要なものなんてないだろう?

みんなの前では綺麗事を言っている僕も

みんなに必要とされたい、求められたい僕も

必要ないんだ。

だからといって他人に僕の

人生を決める権利なんて与えない。

僕が僕を必要としている限りは

ここに居ていい理由にだってなるはずだ。

「****何言ってるのさ。」

【僕を必要とする人なんて】

「【僕を含めて誰もいないじゃないか。】」

そう一言告げると体が羽のように軽くなり、

辺りは悲鳴に包まれた。

【あぁ、なんて心地いいんだろう。】

「僕は僕のために僕という存在を消した」

「【ここが僕の物語の出発点。】」

体から流れる生暖かい液体が、

僕を祝福した。


結局、僕らは……僕は

最後まで独りだ。



-おめでとう-そう誰かが呟いた。


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必要 柚希藍里 @yuzuki00

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