必要
柚希藍里
ゼロ話
芯の折れた鉛筆、1本しかない箸、
満たされているゴミ袋、針の無い時計。
必要なのは……きっと全て不必要だ、
普通なら有無も言わず捨ててしまうだろう。
すぐ崩れる決意、泣き虫な僕、
上辺だけの関係、利用されるだけの君
……必要なものなんてないだろう?
みんなの前では綺麗事を言っている僕も
みんなに必要とされたい、求められたい僕も
必要ないんだ。
だからといって他人に僕の
人生を決める権利なんて与えない。
僕が僕を必要としている限りは
ここに居ていい理由にだってなるはずだ。
「****何言ってるのさ。」
【僕を必要とする人なんて】
「【僕を含めて誰もいないじゃないか。】」
そう一言告げると体が羽のように軽くなり、
辺りは悲鳴に包まれた。
【あぁ、なんて心地いいんだろう。】
「僕は僕のために僕という存在を消した」
「【ここが僕の物語の出発点。】」
体から流れる生暖かい液体が、
僕を祝福した。
結局、僕らは……僕は
最後まで独りだ。
-おめでとう-そう誰かが呟いた。
必要 柚希藍里 @yuzuki00
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます