第5話

仕事をしながらでも、あの声が今にも聞こえてきそうな気がして、落ち着かなかった。


それほどまでに私の耳に残っていたのだ。


その日は少し残業をして帰ったが、声が聞こえることはなかった。



夜、ベッドの中で再びあの声について思いを巡らせた。


今のところは何もない。


だったな何故先輩は会社に来なくなってしまったのだろうか。


そんなことを考えているうちに、いつの間にか眠りについた。



目覚ましが鳴る。


私はベッドで上半身を起こした。


そしてベッドからおりようとした時に、聞こえてきた。


「く・る・し・い」


あのホテルで聞いたのと同じ声だ。


そして何かが私の肩と背中に乗ってきた。


感触は人間の女性。


首だけで振り返ったが、何も見ることはできなかった。


重い。とてつもなく重い。


私は上半身を起こした状態で動けなくなってしまった。


するとまた聞こえた。


「く・る・し・い」



       終

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格安のホテルにて ツヨシ @kunkunkonkon

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