第4話

その声はそう言っていた。


低いが若い女の声に聞こえた。


そんなに大きな声ではなかったが、私の耳にはっきりと残った。


――!?


目を開けて周りを見渡した。


がスタンドのわずかな明かりだけでは、部屋全体を見ることができなかった。


部屋の灯りをつけようかとも思ったが、怖くてその場から動けなかった。


するとまた聞こえてきた。


「く・る・し・い」


私は何も聞こえないふりをして、布団をかぶった。


空耳だ、気のせいだと自分に言い聞かせながら。


気がつくと朝になっていた。


いつの間にか寝てしまっていたようだ。


ホテルを出てそのまま工場に向かった。


そしてなんとか改善策をしぼりだし、昼には仕事を終えて急行で家に帰った。



その夜、私は考えた。


あの声は一体何だったのだろうか。


そして先輩の言っていた「気をつけろ」とはあの声のことだったのだろうか。


考えたがわからず、無理やり眠りについた。



次の日、改善策を会社に提出し、その後は通常業務に戻った。

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