ひとり
フラワー
忘れてしまいたい
食事の雰囲気はシーツの上。赤い滴りと優しい気持ちが、肉の中で混ざっていた。
鮮やかな塊が切り取られると、涙を流す人の思いが伝わって、鼻の奥をくすぐった。
晩餐は最後になると、声は途絶えて悲しさが込み上げてくる。優しかった味は、悲しい味に変わってしまう。
涙を食べた夜のベッドは、星の色まで染まった月に満たされて、まだ滴り落ちて匂いがした。
布の繊維が閉じ込めた声の飲み物は、四角くて美味しい味がする。愛おしくて噛みきれそうな液体は、舌の上でざらつくと飲み込まれていって、何も分からなくなる。
一つにしてしまった月の隙間に、靴だけが残されたまま。
夜の底。動かない私。食べ物の夢。
ひとり フラワー @garo5
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