第7話 〜熱伝導率〜
熱い味噌汁を飲んで、不思議に思いませんか。
なぜ、下唇に触れるお椀は、味噌汁と同じ温度になって、熱くて触れないということにならないのでしょうか。
それは、味噌汁の熱がお椀全体に伝わらないからです。例えば、金属のボウルに熱湯を入れたら、熱くて触ることができません。不用意に触ったら、間違いなく火傷をしてしまいます。これは、熱湯の熱が、素早くボウルに伝わったからです。このような熱の移動を「熱伝導」といいます。
お椀は木材やプラスチックでできています。それに漆やウレタンによる塗装がしてあります。これらの素材は、金属と違って、熱を伝えにくい性質を持っています。特に木材の場合、木はもともと生きていた植物ですから、「細胞」からできています。切られて乾燥した木材は、元の細胞が作った微細な小部屋のような「細胞壁」による構造がそのままの形で残っていますので、大量の空気を含んだままとなっています。いわば、乾燥したスポンジのような状態です。したがって、その空気の小部屋の一つ一つを温めて熱を伝えなければ、お椀の表面までは熱くならないのです。これに時間がかかることは、想像できることでしょう。
このように、物質によって熱の伝わり方は異なりますし、その熱の移動のしやすさを「熱伝導率」といいます。
ダイヤモンドは飛び抜けて熱伝導率が高く、ガラスの1000倍も熱を伝えます。なので、ダイヤモンドが本物かを見分けるのに、この性質を使うことがあります。
また、そのガラスに比べて、木材は5分の1しか熱を伝えません。したがって、木のお椀の中の味噌汁は、冷めにくく、かつ火傷の心配なく安心してお椀を持てるという利点があるのです。
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