僕たちに残された時間のわずかさについて―あるいはハートレス

つちやすばる

僕たちに残された時間のわずかさについて―あるいはハートレス



 たとえようもないことを、いつまでも言っていても仕方がない。そうでなかったのなら、もしそうであるのなら、過去において未来においてあるいは…。そんなことは捨てておきたまえ。

 さて、これからきみに打ち明けることの一切は、一度耳に入れたら、さっさと忘れてしまっても構わない。僕や君にどれだけの値打ちがあるのかは、神様だけがご存じだけれど、僕の話というのは、どう考えたって、二束三文の価値だからだ。まあ、いわゆる無駄話というわけだね。そんなふうだから、いつまでも続けてしまうわけだけど…。

 いや、これからのことを話すのに、これだけうってつけのやりかたもないという気も、僕にはするんだ。なんだか真面目くさった気持ちにもなってきちゃったし、未来の計画とか展望とかそういう青臭いものの全部、ゴミ箱にすぐさまほおりたいところだけど、時間というものの性質上、それらのものから逃れられないのも確かだ。ああ、ごめん。つまり、議論したり説明したり、解釈したり、言葉にする必要が、僕らにはいまある、というわけ。まったく、こればっかりは、逃れようがないんだから。










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