第82話 おみくじ

 近くの神社に着いて一通りお参りを済ますと、そこから親達とは別行動になった。つまり俺は結と柚と一緒になる。

 ちなみに並びは、柚、結、俺だ。どこぞのハーレムみたいに俺が真ん中で挟まれる形ではない。結がそれを許さない。


「晃太さん、おみくじ引きましょう。おみくじ!」

「ん? そうだな。行くか」


 結が「着慣れない物だと転んじゃいますし、迷子になっちゃいますから」と言って組んだままの俺の腕を引っ張る。

 その後ろで柚が「私も着慣れてないんですけど。迷子になっちゃうんですけど。子、って歳でもないんですけどね……。うぅ、なんで私はこっちに来たのよ……。こうなることは目に見えてたのにっ!」なんてボソボソと呟いていた。

 ……お、俺は悪くないぞ?


 そして人だかりをかき分けておみくじ売り場に着き、三人それぞれにくじを選んで人がいない場所まで行くと中身を見る。


「わぁ! ねぇ晃太さん見てください! 私大吉です! やった! しかも恋愛運なんて、〖幸せが舞い込む〗って!」

「おっ、良かったじゃん。つーか幸せが舞い込むって何が舞い込むんだ?」

「えぇ〜、それはきっと二人の愛の結晶が……」

「やめなさいっ!」


 真っ昼間から何を言い出すのこの子は! 近くに柚もいるってのに!

 そしてその柚なんだが……


「さって、私のはどうかな〜? ……吉ね。吉よ。吉だわ」

「お、おう。吉か。まぁ、可もなく不可もなくでいいんじゃないか? 他にはなんて書いてある?」

「……仕事運、現状維持。金運、買う物はよく吟味する事。健康運、サプリ等に頼らないように。恋愛運、すぐ側に運命の人あり、チャンスを逃さないように。逃した場合諦めが肝心。……よし、ちょっとこのおみくじ作った奴出てきなさい。何? 私の事を見てきたかのように書いてあるじゃないのよ!」


 なんも言えねぇ……。


「え、えっと……そうだ! 晃太さんはなんて書いてありました?」


 ナイス結! そのスルーの仕方はさすが妹!


「お、おう! そうだな、俺のは……末吉か。なんというか……オチがつかんな」


 俺のおみくじは末吉だった。こういう時って普通大凶とかなんじゃないのか!? いや、まぁいいんだけどさ。そして恋愛運の所に書いてあったのは……


「「決断の年。複数の異性から好意を向けられるが、優柔不断は禁物。今の相手でいいのかよく吟味する事……」」

「だってよ、晃太。ほんとに結でいいのかな?」

「だそうですよ? 晃太さん、もちろん私以外ありえませんよね?」


 お前らハモんなよ。後なんなんだその目は。柚は期待に満ちた目をするな。結はハイライト消すな。後、背後のオーラをどうにかしてくれ。


 え? 俺、今年なにがあんの? あんまりおみくじとか占いとか信じる方じゃないけど、不穏すぎるんだが?

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