第75話 さらけ出すにも程がある

 今は昼休み。俺はいつも通りに用務員倉庫で昼食中だ。ただ、今日はいつもと違う。


「用務員さんも結ちゃんもおめでとうございまぁ~す♪」

「へへへ♪ 和華ちゃんありがとぉ~♪ やっと想いが通じたよぉ!」

「……なんで? なんで水上がここにいるんだ?」


 俺が机の上で結の作った弁当を食べ、結と水上はソファーで仲睦まじくお喋りしながら食べている。


「なんでって……。もちろん結ちゃんの為ですよ? ここに結ちゃんが一人で来てるのを見られたら、変な噂が立っちゃうかもしれないじゃないですか? だけどあたしと一緒に来れば、ちょっと押しかけてる美少女二人って感じで誤魔化せるので!」

「「ねー!」」


 ねー! じゃないだろ。

 どっちにしろ女子生徒が来てるって時点でどう見られるかわかったもんじゃない。秋沢もよく来てたから今更だな。


「ん、まぁ、もう好きにしてくれ……」

「じゃあじゃあ! どうなんですか!? 同居から恋人になって同棲に変わるのって!」

「んなっ!? なんでそんな事を言わなきゃなんないんだ!?」


 おぉいっ! なんの脈絡もなく聞いてきたなぁ! そんなの答えれるわけないだろ!?


「今日はキスして起こしたんです。ね? 晃太さん♪」

「うわぁお! モーニングコールならぬモーニングコールキスってやつ!?」

「一回で起きなかったので、スヌーズキス付きです♪」


 こ、答えてるぅぅぅ!!!


「いや、ちょっと結さん? なんでそんな普通に言っちゃってるわけ?」

「和華ちゃんには今まで色々相談にのって貰っていたので、ほとんど全部知ってるんですよ~」

「……え? 全部?」

「はいっ! 聞いてますよ! あたしと色違いで買ったスケスケネグリジェで結ちゃんが迫った事も! ちなみに私のは薄い黄色で、それを着ると全部スッケスケです! 丸出しです! まぁ、結ちゃんみたいにおっぱい大きくないので起伏には乏しいんですけどね! スットーンですよ! スットーン!」


 ほう、黄色とな? ってそうじゃない! この子の羞恥心どこ行ったの!?

 そして結はなんでそんな事まで言ってんだよぉ!? 教えるにしても、限度ってモノがあるでしょうが!


「ちょっと和華ちゃん!」


 おっ、そうだそうだ。少し怒った方がいい。知ってても口に出さない方がいい事もあるからな。おかげで俺のメンタルはイエローゾーンに突入しそうだ。


「ど、どうしたの? そんなに大きな声上げて」

「和華ちゃんのネグリジェの色とか胸のサイズは言わなくていいの! 晃太さんが想像しちゃったら……私嫌だもん……。和華ちゃんも可愛いから……」

「結ちゃん……も~う! やきもち焼いてるの可愛いっ! 大丈夫だよ! あたしは用務員さんに全然ちっともこれっぽっちも興味ないから!」


 そんな事を言いながら結に抱きつく水上。確かにヤキモチ結は可愛い。ちょっと俺も抱きしめたくなったから間に……いかんいかん。これは邪魔しちゃいけない空間だ。


「むうぅ~~! それはそれでなんだか……晃太さんこんなにカッコイイのに……」

「それは恋する乙女フィルターだねっ!」


 この子、割りとハッキリ言うのね。まぁいいんだけどさ。

 あ、俺のメンタルがレッドゾーンに……。

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