閑話3ー1 【柚の恋と決断】
晃太がこっちに帰ってくるってお母さんから聞いた時、なんで私が知らないことをお母さんが知ってるの?って思った。いつも何かあれば私の所に連絡が来てたから。
彼女ができたとか、地元に戻ってくる時とか。
まぁ、ここ最近は全然連絡をとってなかったんだけど……。まぁ、ただのくだらない嫉妬。
そして戻ってくる理由を聞いたとき、可哀想とかよりも嬉しい気持ちが勝ってしまったのは誰にも言えない。一緒に住んでる結に「おねぇちゃん、ニヤニヤしたり真顔になったり繰り返してるけど、どうしたの?」って言われたけど。
はぁ……今更こんな気持ちになるなんて……。
我ながらひきずってるなぁ。もう何年前になるのよ!
いや、違うのよ! 大学の時も働くようになってからも、何度か告白されたり合コンとかで彼氏が出来そうな時はあったのよ。
もう昔の事は振り切って新しい恋にっ!って思ったりもしたの!
自分で言うのもアレだけど、結構モテるんだから! 結と違って胸は無いけど……。
そしてそーゆー時に限っていいタイミングで晃太からメッセが来たりするのよ! なんなの!? おかげでその事で頭がいっぱいになっちゃって何も進展しなかったわよ。そのくせ自分はちゃっかり彼女作ったりしてさぁ……。
わざわざ恋人出来た報告しなくてもいいじゃない。その夜は泣いたわよ。あほー!
そりゃ確かに友達のままでって名目で別れたけどさ……。もうちょっとこう……ねぇ? いや、そういうところも好きだったんだけど……はぁ。
私と晃太は恋人同士だった。
とは言っても付き合ってた期間は高校三年の時の半年くらいと短く、付き合ってた事はお互いの親ですら知らない。知ってるのはお互いの友人の隼人君と比奈くらいだったと思う。
告白は私からした。告白っていう告白じゃないんだけどね。
ちょうど晃太の部屋に遊びに行ってお互いに本を読んでる時、いつも一緒にいるからなんとなく……って感じで内心ドキドキで「ねぇ、このマンガみたいに私達もためしに付き合ってみる?」って言ってみたら、漫画読みながら「ん〜いいぞ」だって。
もうちょっとなんかあってもいいんじゃないかなぁ? って思ったけど、それでも私は凄く嬉しかった。だって十年近く昔からずっとずーっと好きだったから。
はっきり言うと、付き合ってからも私達の関係はいつも通りであまり変わらなかった。
それが変わったのは付き合って少し経ってからかな。とある週末に晃太の部屋に誘われた日。
もしかして!? と思ってソワソワして、新しいリップも買って下着も新しくして遊びに行ったの。
な・の・に! 特に何もないままいつも通りにゲームしたり雑談したりしてるうちに時間は過ぎていく。
一言話し掛けられる度に、いちいち反応してた私の気持ちはどうしてくれるの!?
そう思った時にはもう晃太にしがみついていた。
驚いた顔をした晃太が一言。
「なんとなくタイミングが掴めなかったんだが……いいんだな?」
その問いに対して小さく頷くと、私と晃太の唇が触れた……。
晃太と結ばれた後はまさに幸せの絶頂って言ってもいいかもしれない。そのくらいにはしゃいでいた。何を食べてもおいしくて何をしてても楽しい♪ ただの友達で幼馴染みだけの関係だった頃は、こんな風になるなんて想像もしてなかった。
けど、だんだんその幸せと同じくらいの不安が襲ってくる。
他の女の子と話してるだけでもイライラしてしょうがない。それが私の友達の比奈と話していても。
帰り道で別れる時は泣きたくなるし、家に帰ってからもメッセの返事が来ないだけで恐くなる。
そんな日々を繰り返してる内に私は私の事がイヤになってきて、この後数年に渡って後悔する決断をしてしまった。
━━いつも読んでくれてありがとうございます。
面白いよ! もっと読みたいよ!って思っていただけましたら幸いです。
ブクマ、コメント付き⭐レビュー、☆評価、応援、感想など貰えると執筆の励みになります。
すいません。現在、発熱と体調不良により明日の更新が出来るかわからないです。
なるべく早く復調できるようがんばります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます