第3話 小学校卒業

 小学校5年になると、前学年の担任とのギャップのおかげで学年があれ切ってしまっていたため、いじめも蔓延し、不登校もふえていた。

 そんな時、私は全く変わらず精神が子供のまま、且つ、空気も読めなかったので言わずもがな、いじめの対象となっていた。ぼーっとしてすごしていたため気づきはしなかった。机の中にごみを入れられたり、モノを捨てられたりしていたようだ。大人になってから当時の友達に言われて知ったのだが。


 また、母がおかしくなったのもこの頃だった。

 怒った拍子にものが飛んできたり、家を出されたり、ご飯を抜かれる等ざらだった。お風呂も入る権利をくれず、そのまま学校にいっていた。

 しかし、父が母を止めてくれていたのでけがをするほどではなかった。


 いじめを自覚したのはこの学年の後半だった。校外活動の班決めでは罰ゲーム扱いにされたり、大事にしていたコートを壊されたのが決め手だった。

 教室でクラスメイトとすれ違っただけで悲鳴を上げられたのは本当にこたえた。


 しかし、大人を信用できなくなっていたので誰にも相談することはなかったし、誰にも打ち明けたことはない。




 ***



 そして六年生になった。

 状況も変わらず、担任も変わらなかったことで救われることはなかった。


 いじめはヒートアップした。私に人をぶつけ菌がついたなどと言っていたことが日常だった。階段で間接的につきとばされたりもした。クラス中、先生も含めたシカトは悲しかった。


 不登校になりたくても、家庭環境は変わらず、熱があろうとも学校を休むことも出きなかった。一度嘔吐をして早退せざるを得ないことがあったが、半年以上嫌味を言われ続けた。


 そんな地獄のような日々の中にもすくいはあった。親友や幼馴染X君がすきを見て会話してくれた。いじめをとめるとかそんなものではなかったけど、日常会話をしてくれるだけでうれしかった。

 また、伝説になるアイドルグループのファンになり毎日母の目を盗んでは曲を聴いていた。

 それだけが私の生きる糧だった。


 そんな生活をしている中で、私は気づいた。

『いじめをしている、虐待をしている人などド底辺の人間ではないか』

 と。そんなド底辺とは一緒になりたくない。頭が弱いからそんなド底辺に

 なるのであろう。

 なら、周りを置いていくくらいに勉強してやる。今は向こうが上かもしれないが、長い人生だ。私のほうが素晴らしい人生を送ってやろうじゃないか。


 この学年の後半からすごく勉強に打ち込むようになった。勉強していても環境は変わらない、しかし目標ができたら他の事なんか気にならなかった。


 そうして、ひねくれた動機のまま勉強に明け暮れ、小学校を卒業した。



 ***



 小学校卒業後の春休み。


 その日の勉強も終わった私は空を眺めていた。そして考え事をしていた。

『他人を変えるのは難しい。しかし自分を変えることで生きやすくなるのではないか。』


 この考えは今後の人生において重要なものとなるのだった。

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