13話

 娘は、ただただ祈り続けた。

 至上の玉座。その椅子に、悠然と腰掛ける男へ跪き、心の底から忠誠と愛を捧げている。

 毎日、朝晩の祈りを欠かさない。


人は問う。

「何をそこまで祈るのか」

彼女は言う。

「神様へ感謝し、忠誠を誓っています」


 娘の澄んだ眼差しに、嘘は見当たらない。


人は問う。

「なぜ、そんなに祈るのか」

彼女は言う。

「自己満足です。神様に、私の全てをお伝えしたいのです」


 本当に満足そうに、娘の口角が上がっている。


人は問う。

「それであなたは幸せなのか」

彼女は言う。

「これ以上の幸福はありません」


 頬を赤らめ、恍惚の表情で、娘は言い切った。



―完―

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神の花嫁は悪魔の奴隷 渡瀬 富文 @tofumi

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