夜息

桜咲つな

第1話 ネオン

 夜のスーパーマーケットの最上階の広い空間。円形の広間と、そこから一本の通路が生えた、アルファベットのQの様な形の空間。

 若い人達がたむろしていた。

 ダブルダッチをしている人やタバコを吸っている人。お酒を飲んでいる人やスケボをしている人がいる。

 俺は未成年で、タバコを吸っている。

 この空間は、未成年で飲酒をしたり、タバコを吸ったり、バイクに乗ったり、そんな人達がたむろする場所だ。もちろん成人している人もいるが。

 俺はQの棒の端っこの方で座り込んでいる。

 俺がタバコを吸っていることを知らない友人に電話をかけていた。

 自販機などをウロウロして食べ物や飲み物を探す。

 自販機と言っても、鍵が開けられ、全部好きなように食べられる。金なんか持っていない。

 誰が補充してるか? 知らなくていいよそんなこと。

 友人には散歩をしていると言った。

 食ったり、ぶらつきながら雑談をする。

 その時、Qの中央に積まれた机のタワーの上で座っている女性と何度か目が合う。

 しばらくして友達が寝るそうなので、通話を切り、一人でフラフラしている。

 お菓子も食い終わり、小腹が満たされた。

 フラフラとガラスの扉からテラスへ出る。

 その時、机のタワーの方を見ると、女の子はいなくなっていた。

 何も気にせず、テラスへ出る。


 そこにはタワーの上にいた女の子がいた。

 手すりに寄りかかり、タバコを吸っている。

 女の子は振り返り、俺に気づく。

 俺は穏やかに会釈する。

 女の子の横にいく。

 隣いいですか?

 俺もタバコを吸う。

 それ、なんてタバコ?

 女の子に聞かれる。

 JPS

 へー、一口ちょうだいよ

 無意識に、持っていた吸いかけのタバコを差し出した。

 女の子はありがとって言って俺の持っていたタバコを一口吸う。

 むせる女の子。

 これ何ミリ?少し苦しそうにこちらを見る。

 12ミリ

 重いの吸うんだ。

 うん

 私のも吸う?

 一口もらう

 アイスブラスト

 それに比べると軽いでしょ、アイスブラスト

 吸った感じがしなかった

 メンソールっぽいの吸ったことなかったんだよね

 キミ、未成年だよね?

 うんそうだよ

 笑ってしまった。

 俺もだよ

 女の子は驚いていた。

 絶対20超えてると思ってた!

 よく言われるよ。見た目だけ

 タバコと酒は?

 未成年から

 気が合うね

 二人で小さく笑いあった。


 俺、この場所くるの、初めてなんだよね

 私はもう2年は経つかな

 中を見ると、若者がたむろしている。

 ここ、いいな

 だよね

 女の子が近くのベンチに座る。

 俺は横で立っている。

 なんというか、落ち着く、しがらみとか、なにもとらわれて無さそうで。

 いいよね、この場所

 みんなの帰る場所

 俺はまた、タバコを吸う

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夜息 桜咲つな @ssktuna

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