第2話 始まりの紫電(2)
戦闘中の事はあまりよく覚えていない。
何回も何回も切りつけ、防がれ切りつけられ、防ぎ転がりと打ち合って気がついたら貴族サマも同僚も逃げていたらしい、薄情すぎる。
ガキンッ!!
『いいぞ小僧、まだまだ粗いが実に見事に剣よ!!』
ギィンッ!!
「お褒めいただき恭え…つッ!!」
ガキンッギィンッ!!ジャリィンッ!!
兵士に貸し与えられてるサーベルも打ち合いに刃が変形したのか変な音が聞こえはじめた、そろそろヤバい、マトモに一撃すらも入っていないのに。
ギィンッ!!
リビングアーマーが距離をとった。
「ハッ…ハッ…ハッ…」
息が苦しい。
『いいぞ小僧、もはや亡くした心の臓が踊る、燃えるように!!』
「ハッ…ハァ…燃えるのは魂…らしいから…心の臓があるか…どうかは…関係…無いかも…」
誰かそんな事を言ってた気がする、覚えてはいない僕の記憶の中で。
『実にいい…小僧、名はなんという?』
「僕は…ロゥです。兵士のロゥ」
素直に名乗った。
この『ヒト』は間違いなく過去に生きた武人だ、今までの打ち合いでは確実に手加減されていた、まるで稽古であるかのように。
『ではロゥよ、この技を受けきってみよ』
『彼』は構えた。
その構えで何をするのかも解った。
「フーッ…」
息をととのえ同じ構えをとった。
練習では何度か成功している技だ、出来ない技ではない。
『面白い…防ぎきれればいいモノをやろう、いくぞ』
構えから大きく振りかぶって───
『「破空閃ッ!!」』
斬撃が剣から飛び、放たれた。
同時に──
バキンッ!!
僕のサーベルが折れた。
ぶつかり合った斬撃は拮抗し、消えた──が、僕の意識もそこで途絶えた。
紫×紅-VIOLET×VERMILLION- 不破三月 @fuwamitsuki
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