最近の更新(未分類)

〔3:7:1 / 16分〕おめざめキッス☆大作戦

◆ あらすじ :

 眠り続ける青バラ姫を起こすため、新たな王子がやってきた!


◇ キャスト :男3、女7、他1

◇ 目安時間 :3分、約900字


【今作OK!】

・ キャストの兼任。

・ 演者とキャストの性別不一致。

(コメディーなので気にせずどうぞ。特に小人)

・ 語り部の演じ方、アレンジ自由。

(例:朗読として淡々と読む。実況風に読む)


◆ 使用条件は作品トップのとおり。



【 キャスト詳細 】

★魔法使い (♂):美しいものを愛でる組織の構成員

☆青バラ姫 (♀):寝顔は天使なガサツ女子

★イア王子 (♂):やられ芸のモブ

○小人A (♀):おっとりお嬢様。丁寧語。

○小人B (♀):ボーイッシュ。ハツラツ。

○小人C (♀):料理人。大人

●小人D (♂):オネェ。~よねン。

○小人E (♀):食いしん坊。~っしゅ。

○小人F (♀):道化。~だお。

○小人G (♀):ギャル。チョーウケるぅ。

・ 語り部 (不問):読み方はお任せ



======▼ コピペ用

【台本】

おめざめキッス☆大作戦/あずま八重

https://kakuyomu.jp/works/1177354054897965180/episodes/16817330661587889104


【配役】

語り部:

魔法使い:

青バラ姫:

イア王子:

小人A:

小人B:

小人C:

小人D:

小人E:

小人F:

小人G:




======

『おめざめキッス☆大作戦』

作:あずま八重やえ



【語り部】

 むかーし、むかし。ここではない世界どこか

 アオイこくに1人のお姫様が産まれました。お姫様は、それはそれは美しく育ち、10とおを過ぎた頃には世界一美しい姫君となりました。

 ところが、美しさをたたえられ甘やかされるあまり、お姫様の性格は段々と曲がっていきました。そして16歳の誕生日、事件は起きたのです。


★魔法使い

『おまえは美しくなどない。口を閉じよ、目を閉じよ。

眠りから覚めたとき、おまえは思い知るだろう』


【語り部】

〈魔法の鏡〉につかわされた魔法使いが言い放ち、お姫様に呪いをかけてしまいました。

 眠り続けるお姫様は、解呪かいじゅの歴史あるミドリこくの深い森へと移され、召使いの小人たちカッコ7人カッコとじと共に儀式の最重要人物を待ちます。


   *


○B「なぁ、今度の王子で何人目だ?」

○G「たーしかぁー、20人目だと思われー」

○F「オイラ、青バラちゃんに賭けるお」

○E「ズルイっしゅ! ジャンケンで決めるっしゅ!」

○A「あらあらぁ。またオヤツの取り合いかしら?」

○C「作りがいはあるけど、仲良く食べてほしいなぁ」

●D「噂をすれば……ほらほら、来たわよン」


【語り部】

 小人たちがワイワイ騒いでいると、儀式の手順通り、白馬に乗った白タイツの王子が単身で現れました。馬とタイツ以外は自由でよいからか、彼の服装とその髪型はかなり奇抜なものでしたが。


★王子「たのもぉー!

 我はムラサキ国の第3王子、イアと申す!」


【語り部】

 後ろで束にした髪を、ったとうちょうにチョンと乗せた〈マゲ〉と呼ばれる髪型。へいめん作りのまえき服を数枚重ね着する和装スタイル。それなのに、下に履いているのは短パン・白タイツという、この上ないミスマッチ感でいっぱいです。


○B「……なんっじゃ、ありゃー?」

○C「斬新すぎて、逆にカッコイイですね」

○G「アンタ、それジーマーで言ってる?」


【語り部】

 幸いにも、小人達のヒソヒソ話は王子の耳に届かなかったようです。


★王子「青バラ姫はいずこか?」

○A 「あちらの野っぱらにておやすみ中でございます」

★王子「なぜ野になど……」

○E 「さえぎるものが何もないほうがいいからっしゅ」

●D 「見惚みとれてると怪我しちゃうから気を付けてねン」


【語り部】

 小人に言われた通り、王子は青バラ姫の眠る野原のはらに来ました。見ればたしかに、大の字をえがいている姫が居ます。


★王子「では、いざ!」


【語り部】

 かがみ込んだ王子が、キスをするべく姫に迫ります。ところがその唇は、他でもない姫自身にはばまれました。


★王子「ドゥブッハァアンッ!」


【語り部】

 見事に決まる姫のアッパー。王子は綺麗な放物線を描き、無様に地面にめり込みます。


○F「ほら。やっぱり青バラちゃんの圧勝だお」

○E「うわー、ジャンケンに負けさえしなければーっしゅ!」


【語り部】

 誰も王子の心配をしません。またいつものように、次の王子を待つ退屈な日々が始まるのかと、小人たちがため息をついた、その時でした。


★王子「なんという寝相の悪さ! だが、それでも美しい!」

◆小人たち『――えっ、今なんて?』


【語り部】

 なんとなんと、今回の王子は心身ともにタフなタイプだったようです。これには小人たちも驚きを隠せません。

 さすがは20人目の王子さまチャレンジャー。その後も、みぞおちにヒザ蹴りが入ろうと卍固まんじがためをめられようと、何度も何度も立ち上がりキスに挑みました。


○A「なかなか粘り強いお方ですね」

●D「結果が分からなくなってきたわねン」


【語り部】

 オヤツのアップルパイを食べながら観戦としゃれ込む小人たち。するとそこへ、魔法使いが現れました。


★魔法使い「珍しいな。まだ居るのか」


【語り部】

 青バラ姫に呪いをかけた魔法使いは、経過観察のために訪れたのでした。今までも、どこで情報を仕入れているのか、どこぞの王子が来るたびに現れていたので、暇を持て余す小人たちから歓迎されるようになっていました。


●D 「あらン、今回も来たのね、おにーさん」

○C 「アップルパイ、食べる?」

★魔法使い「それじゃあ、ご相伴しょうばんにあずかろうかな」

○A 「今日もコーヒーでよろしくて?」

★魔法使い「いや、たまにはハーブ茶をいただこうかな。

 君のいれるやつは格別かくべつ香りがいいから、疲れも飛ぶよ」


【語り部】

 テーブルもイスも小人仕様なので、魔法使いは近くの切り株に腰掛けました。


○F 「にーちゃん、少し酒くさいんだお」

★魔法使い「あ、そんなにする?

 いやー、昨日遅くまで付き合わされちゃってねー。

 〝美〟について語りだしたら止まらない集まりだし、

 仕方ないんだけど――ん、ありがとう」


【語り部】

 手渡されたアップルパイを一口頬張り、ガブリとハーブ茶をあおって続けます。


★魔法使い「しかも、ほら、うちの会長ってば〝鏡〟でしょ?

 映り込んだ俺らが飲まないと飲めないわけよ」

○B 「そいつぁー下戸ゲコは災難だな。

 姫さんが起きた後なら、オレが代わってやるよ。飲み比べてみたい」

★魔法使い「伝えておくよ」


【語り部】

 和気あいあいしている小人たちプラスαアルファの陰で、王子と姫は相変わらずの攻防を繰り広げていました。


★王子「まだまだ――うぎゃー!

 なんのこれしき――ぐおー!」


【語り部】

 悲鳴のバリエーションも、出尽くした感でいっぱいです。見かねた魔法使いは、早く呪いを解いてほしい気持ちも手伝って、王子に指南レクチャーすることにしました。


★魔法使い「下手だなぁ。ちょっと退きなよ」

★王子 「うぬぬ……いいだろう。

 貴殿の手腕しゅわん、とくと拝見いたそう。

 くれぐれも怪我だけはさせるでないぞ」

★魔法使い「当然! キズは美をくすませちまうからな」


【語り部】

 王子の軽口に軽口で返して、魔法使いは姫の数歩手前に立ちました。


★魔法使い「んじゃあ、よく見とけよ?

 姫さんの寝相にはパターンってものがあるんだ」


【語り部】

 寝返りをかわし、寝技を外し。スルリスルリと姫の顔に迫ると、あっという間に頬にキスをしてみせます。どんなもんだと魔法使いが振り向けば、小人たちはヤンヤと喝采かっさいをおくり、イア王子はそでぐちを噛んでいました。


★魔法使い「……ほんと。口さえひらかなければ美しいのに」


【語り部】

 目も閉じるよう呪いをかけたのは、口ほどにものを言うからでした。まさか、それで美しくない寝相ねぞうの当たりにするとは、指示した〈魔法の鏡〉とてつゆほども思っていませんでしたが。


 魔法使いは、せっかくの機会だからと眠れる美女を堪能たんのうします。流れる青い髪は少々荒れ気味なものの、肌は透けるように白く、けれど頬には健康的な赤みがさしていて、ここに触れたのかと思うとおそれおおくなりました。


 プクッと厚いバラ色の唇、ツンと伸びる鼻筋の曲線美、そして長いまつ毛をまとう切れ長の目。青バラ姫は瞳も美しく、海のごとき深いその青色を見つめていると吸い込まれそうになります。ほんのひととき隠れるまばたきすらも美しい――


★魔法使い 「あ?」

◆小人&王子『へ?』

☆姫 「――アンタ、誰?」

◆小人&王子『なんですとぉーっ!?』


【語り部】

 あろうことか、魔法使いのキスで青バラ姫が目覚めてしまいました。驚きに染まる取り巻きオーディエンスをよそに、当事者になってしまった魔法使いはものすごく焦ります。


★魔法使い「んなバカな! そりゃ確かにキスはキスだが、

 こう、ホッペにチュッとしただけだろ?」


【語り部】

 いで、小人たちが騒ぎだしました。


○G「青バラちゃんが起きたってことわーぁ、

 魔法使いが婚約相手になるのぉ?」

●D「……とんだダークホースねン」

○F「じゃあ、賭けはどうなるんだお?」

○E「そんなの、無効に決まってるっしゅ!」

○A「ですわねー。みんな負けてしまいますもの」

○B「まあまあ! 起きたんだから喜ぼうぜ?」

○C「そうですよ。ボクまたパイ焼いてきます」


【語り部】

 立ち上がった青バラ姫がのんきに伸びをしていると、当事者になるはずがただのモブになってしまったイア王子が、放心状態からやっと復帰しました。


★王子「あっ、青バラ姫!

 そなたを起こしたのはわれであるゆえ、が妻となれ」


☆姫「……はあ? あに言ってんの、このダサ

 アタシをめとりたいなら、まずは鏡を見てくるのね」


【語り部】

 誰も突っ込まずにいた王子の格好をバッサリ斬り捨て、姫は小人たちの元へ歩き出します。


☆姫 「それ、ウマそうね。アタシにもチョーダイよ」

◆小人たち『かしこまりました!』


【語り部】

 青バラ姫が大口を開けてアップルパイにかぶりついている間、事の経緯を小人たちが説明しました。呪いをかけられ眠り続けていたこと、起こすには運命の人のキスが必要だったこと、そして、呪いをかけた張本人のくせに解いてしまった魔法使いのことも。


 青バラ姫は、口の周りや指先に残ったりんごを舐めながら、何事なにごとか呟き続けている魔法使いを観察します。ビン底メガネにぼさぼさ頭、全身を包むダボダボの真っ黒ローブ。好みの要素など全くありません。なのに、目を離せない何かがそこにあるようでした。

 不思議に思っていると、魔法使いと目が合いました。


☆姫 「……この胸の高鳴りはナンダ?」

★魔法使い「チッ! 解き方が半端だったから

 呪いが良いほうに作用してやがる」


【語り部】

 魔法使いが上司カッコカッコとじに命じられた呪いは、二重仕掛けでした。眠り続ける他にかけられたのは、目覚めさせた人間に惚れ、けれど相手からは嫌われてしまう呪いです。マウス・トゥ・マウスなキスではなかったからか、それとも元から嫌っていたからか、魔法使いには変化がありません。


☆姫 「オイ、魔法使い。キサマの名は?」

★魔法使い「ああん? 美しくない奴に誰が名乗るかよ」

☆姫 「うっ、美しくないだと? アタシのどこがだ」

★魔法使い「まず、その言葉使いがダメ。

 口の端に食べカスが残っているのも、

 脚を開いて座ってるとこもダメだね。

 見目みめの美しさに胡座あぐらをかいている証拠だ」


【語り部】

 ズケズケと刺してくるのに、青バラ姫には段々と魔法使いが輝いて見えてきました。今まで、これほど言ってきた者はいなかったから、というのもあるでしょう。唐突に立ち上がると、サッと身だしなみを整えて深呼吸を1つしました。


☆姫 「――以後、気を付けますワ」

★魔法使い「…………ッ!?」

(※息を飲む。キュン、ズキューン系のSEでも可)


【語り部】

 ほんの少し意識するだけでグンと美しさの増した青バラ姫に、魔法使いは息を飲みました。恋するオトメは綺麗になっていくもの。美しいものが好きな身としては、姫が心から美しくなるとあっては嫌いなままでいられるはずもありません。


★魔法使い「まっ、まだまだ! 他にも、

 美しさの為にすべきことが沢山あるから覚悟しろよ」

☆姫 「ふふっ。受けて立ちますワ」


【語り部】

 青バラ姫のその柔らかな微笑ほほえみは、誰もをとりこにする魔法となりました。魔法使いミイラとりがミイラになったのは、語るまでもないでしょう。


★王子「……我の立場はどうなるのだ?」

●D「ワタシたちをかかえてもいいわヨン?」

○E「青バラちゃんが起きて契約終了っしゅからね」

○A「失恋の痛みにはハーレム療法が効くそうですワ」

●D「お安くするから7人セットでハベりなさいよン」


【語り部】

 ――めでたし、めでたし。



===▼ 音声クレジット

『おめざめキッス☆大作戦』

作:あずま八重やえ

声:

 語り部:

 魔法使い:

 青バラ姫:

 イア王子:

 小人A:

 小人B:

 小人C:

 小人D:

 小人E:

 小人F:

 小人G:

――――でした。




============

おめざめキッス☆大作戦

〔2018.06.02作〕

===


 2018年にエブリスタの「妄想コンテスト」用に遊びながら書いた、台本形式のコメディー童話。それを声劇にも使いやすいように表記を足して、2020年2月8日からwritoneで公開していました。が、今はサイト消失によりカクヨム公開中です。



◆ 上演サンクス(2023.08.19 現在)


北垣キタヲ さま

https://www.writone.com/play/OeS9lkitjXAfJZiAouPS(サイト消失)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る