第2話
「……の。………っ。」
(……誰だ?今人がゆっくり寝てるんだから、静かにしといてくれよ…。)
「あ……。……あのっ!!」
「……ん…?」
そこでやっと意識がはっきりし、まだぼんやりとする目を擦り瞬きをしながら何をしていたか考える。
「えっと、確か気づいたら異世界にいて……。」
「あの!」
上から興奮気味な先程の声が降ってくる。トウキは上を見上げると、思わず息を呑んだ。
そこに居たのは絶世の美少女だったのだ。動くたびに光に眩しいほど反射して、糸のようにサラサラの銀髪。
目はターコイズをそのまま入れたような、ターコイズブルー。そして日焼けという言葉を知らない真っ白な肌。服装はフリルが沢山ついているシャツに、少し短めのフワフワなスカート。後は胸につけた大きいリボンが特徴的だった。
「おはようございます。」
「えっと……おはよう。」
そう言いながら、頭の中で状況を確認する。まず、今は異世界に召喚かそこら辺されて何日目か。そこが疑問だった。そして今は多分早朝だと思う。理由は単純、朝の澄んだ空気が体に触れるからだ。
「もしかして、記憶まで……?」
先程の少女が険しい顔でこちらを見つめてくる。
「……ええっと、まずどちら様で?」
「あ、自己紹介が遅れました。私の名前はリリカ・ルナソルです。以後お見知りおきを。」
「は、はぁ…。」
少女_リリカは、大きな瞳でこちらを見つめる。その瞳には真剣さが宿っていた。
「あの、ここは…?」
寝ぼけていたので気づかなかったが、ここは「洋館」と呼ばれる建物の類だろう。銀色のフレームの窓、トウキが今座っている深紅色のソファー、アンティーク調な机に飾られた1輪の薔薇。その全てが高級感を溢れださせている。
「ここは「黒猫館」。私の家です。」
そして彼女は腰まで伸びた銀髪を揺らしながら微笑む。
黒猫…変な名前ではあるが、この館が自分の家だなんて流石は異世界だなと思った。その家になんでそこら辺の男を連れ込んでいるのかは謎だが。
「そして、貴方様の家です。」
「……はぁ?」
思わず眉間に皺を寄せながら、今聞いた言葉の意味を考える。シンプルに意味が分からない。これは考える前から言える結論だ。
「お久しぶりです、ご主人様!」
リリカが満面の笑みをこちらに見せてくる。とても可愛いの一言じゃ片付けられないような笑顔だ。
「???」
_だが肝心のトウキは状況の一つも理解できず、更に混乱するのであった。
非常時に使える筈の異世界知識 みこた。 @mikota021
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