日常生活

奈津

第1話:書類を探したい

この世界は普通である。

特段読者の方との世界線と大して差もない。

街には自動車や自転車が走り、

都心部は大半騒音を放ち、

田舎は田畑で埋まっている。

そんな世界の住人の一人である私は、ただの高校生で

今はただの高校生ではなくなってしまったが。



そんなことはどうでもいいのだが、

私は今、春休みの課題を探している。

やっていないわけではなく、初日にすべて終わったのが災いし、

どこにしまったか、そんな記憶は驚きしかない春休みの中で

とっくに消し飛ばされてしまった。


仕方がない。

多少のコストは掛かるが、最近の十八番を使わせていただこう。

まず、右手を上から下に振り出てきた画面から今いる空間に接続して、

探査を実行する。

もちろん、”空間探査ファインド エレメント”と唱えてもいいのだが、

正味恥ずかしすぎる。


え、そんなことは一般人にはできないって?

私もそう思っていた時期が普通にありました。

春休み拉致られてから使えるようになったんです。

拉致ってくれた方に感謝、、、じゃなくて殺意を。


システム的探査はすぐに終わる。

正味世界で利用者数の多い検索エンジンよりも早い。

課題は半分はこの部屋の中で、半分は、一週間前にゴミ箱に捨てたらしい。

つまり、半分しか提出できないようだ。詰みである。

仕方がない。

復元してもいいのだが、なにせ原本(つまり灰)が小さすぎて復元コストが高い。

正直課題を間違って廃棄したからくれって言ったほうが早いのは定かだ。

諦めて学校に行くとしよう。


学校は自宅から電車で約30分の薩摩合掌高校である。

田舎みたいな名前だが、バリバリの首都の中心の方にある公立高校である。

しかし今日は課題探しに時間を割きすぎたので諦めて空を飛ぶ。

手段は簡単だ。

まず鳥に変化し、空を飛んで学校付近の路地に行き、変身を解く。

最後に自宅領域内のかばんをテレポートで取り寄せるだけである。

ただ、どのプロセスも人に見られることは許されない。


平和に行きたいんですよ、私は。


まず鳥になる。

鳩でいいや。

次に空を飛ぶ。

正直結構疲れたがなんとか飛べた。

着地場所は体育館裏にしよう。

流石に朝早くから告白イベントをやってるやつはいないだろう。

事実誰もいなかった。

そしたら変身を解く。

服などは、保持されるので安心である。

最後にかばんを転送。

余裕である。


流石に人に見られなかった。

私は違和感なく、校舎へと歩み始める。

その時だった。


ヤンキー風の男子生徒が現れたのは。


ヤンキー風の男子生徒、朝から非常に面倒くさい。

奴らの要求は金である。が私はその金で何がほしいのか聞いてやった。

通貨偽装はリスクが高い。

すると、ビールがほしいと抜かす。

仕方がないので紙切れに、術式的暗示を掛けビールにしてやり、

渡してやった。

奴らは嬉々として帰っていった。


いや、学校いけよ。


ひと悶着あったがなんとか教室についた。

自席に座り、かばんから荷物を取り出した。

ちなみに私は今の席の状況がものすごく不服である。

私の全方位が女子生徒である。

唯一の救いは、ペアとして組まされている女子生徒が、

特段変なやつでないことだけだ。


教員がやってきた。

名前は巻田と言うらしい。

特技は、50メートル走5.5秒らしい。

おそらく脳みそ筋肉系だろう。


特にトラブルなく午前の授業が終わった。

1限前に、廃棄した課題を再発行してもらい、

1時間でとき終えて持ってきたときの、

教員の顔が面白かったのでスクショしといた。

スクショは操作的にバレにくいのでかなり便利である。

方法としては、

1:メニューを操作して取る。

2:一時的にものに術式を掛けてスイッチを作って取る。

の2つである。

今回はもちろん2の方だ。

ペンに仕込んでいたので使いやすかった。


昼食である。

一人で自席で食べる。

両親はいないため一人暮らしである。

だから飯も自炊している。

中身は大したことないキャラ弁である。

今日の出来は大したことない方だが、

多分、卵焼きに砂糖だと思って塩を入れたこと以外は満足できた。

卵焼きの塩は術式で、砂糖に置き換えておいた。

次は間違えないようにしよう。


午後は体力テストである。

運動は嫌いなので義体を召喚し、

私は屋上で、コントローラーで操作しようという魂胆だ。

召喚はコストが多少多いが召喚に成功し、コントローラーを持ち私は透明化した。

それでは結果を見ていこう。


握 力 85kg

上体起こし 20回

長座体前屈 25cm

反復横とび 90回

持久走 3分50秒

50m走 6.5秒

立ち幅とび 320cm

ハンドボール投げ 75m


正直失敗した。

義体性能が良すぎて、結果がやばいことになっている。

唯一の救いは私から話していることはないのでなんとでもなる。

と思ってたけど、

やっぱ無理だわ。

秒速6mの持久走はやばい気もする。

ほかもいくつかやばいのしかない。

私は部活に入っていないので問題ないと思っていたが、

陸上部に勧誘を受けた。

巻田が校長に話した。

校長こっちに来た。

部活参加しないなら、アルバイト許可消すぞと脅してきた。

仕方なく入った。


巻田め、許すまじ。


その義体を操作して、学校を出た。

そしてバイト先についたのである。

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日常生活 奈津 @ufo0403

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