創作用

白神九或

紫竜、透、るし、花螢

『』はモノローグ  


花螢『目覚めるとそこは知らない天井とか、物語のはじめとしてはありがちなものである。』


花螢「・・・・あれ、ここは?」


透「あ、おはようございます。」


花螢「あれ、私なんでこんなところで....?うあっ!!」


SE:銃声連射


るし「開かない....」


花螢「いや、るしさん!?!?いきなりぶっ放さないで!?!?」


るし「壁が白くてラムネみたい、それならラムネのように砕けてくれるはず・・・・。」


花螢「白イコールラムネって相当ラムネに飢えてるね・・・。」


紫竜「えと、確か『探索者は目を覚ますとそこは白い箱のような部屋だった。お互いをよく知る仲間と顔を合わせるが、この状況を理解しているものはいなかった。』」


透「今回のTRPGの導入ですね、そして今この状況と酷似している....。これはもしかしてこのシナリオの世界に入り込めたってことですかね??」


るし「壁がラムネに見えて来た....。」


花螢「うん、食べないでね!?って、これ私たち、元の世界に戻れんの!?大丈夫!?」


紫竜「多分クリアすればいいんじゃない?大体のTRPGってそんな感じじゃん?」


SE:紙の音


透「あれ、なんか落ちて来ましたよ?....メモみたいですね....。」


紫竜「なになに?《あなた方の目的は偽者を見つけること。ここにいる探索者が全て容疑者です。最後の扉を開けるまでに偽者を見つけなければあなた方は庭の一部になることでしょう。》???」


花螢「偽者??容疑者??」


透「確かこのTRPGのシナリオ名『偽者の箱庭』でしたっけ?」


紫竜「確かそうだったような。」


透「この4人の中に【偽者】っていうのがいるってことじゃないかな?」


花螢「容疑者って言い回し・・・・。なんか悪者みたい。」


るし「ということはこの中の誰か一人を疑わなければいけないってこと?」


4人「........。」


透「な、なんか重苦しいですね。とりあえず、ヒントを探しましょう。こんな閉鎖空間だと気も滅入りますから。」


紫竜「あ!あそこほら!メモ読んだからかな!ドアが出て来た!」


花螢「そうだね!進んだ方がいいんじゃないかな??!!」


るし「・・・・あのさ、簡単なことじゃん。」


他3人「え?」


るし「偽者のこと、きっと脅せば出てくるよ。」


SE:銃構える音


るし「一人一人に話聞けばいいじゃん。ね?誰が偽者なの?それとももっとじわじわ聞いた方がいい?」


他3人「........。」


るし「あ、でも」


花螢「で、でも?」


るし「偽者本人って偽者って自覚あるのかな?それに容疑者がPLだけじゃない可能性もあるかな。」


透「確かに、そうだよね。まだ情報が少ないし、何か手掛かりがあるかもだからさ、次行ってみましょう?」


るし「....わかった。ごめん。」


花螢『そして、私たちはギクシャクとしながら、ずるずるとした不安感と共にその扉を開け、その薄明かりに足を踏み入れた。」


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紫竜『薄明かりの中に目を凝らしてみるとそこは書斎のようなところで、雰囲気のある洋館のような造りをしていました。本棚にはたくさんの本がありますが、その多くはどうやらハリボテのようです。』


透「これはまた随分と物々しいですね....。」


花螢「なんか全然庭っぽくないよね。」


透「まあ、箱庭っていうのは揶揄なんじゃないですか?」


紫竜「本....。ダミーばっかりみたいだね....。あ、でもなんか書いてある紙拾った。えーとなになに。これは見取り図?」


るし「始まりの部屋、疑惑の間、で、最後が審判の箱庭か....。見た目的にここが疑惑の間で全部が一方通行になってるみたいね。」


花螢「ここが疑惑の間??」


透「それはまたなんというか、嫌な名前ですね....。まるでほんとにこの中に偽物がいるようで。」


花螢「え、待って待って。もうちょっと!もうちょい考えよ!」


るし「まあ、これだけじゃね。あくまで可能性ってことでかんがえておこう?」


透「で、他のところにはなにかありますかね?」


紫竜「あー、本棚にダミーじゃないファイルブックがあるね。それも5つも」


花螢「え!多ない!それも見よ!」


紫竜「はい、じゃあタイトルが.....おぉ、俺の名前だ。」


るし「え?なにそれ?」


透「こっちのは私の名前ですね....。」


るし「全員の名前?これ、個人情報がすごく細かく書いてある....。容疑者ファイル的な?」


花螢「ん?じゃあもう一つのこれは??いっこ多いよね?」


紫竜「表紙が墨塗りされて分からないな....。これといってわかることも載ってないし....。あ!」


るし「どうしたの?」


紫竜「何か間から落ちてきた。《偽者はこの庭の主人である》....?なんだこのメモ。」


花螢「えー!ネタバレじゃん!」


るし「偽物が主人ってことはPLには偽物がいない?」


透「こんな簡単に解決?これ実はなにか見落としていたのでしょうか。」


るし「もしかしてGMが演じるNPCこそが偽物で、何かしらのフラグ回収不足で登場できていない、とか。」


花螢「や、ややこし!」


透「ということはそのNPCの名前を知れば、『審判』を正しく通れて、元の世界へ帰れるのでは?」


花螢「よーし!そうと決まれば、もっと探すぞー!」


るし「あと探してないのは、机!ここにヒントあるかもだし。」


紫竜「引き出しにはんーここもメモいっぱい....。ぐちゃぐちゃだし....。」


花螢「人の名前が書いてあるの探せばいいんんじゃ!?えーとえーと、それっぽいのあった!」


透「えっとなんて書いてあるんです?」


紫竜「《白神九或✖︎✖︎✖︎》」


4人「は?」


花螢「なんでここで知り合いの名前出てくるかな!?!?」


るし「心を乱さないでほしい。」


紫竜「そういえばこのシナリオ、くーたんが書いたやつだ。」


透「作者がストーリーに出てくるもんなんですか??」


SE:ドア


4人「え?」


るし「ドアが開いた?ってことはここで得られる情報はもうないってことかな?」


透「ということが次が、」


花螢「審判の箱庭....。」


紫竜「あ、部屋の明かりが!」


透「壁も崩れかかっています。どうやらここにも長くいられないみたいですね。....行きましょうか。」


るし『始まりの時のような白む世界へと私たちは歩みを進める。しかしそこに天井はなく、透き通った空に鉄格子がかかっていた。』

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透『あたりは柔らかな草の絨毯とそれを切り取るかのような白い壁。その壁を登るツタのたもとには幾つかの人の頭蓋骨転がっていた。』


花螢「うげっ、気持ち悪い。」


るし「これが箱庭の一部になった人たち....。」


透「審判は間違えられないってことですね。」


紫竜「向かい側に扉!なんか貼り紙がしてあるみたい。えっとね《偽者は誰だ。》か。推理パートってとこだね。」


花螢「まず、白い部屋で私たち4人が目覚めて、ここに来た目的が《偽者を探す》ことだった。」


るし「で、それは私たちの中にいて5人分のファイルが見つかる。そこでくーたんの名前が出てくる。」


透「そして、もともとGM演じるNPCがいたのではと推測され、作者である九或さんがやり玉に上がっている。」


紫竜「とういうことは、ここであげるべき名前はくーたん??」


花螢「結論出たじゃん!まあ、こんなものか!」


るし「確かに作者であるくーたん偽者ならこのシナリオ自体が箱庭って説もあるし。」


紫竜「ってことはこれでシナリオエンド?ってことでいいかな!」


透「いや、待ってください。」


他3人「え?」


花螢「これで完結じゃないの?」


透「まずなんだけど、なんでNPCがイコール作者に紐づいたのか。」


花螢「だって、他に名前でてこなかったじゃん!きっとくあるさんのことだし、NPCに自分の名前つけたかったんじゃない?」


透「確かに名前ってのはここでは記号みたいなものだし、こだわる必要もない。それにるしさんがいったセリフ、これが鍵になってくる。」


るし「私なんかいったっけ?」


透「本来、NPCってのは誰が操作してるかな?」


花螢「GM!確かるしちゃんが”GMが操作するNPC“って言ってた!」


透「そう、そして、最後。このシナリオのGMは、誰?」


紫竜『どうしてそうなったのだろう。このシナリオは本当に性格が悪い。誰もがきっとなるべくしていろいろな思惑に錯誤させられ、いい結果にはならない。そう、これは、このためだけに作られたシナリオ。この庭の主人はGMである俺で、あの空間には作者もNPCもいない。おめでとう、グッドエンド、ゲームクリアです。』


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