『死』シリーズ
中野 拓斗《たくと》
君の死んだ日
一話 君が死ぬ日の朝
その日は、ただ寒い冬の日だった。
中3の冬休み前最後の登校日。
都会とも田舎とも言えない、見慣れ過ぎてしまった町の景色。
のどかなだけで、良い事も、悪い事も、何もないただの町並。そんな今日は、一つだけ何時もと違う…
それは……
滅多に雪なんて降らない太平洋側に観測史上初の大雪が降った。新潟の人とか、北海道の人とかなら慣れているであろう雪掻きに、大人達は、大変苦戦してるようだ。
こんなどうでもいい事を、ぶつぶつと考えている僕こと鈴木 太朗は、とんだ変わり者だろう。
そんな僕と共に、登校する君も、とんだ変わり者で、このクソ寒いのに、手袋も付けず隣で本を読みながら歩いている。
本の題名は、『7つの魔眼が支配する』と書いてある。
学校まで暇なので
「なぁ君、防寒具も付けずに寒くないの?」
と聞いて見たり
「雪すごいね」
って話しかけて見ても全く反応を示さない。諦めてとぼとぼ歩いていると、
学校まであと100メートル位まで来た時に、いきなり君が顔をあげて、
『太朗くんは、私が今日…絶対死ぬと言ったら……信じてくれる?』
と少々大人びた声で聞かれ、僕は
「そんな訳ないでしょう」
と適当に流した。
二話 君が死ぬ日の午後
学校では、あまり僕と君は話さない。
理由は簡単で、僕が8組で、君が1組だから。
簡単に言えば会うことがないから。
下駄箱で君と別れると君とは真逆の方向に向かって、階段を登り、自分の机に行く。
予想どうり、彼や友が雪やべぇと騒いでいた。
僕は特段、誰かと話をするでもなく、さっさと支度を終わらせ、自分の席で『弟さえいればいい』の5巻を読んでいた。
その日は、先生の話を静かに聞いていれば、さっさと終わる。そんな日だった。
授業が終わり、君との待ち合わせ場所で待っていた。うちのクラスは割と早く終わったみたいで、僕の他には誰もいなかった。
そして1人2人とどんどん人が来て、しまいには君は来なかった。保健室に居るのかと思い、覗いて見たが、君の姿はない。
諦めて帰って、隣の君の家に行くことにした。
三話 君が死ぬ日……
家に着くなりカバンを放り投げ、君の家に走る。
君の家は鍵がかかっておらず、中から何かが腐ったような匂いがした。
気になったので行ってみれば…………
君が死んでいた。
その時、既に冷たくなっていた。
「はぁ?なんでだよ……」
その一言だけを言った。
そこで僕の記憶は途絶えた。
『死』シリーズ 中野 拓斗《たくと》 @nakano-takuto
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