第三章の登場人物紹介



主人公とその周りの人物



虎藤 燈とらふじあかり


我らが主人公。高校二年生の十六歳。

今回は北の町『磐木』にて妖刀絡みの事件に巻き込まれ、その裏で暗躍する最凶の武士団の存在を知ることとなった。


天元三刀匠最後の一人である百元と、その弟子である涼音との出会い。そしてかつての仲間たちである王毅との再会、敵対を経て、様々な苦悩にぶつかった上で、誰かのために強くなるという自分の根幹にある想いを再認識し、妖刀を手にして歪んでしまった嵐たちを止めるべくクラスメイトたちとの戦いに臨む。


自分を陥れた順平を撃破し、『泥蛙』を手にした鼓太郎も殺さずに撃破。

その後現れた『仮面の女』に妖刀は奪われるも、その後に彼女の気まぐれ(?)によって『泥蛙』は燈の手に渡った。


事件解決後は百元たちを連れて昇陽に帰還。

そこで待っていた宗正、桔梗と合流し、最強の武士団の旗揚げを行い、晴れてその一員となった。


覚悟を固めつつはあるが、人を殺すことには未だに抵抗がある模様。

妖刀を手にした鼓太郎も、因縁ある順平も殺しはせずに倒したことから考えても、人を斬る覚悟を固められてはいない様子である。





そう


今回は出番が少なめの相棒。

仲間たちが王毅一行や妖刀使いたちと戦う中、一人冬美を救うために戦線を離脱、個人で戦うことはなかった。


事件解決後には燈たちと共に師匠に見守られる中で最強の武士団の旗揚げを決行。

宗正と共に追いかけてきた夢の第一歩を踏み出した。




椿つばきこころ


ヒロイン。非戦闘要員ではあるが、その存在感を買われて裏方・勘定役として最強の武士団に加わることとなる。

今回の事件で王毅たちに敵と見なされた燈を気遣い、彼と王毅たちとの間を取り持つ役目を自ら志願し、初めて戦場に足を踏み入れた。


様々な誤解や思い違いが積み重なった結果、完全に燈を敵と判断しているクラスメイトたちには彼女の言葉は届かなかったが、最終的には王毅に話を聞いてもらうことに成功し、彼と燈とのわだかまりを解消させることに一役買っている。


また、花織の思い込みによる自爆が大半ではあるが、陰謀を渦巻かせていた彼女を戦場から離脱させたのも彼女である。




栞桜しお


ヒロイン? 昇陽での一件を機に、一皮剥けた様子。


今回はタクトにラッキースケベという名のセクハラを受けたり、副長という立場に必要以上の気負いを抱く慎吾と交戦したりと、なんだかんだで英雄組との絡みが多い。


クラスメイトたちから敵と見なされた燈をこころ同様に気遣う中、二人を敵として本気で排除しようとした慎吾の行動に激高。彼と本気でぶつかり合うこととなる。

『金剛』第三の型『榛名』を解放し、真っ向からのパワー勝負を制した後、慎吾の抱えていた問題を指摘したことで彼の覚醒を促し、最終的には彼と燈との間にあった誤解を融解させる役目を果たした。


『榛名』


武神刀『金剛』の第三の型。


両腕と両脚に装着される具足型の武神刀で、栞桜の怪力と桔梗から叩き込まれた格闘技を最も活かせる形態である。

が、しかし、その真骨頂は気力を一か百でしか放出出来ない彼女の問題点を埋め合わせる燃費の良さにあり、時間こそかかるものの爆発的な威力を発揮することも可能。


溜めた気力を全放出し繰り出す『桜花二段突き』の威力は衝撃的の一言である。




やよい


ヒロインとはちょっと違う。ご存じ小悪魔系ロリ巨乳美少女。

今回は王毅一行のオタク少年こと黒岩タクトから一方的に好意を寄せられ、彼のハーレム要員として狙われるようになる。


最初の邂逅では蒼を利用して彼のアプローチを躱し、同時に王毅一行の性格を見切るための判断材料を手に入れるという強かな一面を見せた。

周囲の目やモラルを考えないタクトの行動から王毅一行には問題が多いと判断した彼女の考えは正しく、その後に彼らと敵対した際にも仲間のケアを最優先で行う等、集団が潤滑に動くために必要な行動を率先して起こしている。


嵐を追っての戦闘では、自分を狙うタクトと戦闘。

彼の自分に対する好意を利用した絡め手と本来の冷酷さを活かした威圧で彼を圧倒し、調子に乗っていた彼のプライドを木端微塵に粉砕した。



鬼灯涼音ほおずきすずね


天元三刀匠最後の一人である百元の弟子であり、同じく彼の弟子である鬼灯嵐の姉。

千年に一人の天才であり、その実力は疑いようのないものであったが、他者とのコミュニケーション能力に若干の問題があり、精神もやや不安定気味。


弟である嵐の才能に期待を寄せていたが、それが故に彼にあまりかかりきりにならなかったことを後悔しており、彼が妖刀に手を出してしまった際には人一倍の責任を感じていた。


嵐の凶行を止めるために尽力するが、その果てには弟との死別が待っており、最愛の家族の死に耐え切れなくなった彼女もまた死を選ぼうとする。

しかし、死に際の嵐の願いを受けた燈に説得されたことでことを決意。

嵐が送った最後の手紙を読んだことで、彼が目指していた世界中の人々を守れる剣士になるという夢を自分が果たすという目標を得た。


剣技に関しては、風の気力を活かした連撃と対空・空中殺法を得意としている。

純粋な剣技ならばメインキャラの中でも最強格の少女である。


なお、胸は薄い。



武神刀『薫風くんぷう


百元作、涼音の愛刀。

涼音の繊細な気力操作を即座に反映し、風の流れや切れ味の鋭い暴風を作り上げる能力を持つ。


非常にシンプルであるが、その速度と反映力は一般の武神刀とは比べ物にならず、並みの剣士がこの武神刀を使おうとしてもピーキー過ぎてまともに使えない。


天才であり、非常に優れた素質を持っている涼音だからこそ十全に扱える武神刀である。



円環閃・嵐えんかんせん・あらし


風の剣技の一つ。

気力を込めた武神刀にて回転斬りを繰り出し、自分の周囲に風の流れを作り上げる。

その流れに刀の軌道を合わせることで二撃、三撃と重ねて繰り出す攻撃の威力を上昇させ、敵の防御を打ち砕く嵐として繰り出す技。


弟と同じ名を持つことから、涼音はこの技を徹底的に練習し続けていた。

その技が弟との戦いに決着をつけることになるとは、なんとも皮肉な話である。



百元びゃくげん


天元三刀匠最後の一人。発明家。

見た目は温厚そうな小柄の老人。眼鏡をかけている。


数々のからくりを仕掛けた屋敷に住んでおり、妖の襲来で幼い頃に両親を失った涼音と嵐を引き取り、弟子として育てていた。


姉弟の持つ才能を見抜いており、二人の将来に大きな期待を寄せていたが、その想いを重しに感じてしまった嵐の暴走を招いてしまう。

妖刀『禍風』を手にして凶行に走った嵐に対する自責の念を抱いており、姉として自分が始末をつけるという涼音の心を心配しながらも何もすることが出来なかった自分自身に嫌悪感を抱いてもいた。


一連の事件の裏に自分たちと因縁がある刀匠『幽仙』の存在と、彼が作り上げた最凶の武士団の暗躍を感じ取り、その存在を燈たちに伝えた。


事件収束後は弟子たちと共に昇陽に移動し、そこで最強の武士団の旗揚げを天元三刀匠として見届けた。




学校の生徒たち



神賀王毅じんがおうき


学校の生徒たちを纏めているリーダー。

移送中に奪われた妖刀を奪還する依頼を幕府から受け、その任務達成のために選抜メンバーと共に磐木にやって来た。


そこで予想だにしていない第二の妖刀使いとの遭遇や、死んだと聞かされていた燈との再会を話す中、混乱に混乱を重ねた状態で順平や花織の虚言に翻弄された末に燈をも妖刀使いと断定して彼と敵対する道を選んでしまう。


深く物を考えず、勢いのままに戦いに臨んでいたが、妖刀使いとの戦いに敗北し、嘘をつき続けていた順平と花織とも離れたことでようやく真実を知ることとなる。


事件解決後には学校に帰還し、慎吾、冬美、正弘という一部の信頼出来る仲間の協力を得て、一時的ながら燈を陥れた生徒たちの身柄を拘束し、戦う力を奪った。

しかし、それらの行動を幕府の許可なく行ったために彼らと反目することとなり、幕府は王毅をリーダーの立場から追い出そうと考えている模様。


上記の行動は幕府の操り人形であった自分との決別の意思表示であり、彼らから煙たがられることも覚悟で起こした行動だった。


現在は信頼出来る仲間を増やし、何処か浮ついた気分が抜けない学校の面々の目を覚ますために尽力している。

また、幕府にも不信感を抱いたため、その真意を探るための行動も起こそうとしている模様。



武神刀『虹彩』


全属性の気力を持つ王毅に合わせた、全ての気力属性を反映出来る武神刀。

幕府お抱えの刀匠による作品で、名刀中の名刀である。


だが、『紅龍』等の宗正たちの作品よりかは格下であり、その性能を王毅が引き出せているとも言い難い。




田中正弘たなかまさひろ


元下働き組の一年生。慕っていた燈が死んだと聞かされて気落ちしていたが、狒々との戦の際に彼と再会したことで奮起し、努力を重ねていた。

その努力を見初めた冬美の軍団に引き取られ、索敵用の武神刀を手に入れたことで妖刀奪還の部隊に推薦されるだけの実力を身に着けるまで至った。


王毅たち一行の目的や人員を始めとした情報を燈に伝え、王毅たちと彼が敵対することになっても常に燈を信じ続ける等、燈に対する強い信頼感は健在。

事件解決後は学校にて王毅からの信頼を得て、情報収集に駆け回っているようだ。




石動慎吾いするぎしんご


王毅の右腕であり、学校の№2を張る男子生徒。

陽光属性の気力とサッカー部のゴールキーパーとして鍛え上げた巨体を活かしたパワフルな戦法が持ち味。


土方歳三のような副長を目指し、王毅を誰からも認められるリーダーに仕立てるために尽力しているが、本当は親友のために憎まれ役を担う自分自身に酔っており、副長としての役目を果たせているとは言えない始末であった。


気力を有していなかったはずの燈が武神刀を使えたことで彼を妖刀使いであると断定し、王毅が順平や花織の嘘を信じる一因を作ってしまった。

その後も自分の考えに固執し、その正しさを信じるあまり、説得のために戦場を訪れたこころにまで魔の手を伸ばすが、その態度に激高した栞桜との戦いに敗れ、自身の醜さを突き付けられたことで改心し、彼女の燈たちへの謝罪の言葉を告げて意識を失った。


事件解決後は本来の気風の良さを取り戻し、本当の意味で親友を支えられるような男になるべく努力を重ねている。




七瀬冬美ななせふゆみ


燈のクラスメイトで、学校の主力を成すメンバーの一人。

狒々との戦の際に出会った正弘に興味を抱き、彼を自分の軍団に引き入れ、面倒を見続けていた。


彼との親交が深かったために、自分たちが燈と敵対することになっても正弘の話を聞き入れ、燈たちと協力する選択を下す。

だが、その思考を見抜いた順平によって闇討ちされ、戦線を離脱。蒼の応急処置によって一命を取り止め、無事に生還した。


現在は数少ない王毅の味方として、彼のことを応援している。




竹元順平たけもとじゅんぺい


燈とこころを陥れた全ての元凶。今回も自分の立場を守るために様々な悪行に手を染め、燈たちだけでなく王毅たち一行の足を引っ張る。


口封じのために冬美を急襲し、燈たちをも手にかけようとするが、予想を遥かに超えた力を手にしていた燈に一方的に叩きのめされ、顔面の骨を砕かれるほどの鉄拳制裁を受ける。


その後、仮面の女に身柄を抑えられ、何処かに連れ去られてしまった。


彼の犯した数々の悪行は遂に白日の下に晒され、その悪事に加担したメンバーも学校内では名前と顔を知られることとなっている。

既に学校には彼の居場所はなく、このまま戻っても断罪されることは明らかだったため、彼にとってはありがたいことだと思われるが……?



花織


幕府から派遣され、王毅たち英雄組と幕府を繋ぐ窓口として活動していた巫女。


王毅を超える燈の才覚を見抜けたかった責を追及されることを恐れて彼を排除しようとしたり、幕府の面子を守るために非常に重要な情報を王毅たちに秘匿したりと、清純そうな見た目に反した自己中心的な性格が露わとなった。


嘘に嘘を固め、何から何に至るまでを嘘で塗り固めた彼女は、その嘘が露見することを恐れるあまり、妖刀使いに敗北した王毅を残して逃亡。学校にも戻っていない。


彼女は何処に消えたのか? その答えは、じきに判るだろう。




その他の人物


鼓太郎


磐木の近くにある小さな村の出身。農民。


『禍風』を手にして歪んだ嵐によって家族、友人を皆殺しにされ、彼に復讐を誓う。

仮面の女から『泥蛙』を受け取ったことで、その復讐心は加速度的に膨張し、最終的には彼も嵐同様の狂人へと身を堕とすこととなった。


燈との戦いに敗れ、死んだ家族たちの幻影を見ながら自分自身の行動を悔やみ、謝罪の言葉を口にしながら気絶。

一度妖刀を手にした者の宿命を打ち破れるかどうかは、これからの彼の行動にかかっている。



妖刀『泥蛙』


妖刀の中では格が低い、お試し用とでも呼ぶ妖刀。

周囲の地形を泥のように柔軟化させ、それを自在に操る能力を持つ。


能力を上手く使えば敵を捕らえる罠にも、強力な矛にも、強靭な盾にもなるという汎用性の高い武神刀であるが、泥を乾燥させてしまう火や日光に弱いという明確な弱点も抱えている。


元は普通の武神刀であったが、一人の武士が斬り殺した農民たちの恨みが積み重なって怨念となり憑りついた、後天的な妖刀である。




鬼灯嵐ほおずきあらし


本来ならば涼音と共に最強の武士団のメンバーに加わるはずだった少年。涼音の弟。


姉同様、天賦の剣才を有していたが、早熟な姉に対して彼は大器晩成型の才能を有した天才であったために、離れていく姉との実力差に対して焦りを抱くようになっていた。


共に最強の武士団を結成する仲間と合流すると知らされた時、焦りの感情はピークに達し、その隙を突いた仮面の女に『禍風』を渡され、妖刀の力の虜となってしまう。


誰かを守るために強くなろうとした彼は、いつしか姉を超えるために、彼女を殺すために強くなることしか考えられなくなり、妖刀の扱いに慣れるために次々とその刃で罪のない人々の命を奪う人斬りと化してしまった。


王毅、鼓太郎との戦いでも底知れぬ実力を発揮し、彼らを一蹴。

熱望していた姉との戦いも彼女専用に編み出した秘奥義を用いて一時は優位に立つも、天才でありながら努力を重ねた涼音の技の冴えの前に秘奥義を破られ、敗北を喫する。


涼音の想いを聞き、戦いに負けたことも相まって正気を取り戻しつつあった彼は、急襲した仮面の女の凶刃から姉を庇って致命傷を負いながらも、最後まで涼音を守るために時間を稼ぎ、人斬りではなく涼音の弟として『禍風』と共に海の底へと消えていった。


その才能は姉である涼音を超え、いつしか大和国に名を轟かす最強の剣士になったであろうと師である百元も語っている。

僅かな関わりしか持たなかった燈ですらその死を惜しむ等、例え歪んでしまっても根幹にあった純粋さ、優しさを失わずにいた純朴な少年であった。




妖刀『禍風』


幕府が所有する妖刀の中でも特に危険な一振りと呼ばれている武神刀。


一度振るえば暴風が巻き起こり、その風は幾人もの命を奪う狂風となり吹き抜け続ける。

連撃を得意とするが故に一発の威力が低い風の武士団の概念を超越した、一発の威力が計り知れない上に連発になると更に強くなるという特性を有している。


更に繊細な気力と風の操作も可能。流石は超危険な刀と呼ばれるだけの力を秘めた妖刀だ。


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