第2話 出会い
桶いっぱいの水を運ぶことは10歳の少女にとっては、とても大変な作業だった。
井戸と少し離れた馬小屋とをもう何往復もしている。
一息つこうと空を見上げると、雲一つなく澄み渡った真っ青な晴天がどこまでも続いていた。
少し肌寒い風が冬の訪れを告げていたが、リタは額から流れる汗が目に入らないよう何度も袖で
この水を持っていけばやっと終わる。そう思い馬小屋を目指して歩き始めた時、不意に後ろから呼び止められた。
「そこのお嬢さん」
リタは声がした方を振り返り、目を見開いた。
そこには異国の長いローブに身を包んだ、すらりとした女性が立っていた。
鼻筋の通ったしっかりとした鼻に、綺麗な弧を描いた大きな目、透き通った真っ白な肌は太陽の光を反射してより一層眩しく見えた。
リタが驚いたのは彼女の色だった。
輝く
なかでも一番驚いたのはガーネット色の深みがかった瞳の色だった。
――私はこれを知っている。
驚いて硬直しているリタを見かねたローブの女性は優しく微笑んでみせた。
「こんにちは」
リタはさっと眉をひそめた。今思っている言葉を口にしてしまうと、何か取り返しの付かないことが起こるような気がして、なかなかそれを口に出すことが出来なかった。
それでもローブの女性は微笑んでいるだけだった。
リタは意を決してローブの女性に問いかけた。
「
出来るだけ冷静を装ってみたが、心臓の鼓動はけたたましく耳の中で鳴り響いていた。
ローブの女性は一瞬驚いたあと少し困ったように微笑んだ。
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