魔王は今日も暇で仕方がなかった

一ノ瀬 彩音

第1話 魔王はお暇!?

この異世界では魔王というのが存在するのですけれど、

その魔王に挑もうとする冒険者がそんなにいません。


本来の魔王は異世界に混沌と闇をもたらすのですけれど、

その魔王は平和主義で異世界を滅ぼそうとはしません。


何とお優しい魔王でしょうか。


魔王の名はミルネネ。


性別は女性です。


年齢は不詳。


魔王ミルネネは魔王城で冒険者が攻めて来るのを待っているの

ですけれど、昨日も今日も冒険者が攻めて来ないのでお暇で

しょうがなかった。


ミルネネ自身は謁見の間にいて、玉座に座っているのですけれど、

玉座に座りっぱなしというのは本当に退屈でどうしようも

ありませんでした。


しかし、ここから動けば何かと悪い予感がして動けないのも

事実なのでどうしようかなって感じでミルネネは考え事を

しているのです。


「そこに居る下級悪魔よ、こっちへ来なさい」


下級悪魔はミルネネに呼ばれるとミルネネの前で

立ち止まるのです。


「何か面白い事はないの?」


「面白い事ですか、特にありません」


「今もしかしてないって言ったの?」


「は、はい」


「そっか」


下級悪魔に向かってミルネネは腕を振り下ろすと下級悪魔は

見事に粉々になり、砕け散って跡形もなくなるのです。


「本当につまらないわね」


欠伸をしていると謁見の間に中級悪魔が入って来ると

中級悪魔はミルネネの前に立ち止まるのです。


「どうしたの? 何かあったの?」


「いえっ、これと言って特には…………」


「何か面白い事を言いなさい」


「そう言われましても困ります」


「魔王である私の言う事が聞けないの?」


「いえっ、面白い事を言いますっ!」


「それでいいのよ」


中級悪魔はじっくりと真剣な表情で面白い事を言うために

考えているのです。


考えが終わると中級悪魔は覚悟を決めてついに言うのです。


「公開って後悔…………」


「時給は持久」


「雨は飴」


「どうでしたか?」


「どれもつまらないわね、面白くないわ」


「すいません」


ミルネネはまたもや腕を振り下ろすと中級悪魔は粉々となって

跡形もなくなくなるのです。


「本当に退屈ですわね、冒険者は攻めて来ないのかな」


退屈で退屈で仕方がないミルネネはぼぉ~っとしていると

眠気が誘ってきて目を閉じて玉座で眠ってしまうのです。


眠っているミルネネは夢を見る事もなければ、特に何かを

見るという事はありません。


しばらく魔王であるミルネネは寝ていると目が覚めてしまって

近くに居た下級悪魔にこっちへ来るように命令を出すのです。


「ミルネネ様、どうなされましたか?」


「様をつけて呼ばないで」


「申し訳ございません、ミルネネ様」


「様をつけて呼ばないで!!」


「すいません、ミルネネ様」


「何度言わせる気なの? 様をつけて呼ばないで」


「すいません、ミルネネさ…………」


頭にきているミルネネは腕を振り下ろして下級悪魔を

粉々にして跡形もなくなくなるのです。


「本当に下級悪魔って低能で困るわね」


本当に退屈しているミルネネは何をしようかなって

考えてても本当にする事もないのです。


魔王ミルネネは冒険者が魔王城に攻めて来るのを

待ち望んでいるのですけれど、一向に来ないので

だんだんイライラしてくると、魔王の身体に闘気が

満ち溢れてどうにかなりそうです。


そんな時でした。


上級悪魔が謁見の間に来るとミルネネに何かを

伝えようとしているのです。


「どうしたの?」


「それがですね、お腹が空きました」


「お腹が空いただけでここに来たの?」


「はい」


「そっかぁ、バイバイ」


魔王は上級悪魔に向かって腕を振り下ろすと

上級悪魔は粉々になって跡形もなくなるのです。


魔王ミルネネが纏っている闘気が一気に膨れ上がると、

その闘気を謁見の間で解放してしまって魔王城が

半壊になってしまった。


魔王城が半壊だけならまだいいのですけれど、下級悪魔、

中級悪魔、上級悪魔がそれぞれ何割かが魔王ミルネネの闘気で

倒される。


「あ~あ、またやってしまったわね、てへ」


こういう事があるからきっと冒険者は魔王城に

攻めて来ないのかもしれません。

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魔王は今日も暇で仕方がなかった 一ノ瀬 彩音 @takutaku2019

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