第2夜

「みんなで死のう。」

その私の言葉に2人とも納得した。


「じゃあ今までありがとうね」

「……うん」

「ぐすっ、みんなバイバイ」


目配せをして、人生最後の言葉


「せーの!」

グサッ

鈍い痛みが腹部に走る。

「くっ……」

ドサッドサッドサッ

自分と2人が倒れる。私の意識はだんだん薄れていった。



「……馬鹿だなあ。紺くんの見てなかったの?蘇生できるんだよ。」



「やあ3人とも目は覚めたかい?」


目を開けた先にいたのは化け物だった。

「死ねなかったの?」


「いや、立派に死んでたさ。でも生憎こっちは蘇生できるんだよ。いくら死んだって無駄さ。今日も殺しを始めようか。」


「嫌……」


「嫌でもしょうがないんだ。亜夜ちゃん、はい毒草」


やめて……、

「ごめんなさい綾明さん」


口の中に毒草が突っ込まれた。

苦い。少したったら指先が痺れてきた。


「次は首を締めて貰うよ〜海亜くんよろしく!」


嫌……無理だよ!


「ごめんね綾明さん」


手の上に手が乗り、力が入る。


「くっ……あああ!」


苦しい、痛い。喉が潰れそうだ。

声を出せない。苦しい。


「はい、ストップ!」


「ゲホッ……ゲホッゲホッ!」


さっきの毒草のせいで全身が痺れている。


私もまたいつの間にか縛られており、

海老反りになってのたうち回っている。


「ゲホッ!ゲホッ……カハッ、」


吐いてしまった。


「はぁはぁはぁはぁ」

私の過呼吸気味の息の音だけが響く。


「お次は手首と足首だね!女の子だからノコギリじゃなくて斧にしてあげよう。」


もういいや、諦めよう。

斧を持った2人が近づいてくる。


勢い良く振り下ろされた。

切られた瞬間は痛みを感じなかった。それでも


「ッ!」

じわじわと痛みが襲ってくる。

首を締められたときの荒い呼吸は治ったが

初めの毒草の毒がかなり回ってきたのか、胸がとても苦しい。これから皮膚を剥がされるのか……。化け物が少しずつ蘇生しているせいで意識は途絶えない。


「つまんないなあ。もう少し叫んでよ。皮膚、剥がして貰うからね」


刃物が当たる。海亜と亜夜が無表情で私の皮を剥がす。


「い……た…い!」


身体中が痛い。毒のせいで痙攣が起きている。ふと下を見ると涙で霞んだ視界の向こうに血の海が見えた。やっと首を落としてもらえる……。


「じゃあ……どっちがやる?海亜くんでいっか」


「……っ」

海亜が近づいてくる。斧が振り下ろされ……私の意識は少しして途絶えた。そういえば海亜、亜夜より仕事させられてたなあ。なんでだろ。



私が最後に見たものは綺麗な薔薇色の血だった。





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薔薇色洞窟 泡沫綾凪 @Ayana_utakata

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