レーザー焼肉

 今回はリクエストがありましたので僕のネタでは無く、昔の雑誌記事の面白かったネタを思い出しながら書いてみようと思います。

 

 岡田斗司夫さんという方が居ます。世間では評論家だのプロデューサーだのガイナックスの初代代表とか言われている人ですが、僕にとっては大阪のガレージキット屋の主人以上でも以下でも無い人ですw

 その方が今は亡き月刊アニメックで連載していた、大昔のコラムの中にあったネタです。


 

 ある日の夜、関西の某大学(仮に近畿大学としておきます)のOB数名と教授が飲みに出かけた。ワイワイ飲んで騒ぎながら楽しくやっていたが、酒ばかり飲んでいたら段々と腹が減ってきた。


「腹が減ったな」

「焼肉食いたい!」

「焼肉食おう!」


 と酔っぱらい数人で盛り上がったが現代の様に24時間営業のスーパーやコンビニのほとんど無い時代、焼肉屋も営業を終わらせておりどこにも焼肉を食える店がない。

 仕方がないので(?)近くの肉屋を無理矢理叩き起こして人数分の生肉を買ってきた。


 生肉だけあっても焼肉は出来ない。どうするか? ここで誰かが言い出した。


「大学の研究室のレーザー発振器で肉が焼けないか?」と。


 教授の顔パスで大学内に入り研究室へ向かう一行。

 ボールペンの尻にコードが繋がれたようなレーザー装置を持った教授が、机の上に敷かれたアルミホイルに置かれた生肉をペン先から放たれるレーザーでジュージューと焼いていく。


 美味い美味いと食っていたOB達だったが、腹が膨れてくるにつけ段々と正気に戻ってきた。


『これはひょっとしてヤバい事をしているのでは無かろうか?』


 と皆が思い始め、ある1人が喜々として肉を焼いている教授に「あの教授、そろそろお開きにしませんか…?」と語りかけた。


 ところが教授はまだかなりの酒が残っており、お楽しみを中断されて腹を立てる。


「なんやワレ、ワシの焼く肉が食えん言うんか?!」


 なんでもその教授は人と討論する際に相手を指差す癖があったそうで、声をかけたOBに指先を、もとい稼働中のレーザー発振器が向けられた。

 直撃こそしなかったものの、OBの横の壁に焦げた黒い点が現れる。


『これはヤバい、マジでヤバい』

 となったOB達、全員がパニック状態でバラバラに逃げ始める。


「こら〇〇! 誰のおかげで卒業できたと思てんねん!」

「こら✕✕! 下駄履かせたったんは誰や?!」


 そこに教授がレーザーで1人1人を狙い撃ちにする。研究室はもう怒号と悲鳴が支配する阿鼻叫喚の地獄さながら。

 終いには教授が発振器のコードを持ってグルグル振り回すに至り、天井の蛍光灯も焼かれて割れ、暗闇の中OB達を襲う全方位攻撃に地獄度が更に加速する。


 最終的に暴れ疲れて眠ってしまった教授の横で機械の電源を落として解決(?)したのだが、翌朝になって研究室を見てみると縦横無尽にレーザー光の軌道が壁に刻まれ、以後その部屋は『近大のゼブラルーム』と呼ばれて親しまれたそうだ。


 ☆

 

 この話は2人の人物の対談形式で書かれていたのですが、聞き手が「その話は本当なんですか?」と問うたところ、語り手が「本当も何もホラ」と袖をまくるとその腕にはくっきりと黒く焼かれた線が残っていた、というオチがついておりました。


 こんな感じで「原子炉研究」の話とか「ロボット開発」の話とか「SFファンのヒエラルキー」とかたくさんネタがあったんですが、機会があればまた記憶を掘り返してみようと思いますわw

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