我ガ為ノ世界

視界が開け、再び眼前に不孝さんを捉えます。私同様決着を確信していたのか驚愕に目を見開くその姿は、やはり人間らしくなっているように見えますね。


いや、そんなことよりもまず……



「ラピス、最高! ありがと、愛してる!」



「~~~~~~~っ! あ、ありがとうございます!」



何故か「ありがとう」に対して顔を真っ赤にした「ありがとう」が返ってきました。顔に血が上るくらい全力で私の所まで走って来てくれたんでしょうか? その割に息が上がってる様子は見られませんが。


と、不孝さんを警戒していた私の視界がシステムウィンドウを捉えます。



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「純粋なる信仰狂気が、貴方を押し上げる」


スキル〈我ガ為ノ世界〉を獲得しました。


〈我ガ為ノ世界〉信仰者名:ラピス

・信仰者のステータスの一部を一時的に徴収することが可能となる

・信仰者を消費し、神の威を顕すことが可能となる

・[アクセス権限がありません]

・[アクセス権限がありません]


称号[第二神格ルシッド・ドリーム]を獲得しました


貴方の存在がより鮮明になりました



────────────────



……うん、他にも色々ツッコミどころはありますがなんですか信仰者を「消費」って。表現が無機質すぎて怖いんですが。



「ラピスが何かしてくれたってことで良いのかな?」



「はい! 今よりこの身体の全ては先輩のものです!」



うーん? 身体ってあれですよね、アバターのことですよねそうですよね。なんだか背中の辺りをゾワゾワしたものが駆け抜けていったので不安になってしまいました。



「っと、危ない。大丈夫ですって、不孝さんのことも忘れて無いから拗ねないで下さいよ」



私がラピスとシステムウィンドウにかまけてるのがお気に召さなかったのか、横からパイルバンカーが殴り掛かってきます。それを半身で躱して視線を向ければ、融けた壁を背に不孝さんがこちらに向きなおる所でした。



「それじゃあ仕切り直しと行きますか。ラピス、あとでちょっとした頼み事するかもだけどそれまでは手出し無用ね。なるべく1人で倒したいから」



「了解です!」



まあ分身をラピスとチャッカマンさんに任せてる時点でソロでもなんでもないですが。不孝さんはというと不意に蘇生した私を警戒しているのかさっき程の攻めっ気は無いようです。ゆっくりと私を中心とした円を描くように移動しながらこちらを観察しています。向こうが先手を譲ってくれるというのであればありがたくいただきましょう。



「先手必勝一撃必殺!」



思考加速の段階を一気に数段上げ、叢雲を抜刀します。先ほどまでの緩やかな加速からの急加速、流石にこの不意打ちには対応されないでしょう! 卑怯? ふはは勝てばよかろうなのだァァァァッ!


不意打ち気味に首を狙って振りぬかれた叢雲ですがさすがは不孝さん。一瞬反応が遅れたとは言え即座に上体を後ろにそらして回避行動をとります。ですが残念、私の思考はもうそこにはいません。手首を翻し順手から逆手へ、そのまま叢雲を振り下ろし不孝さんの足甲に突き立てます。ズドンッ! っとまるで大砲のような音が洞窟内に響きました。



「ガァァァアッ!?」



その後を追うようにして不孝さんの口から苦悶の声が……え、声?




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久々過ぎる更新、俺で無きゃ見逃しちゃうね。

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