第3話 入学式

翌朝、クラスが発表され、入学式が実施された。寮で同部屋の押岡と同じ、村掛が担任の5組だった。校長、来賓から通り一遍の祝辞が贈られたあと、理事長が登壇した。「コンニチハ、理事長のイバニエス、 デス。皆サンハ、コレカラ6年間、本校ヲ自分ノ家ト思ッテ、ノビノビト、学ンデイッテ下サイ。先日、日本デ大規模ナ震災ガ発生シマシタ…」

震災当時、各社がテレビCMを一斉に中止し、代わりにアニメーションのキャラクターが登場する公益団体のコマーシャルが繰り返し放送されたことに触れた。理事長が降壇すると、黙祷が設けられた。

「これより、先に発生した大震災の犠牲となられた方々を悼み黙祷を行います。皆様ご起立願います」

黙祷!の号令と共に、体育館に静寂が広がった。

中学受験の心の支えとしていた、胸躍るような、憧れの学園生活、寮生活への期待とは裏腹に、まだ復興の途についたばかりの日本と自分のこれからを思うと、心境は複雑だった。


寮に帰ると、寮の新入生に向けた市内観光へのバスが待っていた。

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