最終章 春が来た

それぞれの道

最終話 やれやれだ

それから俺達はアパートに住む様な感じになり。

そして.....年月があっという間に経過した。

5年は経ったと思う。

俺は色とりどりに染まる桜色の世界を見ながら。

空を見上げる。


今俺は.....大学3年生になった。

放火されてからまた色々ありながらも、だ。

そして俺は美香と付き合ったままである。

俺は授業を終えてから外に向かって歩いていると。


「花奏」


「おお。美香」


そんな感じで俺達は対面する。

それから別大学に行っている美香と朝ぶりに再会した。

そして笑顔を見せてくる美香。

俺はその姿を見ながら、じゃあ行くか、と歩み出す。

手を繋ぎながら。


「奏多ちゃん、おーちゃん、豊子ちゃん。.....みんな待っているみたいだから」


「そうか。それは急がないとな」


春風が吹く道を歩く。

それから彼方の方を見る。

そこには桜が咲き誇っていた。

季節は3月。

全て色付いている。


「ねえ」


「.....どうした?」


「色々あったよね。本当に」


「そうだな」


「美鶴の事もだけど私の事件とか貴方の事件とか」


「そうだな.....まあ多くあり過ぎたな」


人生ってこんななのかな?、と疑問に思う美香。

そんな感じで会話をしながら手を繋いだまま桜吹雪を身に感じる。

まあ確かにこの人生は濃すぎると思うがな。

考えながら俺は顎に手を添える。


「正直.....俺達の人生はかなり複雑だとは思う。だけど.....それなりに神様は残してくれたから良いんじゃ無いかな。俺と美香の関係性とかな」


「そうだね。.....まあ確かにそうかもね」


そんな会話を出来るのも奇跡と感じる。

俺はそんな事を考えながら歩いてから周りを見渡す。

交差点に差し掛かった。

ここら辺のカフェを貸切にしているらしいが。

未来が、である。


「おーちゃんが貸し切っているらしいの。.....この辺りだと思うけど」


「そうか。じゃあゆっくりでも良いから探すか」


「そうだね」


それから俺達はそのまま周りを見渡しながら探す。

そして歩いていると、おーい、と声がした。

背後を見ると.....未来がこっちに来ている。

恋とみんなも一緒だ。


「やっと来れたんだね。花奏ちゃん」


「.....そうだな。待たせたな未来。なかなか.....授業が終わらなくてな」


「ううん。全然気にならないから。.....みんなと会話していて楽しかった」


「.....そうか」


恋が俺に、花奏先輩、と言ってくる。

俺は、どうした?、と答えた。

すると、これどうぞ、と何かを差し出してくる。

それは.....花束だった。

え?


「花奏ちゃん。忘れちゃいけないよ。今日は美香ちゃんと本格的な付き合い始めてから4年でしょ?もー」


「あ、ああ。お、覚えていたとも」


「怪しいですね.....これはスクープかもしれないです」


「いや勝手にスクープにすな」


そんな感じで俺は苦笑いを浮かべる。

それから、全く花奏ちゃんは、と言う未来に対して。

そして周りのみんなに対して。

有難うな、と告げる。


「私達に出来る事はこれぐらいしか無いので」


「そうだよ。お兄ちゃん」


奏多の首元。

そこに痛々しい傷がある。

それは火傷の跡だ。

消えなかったのであるが。

俺はそれを見てから奏多を見る。


「有難うな。奏多」


「ううん。気にしないで」


そして俺は自然と溢れてくる様な涙を拭いながら、所で何処に店があるんだ、とみんなに聞くと。

とびきり美味いパスタのカフェだよ、と答えた。

俺と美香は目を丸くする。

そんなものがこの街にあるとはな。


「パスタの専門店だからスパイスとか上手なんだ」


「そうですよね。未来さん」


「.....へー。それは美味しそうだな」


「みんなで見つけたからね」


それから歩き出す俺達。

その店が何処にあるのかと思ったら。

住宅街の中に存在していた。

俺は驚きながら看板を見る.....ってオイオイ!?


「パスタ.....吉川!?」


「.....え!?」


吉川って.....アイツか!?

俺は目をパチクリしてクワッとなる。

それからバァンとドアを開けると。

そこに吉川が、やあ、と立って居た。

何様だコイツ!?


「お前な。明らかにおかしいだろ。医者からパスタ屋かよ」


「この店は僕の奥さんが営んでいるからね」


「お前.....結婚していたのかよ」


「そうだね」


いつの間に結婚してんだが.....。

まあコイツの動向なんぞ興味すら無いが。

考えながら吉川を見ると。


まあまあ。今日は貸切だからねぇ、と言いながら。

奥の席を案内された。

貸切、と書いてあるのだが。


「わざわざどうも。吉川」


「まあこれも僕の仕事だからねぇ」


「吉川に誘われてね.....」


「だからと言え.....奏多これは.....」


毒でも混ぜられそうな気分だ。

まあ猛毒に浸っている気分だけどなもう既に。

考えながら俺と苦笑している美香は椅子に腰掛ける。

それから吉川は、じゃあメニューはカルボナーラで、と決める。

お前な!!!!!


「勝手に決めんな!?」


「勝手に決めるのが僕のスタイルさ。ハハハ」


「.....アンタ.....」


「まあまあ。美香先輩。.....一応ですけどコイツはめっちゃ反省しているみたいですしね」


「.....まあ良いけどね。私ももう気にして無いから。一応は」


しかしまあ.....吉川の店、か。

数奇な運命なこったな。

俺達はそんな感じで居ると。

豊子が何かを取り出した。

一つ星レストランの紹介だ.....え!?


「この店って載っているのかこの雑誌に!?」


「そうですね.....私も最初は目を疑いましたけどね。だから安心した点もあるんですけど」


「まあ.....そういう事です」


「安心だよねぇ」


こんな店が?あり得なくね?

俺は顔を引き攣らせながら反応する。

すると、まあ君達には知らせる必要も無かったしね、と吉川が皿を拭きながらやって来た。

僕はメニューを考えているだけさ、と言いながら。

マジかコイツ。


「ああでも反省はしているさ。勿論ね」


「それはそうだろうな。そうじゃ無かったらぶっ飛ばしてる」


「おお怖い怖い。旦那様だねぇ」


「お前に旦那と呼ばれる筋合いはねぇ」


そんな感じで会話をしながら。

俺は苦笑する。

それから俺達を迎えてから。


そのままパーティーの様なものが始まる。

その感じに俺は.....ただただ追い付くのに必死だったが頑張っていた。

その中で.....豊子がしんみりした感じで言い始める。


「迷惑ばかり掛けましたよね。私」


「.....その分だがお前は生徒会長になったりした。.....頑張ったと思う」


「そうですかね」


「ああ。俺はそう思うがな」


「学校改革の為でしたから」


「だけど凄い事だと思う。誰にも真似出来ない様な、な」


豊子は実は生徒会長という役職を担った。

それから1年近く頑張ってくれたお陰で学校の改革は進み。

取り敢えずはイジメに対したりは強くなったと思う。

考えながら俺は豊子の頭を撫でる。


「美鶴のお母さんも.....不起訴処分になったから.....豊子が生徒会長になって良かったと思う。なんか色々と人生が変わった」


「.....先輩。有難う御座います」


それに恋も.....な。

思いながら恋を見る。

恋は頷きながら、生徒会長のお陰だね、と笑顔を浮かべる。

生徒会長は止めて下さい!、と豊子は赤くなって照れて言うが。

でもな本当にそのお陰だと思うしな。


「後は先輩の結婚ですね」


「それは確かにねぇ」


「確かに!」


「お前ら.....」


俺は額に手を添えながら周りを見る。

横では美香が俺に対して微笑みを浮かべている。

やれやれだな、と思いつつ揶揄うみんなを見ながら。

じゃあ乾杯でもすっか、と告げた。


結婚の組み立てもするつもりだが大学を卒業してからだな、とは思うが。

まあこの世界なら大丈夫だ。

だってみんなが居るしな。


fin

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幼馴染に振られた俺 〜何故か知らないがそれから色々な女子にモテ始めた〜 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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