第22話 最強の地属性魔法


 彼の魔法は地の魔法最強……。

 魔法界の常識を破るとんでもない、途方もない魔法。


 地の魔法は範囲を広げれば広げるだけ効果が出る。

 通常は足場を乱し、相手の逃げる範囲を狭め、細かく行使して相手を追い詰めていく。

 

 魔法効果範囲は詠唱の時間に比例する。

 逃げられない程に大きな範囲を作るには時間がかかりすぎる。

 詠唱中に気付かれ、攻撃されれば負けになる。

 でも、彼の魔法は詠唱はいらない、相手を重力圏内に入れたら、空中に浮かべたらもう勝ちが決定する。

 極端な話、詠唱がいらないという事は、範囲はいくらでも広く出来る。

 

 戦闘時相手の体重、体格を気にせずに、広範囲に重力魔法を展開し、敵を空高く打ち上げれば、それで勝利になる。


 空中に浮かべるには、一人一人の体重、体格を考慮しなければならないので、別々に魔法をかける必要があるが、彼は既にそれもクリアしている。


 もう、彼に勝てる者は……この国には僅かしかいないだろう……。


 こんな作ったばかりの、覚えたての魔法使いしかいない、新人パーティーが束になっても本気の彼には近づく事も出来ない。


 もう……私でも、且つての私でも、この子が本気になったら勝てるかわからない。

 まだ知識と戦い方を知らないから、なんとかなるかも知れないが、重力魔法の応用はとてつもない。

 鍛えれば、教えれば……勝てる……この子なら……あの……叔母様にも……勝てるかも知れない。


「参った! 降参する! 俺たちが悪かった!!」

 空高く上げられた3人はあっさり白旗を揚げた。

 そこから落とすだけで、簡単に死んでしまう。対人なんてあっさり決着が付く。


 こんな事では練習にならない……彼の能力はこんな物じゃない。

 こんな新造パーティーでは、もう彼の練習相手にもならない……もっと強い相手が必要……。


 ……そう言えば……。


 彼の元いたパーティーは森で大勝利しその分け前を拒絶され追放されたとか言っていたわね……。

 

 そいつらがわかれば、そいつらと彼を戦わせれば……彼はもっともっと強くなれるかも知れない……。


「リン!」


「は、はい! ジェシカ様!」

 呆気に取られ茫然としているリンを私は呼んだ。


「いい事……彼の魔法は誰にも言ってはいけないわ……さもないと貴女の秘密をバラすわよ」


「!」


「……私が気付かない、気付いていないとでも?」


「─い、いえ……申し訳ございません……」


「それとね、頼みがあるの……次に町に行ったら、ヨークの前にいたパーティを調べて頂戴」


「調べる?」


「そうよ、ギルドに行って調べて頂戴、そして居場所を突き止めたら」


「……突き止めたら?」


「ここにヨークがいる事をそれとなくそいつらに流して頂戴、そうね、こう言って欲しいわ、ヨークが今までずっとパーティーの金(ゴールド)を盗んでいたって、それでその金で買った土地で、今、村を造ってるって」


「……そんな……」


「頼んだわよ、リン、ちゃん」

 

「…………は、はい……」


 

【あとがき】

 ちょっとまた心が折れたので、繋がるまで休みます( ;゚皿゚)ノシ

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