第6話 名前
「さ、そろそろかえろ。」
「そうだな。帰りは裏から行こうぜ。」
神社の裏には私たちの家の近所に出る。そして裏庭があり、そこには
「あじさい……。」
「おー。花のことはあんまりわかんねーけど、いい感じだな。」
「……。」
「なんだよ。黙り込んで」
「昔、小6の時も2人で見た。あんたと。」
「覚えてた?」
「うん。」
「あの日、俺が振った女子にお前ここでボコられただろ?」
「ボコられるほどじゃなかったけど。」
「まぁいいんだよ。そんで俺がかっこよく助けた。」
「次の日からあんたを避けるようになった。」
「ほんとにな。朝学校いったらお前俺を空気みたいな扱いしてくるから何かと思ったわ。」
「あの時はただただ、誤解されるのが面倒になったから。今は悪いと思ってる。」
「しゃーねーよ。俺、超絶モテてたから。お前といつも一緒だったから、お前は女子の反感を買いまくったからな!」
「ホ…ン…ハ。」
「なんて?」
「本当は嫌だった。なんで私が勇くんと話ちゃダメなのとか。いっぱいおもった。でも、みんな私のせいで勇くんに好きになって貰えない。邪魔って言われたから…。中学も一緒の子達だから仲良くしないとって思って。ごめんね…。」
「わかってた。俺たちいつから一緒にいると思ってんだよ。でももう俺たち18だ。そんなこと言うやつもう居ねーよ。だから、戻ろうぜ。」
「…うん。」
「いや、やっぱり戻らない。」
「……は?」
いつの間にか雨はやんでいた。
「付き合おう、鈴香。」
待ち人来たり。
待ち人 白樺 @mikeneko_sakamiti
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます