第8話 狂師
小3,4時代の担任Bは小学校教師という概念からかなり逸脱していた。常に黒いサングラスをかけ、ヤクザのような風体。で極真空手の有段者。生徒にテストや自習をさせてる間、タバコを吸い、時には指名した生徒に肩もみもさせる。左手には短い竹刀を常時携帯している…80年代の中学校教師ならまだ理解できるのだがw風体を裏切らず生徒に暴力も振るっていた。女子でもビンタ、パンチ。男子には容赦ない、しなる竹刀のムチ。毎日、誰かしら泣かされていた。運動会練習の時、だらだらやっていたという、しょうもない理由で私も竹刀で叩かれたことはあったが、泣いたことはなかった。父の日常的な暴力で耐性があったからか、痛みもあまり感じず、憤りもなかった。父の暴力と違い、意味があるもののようにも感じた。だが信頼してはいなかった。むしろ嫌いだった。前章のA君の私へのいじめを知ってか知らずか何もしなかったから。私の担任教師なのに、知りながら何もしてくれない同級生と同じだったから…そして事件が起きる。
いつも問題を起こすと私に頼ってくる、見るからに知的障害がありそうな同級生の提出期限を過ぎた課題を手伝っていたら、下校時間を過ぎて帰るところを陰険な学年主任に見つかった。その翌日、理由もわからないまま立たされた私の腰へいきなり、担任Bの跳び蹴りが襲来して私は教壇へ吹っ飛んだ。あまりに突然で不意を突かれたからか自分ではわからないが、同級生には見せたことのない凄い形相で担任Bを睨み返したらしい。私が起き上がると、担任Bはなぜ跳び蹴りしたのか理由を言ったようだが、吹っ飛んだ衝撃なのか心の衝撃なのか、耳鳴りがして私には届かなかった。そして下校時には耳鳴りもとまり、怪我は腰の痣だけだったので、親に話すと私が孤立することになるだけだと考えて、私は誰にもこのことを言わなかった。でも同級生の母親がこの事件を私の母へ電話して大騒ぎになった。
その夜、帰宅した父のストレスの捌け口となった私は、叱責と折檻で一晩中泣き続けた。母も妹も黙っているだけだった。いまだにあの夜の悪夢を見る。
この事件以降、ますます私は人間嫌いになった。
遺書のようなもの シシシシの人 @prfmikage
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