脅威に溢れて変わってしまった世界を旅する、色男のワクワク冒険旅行記

※11巻11話まで読んだ上での感想。

最近読み始めて、コメント欄にお邪魔しつつもレビュー書かなかったのは今あるぶん読まないとレビュー書けなさそうな作品だと思ったので。

全体を通して感じる長所の一つは、テンションの描き分けとアニメや漫画のような映像が浮かぶ映像みたいなバトルの得意な文体。軽い崩した表現もあるけど、厨二語彙力必須なタイプのバトルシーンには読み惚れるカッコよさもズタボロになる泥臭さも、景色を見るような美しさも全部詰まっていて、各地を練り歩く主人公達の見る風景も旅行や冒険してるような臨場感たっぷり。キャラ心理も主人公はもちろん周辺の人物、時には敵側の魔物と丁寧に掘り下げられていてパッと愛着がわきます。序盤からセンス感じる文章だったけど、後の方になるほどここらへんの長所が研ぎ澄まされていってます。

なるべくレビューは内容に触れたい主義なんですが、結構印象の変わっていく物語で、まるで各地の旅行記もしくは冒険記を読んでいるように各巻印象の違う話なので、なかなか総括的レビューが難しい……。とりあえず1巻の展開には意味のある物語だとは言っておきたい。それは2巻3巻と読めばわかると思うし、だいぶ飛んで8巻まで行っても変わらないと思う。マサの心情としても読者の心情的にも、ハイじゃあそうですか、となるには時間が経ち過ぎた部分はある。例えマサがハーレム男だとしても。そしてそれは彼女が一番よくわかっている事だろう。

あまり上手くまとめたレビュー書くより、各巻ちょっと雰囲気が違う冒険記、旅行記的なワクワクする物語ですって言ったほうが的確な表現かな。事実そうだし。旅行系動画投稿者的側面もあって、それ見てる視聴者パートなんかもあるんが今風でユニークな点。マサは人としての頭のネジが外れてるし、かといって情がないわけでないし、女たらしで女子がときめく言葉を計算じゃなく本気であげられる奴だけど、基本的に自分が楽しいで生きてるようなやつです。そんな彼の生き方が、オタクがテンション上がる「世界が魔物と魔法と固有能力(この作品は、魔法要素と能力もの要素両方ある)で溢れたら」という世界設定と相まって、読んでてとてもワクワクします。まだ彼の冒険は続くし彼は一生色男だろうけど、9巻で彼の一番大切なもの、誰と誰の物語なのかは一区切りついてハッキリしたようにも思いました。

どういう話かを一言で決めつけずに、辛いも嬉しいも苦しいも楽しいもその場の臨場感やリアリティある心理と一緒に楽しんでほしい。そしてノエル達と一緒に、気ままな男に気持ち振り回されるのをなんか悔しく感じつつも、惚れてしまおう。そんな作品です。今でもオタ活楽しいけど、慣れて忘れかけてはいた、小説のページをめくる時のワクワクを、この作品を一気読みしながら久々に思い出しました。

全巻面白いけど1〜4巻、7〜9巻の密度があまりに強烈過ぎて真ん中くらいの記憶が曖昧になってる。(必要な話だし、旅行記、キャラ萌え回として、また今までの展開生かした流れで十分楽しかったんだけど)そして敵が本気で怖かったのは4巻。(その後も色んな意味でやべぇのは出て来てピークはここで終わらないので安心してください)

多分このレビュー内容もすぐ古くなってしまうんだと思う。

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