第44話妹とネタ切れと完結

「お兄ちゃん……ネタ切れですか?」


「メタいネタを持ち出すな、読んでる人には関係ないんだから」


「気にはしているんですね……」


「あっ! CCNA勉強してるんだからそのネタやりましょうよ!」


「あれなあ……難しいんだよなあ……インターネット老人会として知識無双できるかなと思ったんだが考えが甘かった」


「お兄ちゃんはこらえ性がないですからねえ……」


「しかし……お兄ちゃん! これはアイデンティティの危機ですよ!」


「分かってるよ……」


 ネタが無いものはしょうがない、ないところから引っ張り出さなければ……


「そう言えばお兄ちゃん、androidでプログラム書いてたのは辞めたんですか?」


「どうもGoogleの方針が好きじゃなくてなあ……」


「アドブロッカーが公式アプリに置けませんもんね」


「それもあるし、言論弾圧がキツい」


 ちょっと下品な言葉を使うとすぐにリジェクトされる、アプリ内で使っている場合はほぼスルーだ、この辺のアンバランスさが好きになれない。


「お兄ちゃんはソフトウェア特許にも反対の過激派ですもんね!」


「政治的な話題は辞めとこうか?」


 ソフトウェア業界の最左翼である特許反対派については嫌っている人も多いので配慮しておく。


「そうだ! お兄ちゃん、スチムーでのゲームレビューとかどうですか?」


「迷走してる定食屋みたいな感覚で案を出すなよ……それ何でもやって、どれもつまんないってパターンだろ」


「お兄ちゃんの悩みは私の悩み、いい言葉を教えてあげましょう!」


 ロクなアイデアじゃないのだろうけど一応訊いておく。


「毎日更新が無謀なんですよ!」


「うっ……それはまあ……確かにそうなんだけど……」


「大体妹と兄の話なんてTwitterのエッセイマンガだって毎日更新してないのにできるわけないじゃないですか? あっちは縛りほとんどなしでも毎日更新なんてしてませんよ?」


「それは面白いことがないからで……」


「あの手のマンガが実話だと? あんなん絶対フィクションですって!」


「とりあえずTwitterの闇に突っ込むのは辞めておこうか」


「って言うか、完結でいいんじゃないですかね?」


「ええ! こんな中途半端なところで!?」


「この業界にエタってる作品がいくつあると思ってるんですか? 別に一つがやっつけで完結しても誰も気にしませんよ?」


「そうなのかなあ……」


「はい! というわけで、妹とお兄ちゃんは末永く幸せに暮らしていきました、きっと他の世界線の兄妹だって幸せなのでしょう……兄と妹、二人がいれば世界に何があろうと満足なのでした」


 ――完

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妹アンソロジー、あるいは兄妹愛の形:なろう同時掲載(妹は全て血縁です) スカイレイク @Clarkdale

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