必殺魔球さえあれば例え試合メンバーが2人だけだったとしても強豪野球チームに勝てるかもしれない

まちゃかり

必殺魔球さえあれば例え試合メンバーが2人だけだったとしても強豪野球チームに勝てるかもしれない

「一回表ツーアウト、スコアは11-0。あと1人やれば私達2人だけで強豪チームに勝てる!」


 さあ、ラストボールだ!

 そうして特注品のキャッチャーミットを構えたのだが、ピッチャーの様子がおかしいのに気づく。

 なにやら指先を気にして……指が震えている!?


「く、ヤバいな。斬首暗殺ボールで14人殺って残り1人まで追い詰めたけど、もう指が限界で投げれない……」


「フフフ、一樹&五月チームよ。一球一殺はいいアイデアだが、ピッチャーとキャッチャーだけで『神保町邪神坂レジスタンス』に挑んだのは間違いだったな!」


 最後の代打兼監督をやれれば、相手チームの選手全員プレイ続行不能になる。それが唯一私達に残された勝ち筋だ。

 相手打者が全員死球で出塁したことでスコアは11-0という絶望的な差になっているけど、監督さえやれれば戦況をひっくり返して没収試合不戦勝にできるのに……


 このままじゃ例え投げれたとしても球の威力が足りず監督を仕留め切れないかもしれない。どうしよう……


「こうなったら奥の手を出す! 魔球•火の鳥フェニックスボールで勝負だ!」


 ピッチャーの一樹くんが台本にはないセリフを言い出し、投球の構えに入った。

 その姿は自慢の火の玉ストレートで強打者を幾度も薙ぎ払った往年の藤崎球児を彷彿とさせる!


「最期は小細工無しの真っ向勝負か。いいだろう。かかってこい!」


 神保町邪神坂レジスタンスの監督兼代打も準備万端のようだ。


「フ、それがアンタの遺言か。その魂は賞賛に値する。散り際は……俺の心に刻もう。では、逝くがいい!」


 そしてピッチャーが球を……

 球を投げる前にピッチャーがタイムをかけ、プレーは一旦中断することに。

 さっきの緊迫した時間はなんだったのだろうか?


 キャッチャーと監督兼代打が困惑してる中、ピッチャーはベンチ裏からガソリン用ポリタンクを持ってきていた。

 そして……ポリタンクの中からおそらくガソリンを大量に吸っているであろう球を取り出す。その球にピッチャーはチャッカマンで火を灯した!


「待たせたな! 必殺魔球火の鳥フェニックスボール!(物理)」


 (物理的に)球が燃えている……!?


 準備は終わったのはいいとして、この斬撃無効特注ミットは耐火に対応してないんだけど……私、これ死じゃない?


「ウォォォォ! ヤケクソジャァァァ!」


 ピッチャーが投げる直前、代打兼監督が泣く子も黙るような威圧感を解き放ってきた! さすが強豪チームを率いる監督といったところだろう!


 さあ、勝者はどっちだ!

 そして、この勝負により誰が死ぬことになるのか!


 ピッチャーが振りかぶって……







       ◇







「アチチチチ!? アチャァァァァァ!? アチチチチ! アツァァァァ!?」


 なんと火の球の火が想像以上に強く、身体にガソリンが付着してたのもあるのか、もたもたしてるうちにピッチャーの身体に火が燃え広がってしまった。


 なんとか消化器を使い火を消すこととピッチャーの命を救うことには成功したものの、肝心の試合はピッチャー小坂一樹選手の炎上負けで幕を閉じた。


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必殺魔球さえあれば例え試合メンバーが2人だけだったとしても強豪野球チームに勝てるかもしれない まちゃかり @macyakari

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