第658話 仮面ダレダー!ここに爆誕!(2)

 いや……これは本当に仮面ダレダーなのか?

 初代仮面ダレダーは、どちらかというと深い緑色……それがどうだ、全身黒茶色の装甲で覆われているではないか。

 だが、仮面ダレダーを見たことがないクロトには、その判断が全くつかない。

 しかし、その存在に本能的な嫌悪感を抱かずにいられないのだ。

 というのも……その色は……まさしく……

 仮面ライダーがバッタを模したモノであれば、目の前の仮面ダレダーはゴ〇ブリを模したように思えてならないのである。

 なぜにゴキブリ!

 そう考えると……あながち、「変身」ではなく「変態」でもいいような気がしてきた。

 そう、変態とは虫の幼体が成体に変わる際にサナギを通してその様子を変えるもの。

 ――いやいや! やっぱりそれは間違いだ!

 クロトはとっさに自分の考えを否定してた。

 というのも、バッタもゴ〇ブリも不完全変態の仲間なのである。

 不完全変態、それはサナギを通らず幼体から成体へと変化するものをいう。

 そして、タケシもまた風車のエネルギーによってサナギを通さず、いきなり黒茶色の装甲をまとった体へと変化したのである。

 その事実をみると……はやり、ココは変態ではなく不完全変態!

 ――というか、今はそんなことは問題ではないでしょwww

 すかさずクロトはつっこんだ! って、誰にやねんww

 そんな事よりも、タケシの体が黒茶色の装甲に覆われたのは一体どういうことなのだろうか?

 読者の皆さんは今一度思い出してほしい。

 本郷田タケシはツョッカーによって改造された改造人間であったことを!

 すなわち彼の体は第三世代の融合加工体なのである。

 それはデスラーによって施された融合加工手術!

 タケシのケツにはタケコプターがつけられていたのである。

 本来、このタケコプターは「どこでもドア」ならぬ「どこでもウ〇コ」ができるようになるという画期的なものであったのだが……デスラーが羽の回転方向を間違えてしまった一品なのであった。

 だが、これにより本来大気中に噴霧されるウ〇コの微粉末は逆流しタケシのケツにこびりつくのだ。

 黒茶色の装甲によって硬質化するケツの皮膚。

 さらに!今のタケシの体は、ウンコ酒のゲロによって全身ドロドロになっていたのである。

 そう! タケコプターはウ〇コを微粉末にするだけにあらず!

 風車に蓄えられたプゥアーエネルギーはウ〇コであれば全て硬質化するのである!

 そして、満を持して風車が勢いよく回った!

 ピュィーーーーーーン!

 風車から放出されるプゥアーエネルギーの連鎖反応!

 みるみるうちにタケシの皮膚が硬質化していく!

 そして、今! タケシは仮面ダレダーBLACKへと変身したのである!


 というか……この黒茶色い装甲は……ウ〇コかよ……

 どうやら嫌悪の正体はコチラだったようであるwwww


 だが、そんなことには我かんせずのタケシはビシっとポーズを決める!

「俺は!太陽の子! 仮面ダレダーBLACK!RHー!」

 いやいや……あなたの場合……太陽の子ではなく大便の子ですからwwww

 というか、RXじゃなくてRHーwww なんですか!RHーって!

 なにを隠そう! 本郷田タケシの血液型はRh-のAB型!

 日本赤十字社のホームページによると「日本人ではRhマイナスは200人に1人、AB型は10人に1人ですから、同じAB型でRhマイナスの人は2000人に1人」となっている。

 すなわち!とても珍しい血液型なのである!

 というか、それとこれが関係あるんかい!

 アホか! そんなの関係などあるわけないだろうが!

 よく見ろ!

 それは「RHー」であって「Rh-」ではないのだ。

 だからこそ、このRHーは血液型抗原を現したものではない。

 ならば何を現したというのであろうか?

 天才クロトにして頭を悩ませる、この難題!

 ――うーん。一体何だろう。

 そんなクロトの様子を見たタケシが勝ち誇ったかのように叫ぶのだ。

「俺は地獄から帰還したーーーー男! タケシです! すなわち!Return to Hellーーーーータケシ!」

 それを聞くクロトはあきれ顔。

「タケシさん……そこは『to』ではなく『from』だと思いますよ。それだと地獄に戻っちゃいますよ……」

「クロちゃん! そんなことはどっちでもいいだヨ! だからわざわざ省いてんだからさ!」

「なら、マイナスはどこにあるんですか?」

「だ・か・ら! 帰還し『たー』の『ー』の部分だよ! 分かる?」

「それ……必要ですか?」

「当然!」

 それを聞くクロトは確信した。

 絶対に……「Real Hentai」の略に違いないと……

 いや、それだと「ー」がないではないか。

 ちゃんとあるんです。

 そう! 彼こそ! 仮面ダレダーBLACK!RH一号! 仮面ダレダーにして最初の仮面ダレダー! すべての始まり初号機なのである!

 えっ? すでに番組で仮面ダレダーが放送されていて、タケシがそれを見ていただろうって?

 そんなことはクロトには分かりません。

 だって、そんなお子ちゃま番組など神民学校の生徒会長様が見るわけないじゃないですかwwww

 ということで、めでたくクロトはタケシを仮面ダレダー1号と勘違いしたのである。


 ここに仮面ダレダー一号! 爆誕!


 まぁいいやwwwこのさい1号でもBLACKでもwww

 そんなことより忘れていないだろうか。そう、彼らの頭上には次元転移ミサイルが迫ってきていることを!


 天を見上げた仮面ダレダー1号いやBLACK RH一は、とっさにクロトへと手を伸ばす。

「クロちゃん! 手に持っているそれを俺に!」

 だが、条件反射的にクロトは手を引っ込めた。

 だって……この手を覆っている黒茶色い装甲はウ○コだもの……

 しかし、仮面ダレダーの「早く!」という強い言葉に、クロトは手に持っていたものを差し出した。

 ……って、クロトが手に持っているものっていえば……

 そう! それはオイルバーン試作機の超推進力エンジンを超小型化したもの。

 先ほどまでクロトがライトセーバーなみに振り回していたのだが、現在、ガス切れで高熱の刃を失っていたのである。

 ――こんなもの、一体何に使うんだ?

 クロトは疑問に思いながらも、その筒をさしだした。ただし、仮面ダレダーの手には一切触れないようにだがwww

 その筒をサッと奪い取った仮面ダレダーは「開血解放」と叫ぶとともに飛び出す突起に親指を押し付けた。

 流れ出す血液。

 だが、当然、ガス欠のエンジンからは光の刃は飛び出さない。

「ならば!」

 と、仮面ダレダーは筒の先端を自分のケツに押し付けた。

 そして、唸るのだ!

「プウ~ア!エネルギー全開!」

 それと共に、仮面ダレダーのケツに融合加工されていたタケコプターが勢いよく回り出した。

 ぷぅ~~~~~~~~~!

 ケツから噴き出すガスが勢いよくオイルバーン試作機の超推進力エンジンに充填されていく。

 というか……タケシに融合加工されていたタケコプターは逆回転するんじゃなかったのかよwww

 そのため、吹き出したウ○コがタケシ自身に舞い戻ってくるのだ。

 たしかに、先ほどまではそうだったのだ。

 だが、今のタケシは先ほどまでのタケシではない!

 というのも、外の屋台で立花のオヤッサンとプロレスをしていた際、椅子に押し付けられるたびにウ○コ酒をケツの穴に注ぎ込まれていた。

 それは一見すると、ただの変態プレーのように思える。

 だが、実はそれは融合加工の一環だったのである。

 タケシの体につけられたタケコプター。

 立花どん兵衛は、すぐさまそれがデスラーの作であることを見抜いた。

 そして、その回転の不具合もすぐに理解したのである。

 しかし、この場でそれを治すにはタケシの体に痛みが伴うのだ。

 というか、素直にケツを出せと言ってケツを出すタケシではない。

 ならば、プロレスと称してケツを出させ、麻酔代わりにアルコールをぶちかけるのである。

 その行為を何度も何度も繰り返す。

 そして今や、デスラーによって融合加工されたタケコプターは立花どん兵衛によって逆回転、順回転ともに使い分けられるようになり、パワーアップしたのであった。

 

「タケシさん……いったい何食べたんですか……」

 クロトは、あまりのクサさに鼻をつまんだ。

 いかにオイルバーン試作機の筒をケツに押し付けているとは、全てのガスを筒の中に充填することは不可能なのだ。

 こぼれ出すガス……あたり一面をデストピアに変えていたwwww

 だが、クロトはその刺激的なニオイの正体に興味を抱いた。

 って、クロトさんもヘンタイですかwwww


 いや! 違うのだ!

 というのも、仮面ダレダーが発する「リボル・ケイン!」という声とともに、ケツの穴に突き立てられていた筒が引き抜かれていく……

 すると! なんと! ケツから青白い光の刃が伸びてきたではないか!

 ――なんだと!

 驚くクロト。

 だがそれは無理からぬこと。

 というのも、オイルバーン試作機はすでに燃料切れのガス欠状態だったはずなのだ。

 そんなオイルバーン試作機が光の刃を作り出すためには、再びロケット燃料を高圧縮に充填する必要があったのである。

 それがどうだ……

 タケコプターによって増幅されたプウ~アエネルギーが充填されると、ガス欠状態だったはずのオイルバーン試作機が再び光の刃を取り戻したのだ!

 ――もしかして……タケシさんの放出するガスはロケット燃料と同等なのか?

 だが、それだとタケシのケツはオイルバーン試作機の発する高熱で瞬時に燃えつきてしまうはずなのだ。

 しかし……いまだにタケシのケツはピンピンとしたハリを保っている。

 もしかしたら、タケシが身にまとう黒茶色い装甲がケツを高温から守っているとも考えられるが……所詮はウ〇コの装甲。そこまでの耐熱性があるとは思えない……いや!モンゴルのゲルは乾燥した家畜の糞を床に敷き詰め断熱材にするというではないか! ならば、この装甲もそれ相応に断熱性を有しているということにちがいない!

 

 ついに仮面ダレダーは光に刃を完全に引き抜いた。

 それはまるで仮面ライダーブラックが腰ベルトから「リボル・ケイン」を取り出したかのようである。

 だが、間違ってはいけない。

 彼は仮面ダレダーであって仮面ライダーではないのだ。

 だから、当然、これも「リボル・ケイン!」ではない。

 というのも、リボル・ケインとはライトセーバーのように棒状のものなのだが、引き抜かれたそれの先端には、なぜか丸い塊がついていたのである。

 もしかして……ウ〇コ?

 しかも……こんな巨大なウ〇コwww

「タケシさん……いったい何食べたんですか……」

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