第628話 犯人は!お前かぁぁぁぁぁぁ!
「って、コレ! 俺のエロ本じゃん!」
確かコンクールの時、エロ本カクーセル巻きから取り出して司会者であるユングラーの手の上に重ねていった。
そこまでは記憶がある。
だが、そこから先はカレー砲の騒動でエロ本を回収するのを忘れていたのだ。
しかし、タカトが今持っているエロ本は、カレー砲による汚れが一切ついていないのである。
ということは……
「司会者のおっちゃん! このエロ本盗みやがったな!」
そう、いつの間にかいなくなっていたユングラーがタカトのエロ本を全て盗んで持って帰っていたのである。
間違いない!
よっしゃぁぁ! エロ本一冊無事回収だ!
と、タカトは回収したエロ本をそそくさとズボンの背後へと押し込んだ。
えっ? エロ本カク―セル巻きに中にしまわないのかだって?
アホですか!
エロ本カク―セル巻きの中はどうなっているか分かっているんですか?
ウ〇コまみれ?
違います。次元跳躍によって取り出したカレーは、排出口こそエロ本カク―セル巻きのモノを使用していますが、その中の異次元空間は別物!
だから、エロ本カク―セル巻き内の異次元空間は、ウ〇コで汚染されておりません。
でも、別の物で汚染されているんですよね……
そう、約42万個のタコさんウィンナー
何個かはガミガミ言う審査員に食べさせたが、そんなのはたかが知れている。
いまだに、大ガミラスのように異次元空間内にはタコさんウィンナー帝国が形成されているのである。
そんな中に、このエロ本を格納しようものなら、すぐさまタコさん帝国のハーレムに連行さられて、あんなことやこんなことを……
「イヤァァァァァァ! やめて! もう許して!」
「はははは! いい声で泣きやがるwww もっと泣け!」
「コケコッコォー!」
「誰がニワトリの真似をしろと言ったのだ! ここはタコさん帝国だと分かって言うのか! タコで鳴けwww」
――えっ? タコって鳴くの? ええい! やけよ! やけくそよ!
「チー! ン♡ ポン!」
……
……
訳が分からぬタコさんウィンナーの面々
「え……っと……エロ本さん……それは、一体……なんの鳴き声なんでしょうか?」
「えっ? 麻雀であまり考えずに鳴くことを『タコ鳴き』っていうんじゃないの」
「あほか! そんなの分かるかぁぁあ! 修正だ! 貴様の曲がった根性を修正してやる!」
などと、体中にタコさんウィンナーの修正シールを張りまくられて、ついには女の柔肌すら見えなくなってしまうかもしれないだろうが!
ということで、タカトは、
――残りのエロ本もどこかに落ちていないかなwwww
と、あたりをキョロキョロと見まわしはじめたのだが、そんな彼の耳に、
「いやぁぁぁぁぁぁ!」
目の前のコンビニの裏路地から夜の闇を切り裂くような女の悲鳴がとどいたのである。
その声がした路地の入口に駆けつけたタカトは、
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!」
その様子を見た途端、大きな叫び声をあげていた。
そう、タカトが持っているエロ本と手のひらに大量の赤いケチャップがついていたのである。
うん? よく分からない?
というのも、ここに駆けつける際にズボンとケツの間に挟み込んでいたエロ本が、その振動によってズレ落ちはじめていたのだ。
――こりゃいかん!
ということで、ズボンから引きずり出して、再度、inし直そうとしたのであるが、なぜか手に生暖かいヌルっとした感触が伝わってきたのである。
とっさにタカトは自分の手を確認する。
なんという事でしょう!
そこには真っ赤に染まった手とエロ本があるじゃぁ~ないですか!
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!」
というか……さっきまでこのエロ本には何もついていなかったはず……
ということは、このケチャップはズボンとケツの隙間に本を隠した時についたものだろう。
だが、そのケチャップを鼻に近づけて臭いで嗅いでみると、トマトの酸っぱいニオイというよりかは、どこか血なまぐさいにおいがしたのである。
――えっ? もしかして……これはケチャップじゃなくて血痕とか?
そう、今のタカトのお尻は真っ赤に染まっていたのだ。
――いやいや……血なんていつ付着するって言うんだよ?
心配そうにおケツを撫でまわしているタカトを見たビン子は、さりげなく心配するのであった。
「タカト……また……自分一人だけで……レッドカレー食べたわね!」
「って、お前は食う事だけか! 違うだろう! これは血! 血なの!」
「えっ! タカトもしかして血便が出たの?wwwさっさと病院行った方がいいわよwww」
「って、俺の血便じゃないわい!」
「という事は、あの子の血便? 大変! あのネズミのような子を探さないと!」
「って、違うだろ! よく見ろ! この血便、カピカピに乾いてないだろうが!」
「あら……ほんと……やっぱり、タカトの血便じゃないwwww」
「ちげぇよ! おそらく、あのオバちゃんにぶつかった時についたんだよ」
「え? なんでおばちゃんとぶつかった時につくのよ」
「もしかしたら……」
「もしかしたら?」
「もしかしたら……あのオバちゃんの血便にちがいない!」
「えっ! なら、あのオバちゃん……体調……大丈夫かしら……」
「そういえば、あのオバちゃんフラフラしていたからな……」
「そうね、なんか顔色も悪そうだったし……」
って、どう見ても血便と違うだろwwww普通の血! ただの血痕!
でも、タカトについている血痕は本当にウ○コ臭かったのだ。
ウ○コで汚れたズボンに血がべっとりとくっつけば、素人がそう思っても仕方ないのかもしれない。
というか、それどころではないんですよ! お二人さん!
そう、そんなボケをかましているタカトとビン子をよそに、その路地先では男が仰向けに倒れていたのだ。
そんな男の体に若い女がしがみつき半狂乱の泣き声を上げていたのである。
「ユングラー! ユングラー! ねぇ! 起きて‼ 起きてユングラー!」
そう、そこで横たわっていたのは先ほどまで道具コンテストの司会をしていたユングラーだったのだ。
だが、その下半身はスッポンポン。
その股間の上には、なぜか青いリボンが一つ置かれていたのである。
しかも、その冷えゆく体の下では赤き血だまりが勢いで広がりつづけていたのだ。
この様子……もう……おそらく……ユングラーは生きてはいないだろう……
だが、それを受け入れられない女は必死になってユングラーの名を呼び続けるのであった。
「ユングラー! ユングラー! ねえ!ユングラー! 私たち!赤ちゃん作るって約束したじゃない! ねえ!ユングラー!」
そんな女の悲痛な叫び声に呼び寄せられたのか、やじ馬たちが続々と集まってきた。
そして、その異様な状況をみながら噂を始めるのだ。
「コレは……また、チ〇コキラーの仕業か……」
「これで一体何人目だよ……」
そう、これまで多くの男たちがチ〇コキラーによって殺されていたのである。
その殺し方というのが、とにかくひどかった……
鋭利な刃物のようなもので男の股間から一モツをえぐり取るのである。
だが、そんな男たちには抵抗どころか悲鳴を上げた形跡すらないのだ……
もしかしたら、抵抗すらできないようにしてからの犯行なのか、それとも、一瞬の出来事だったのだろうか……まったく分からない。
というのも、チ〇コキラーにつながる物証がほとんどないのである
唯一の物証といえば、何かのメッセージのように股間の上に置かれた青いリボンだけ。
そう、それ以外には何も残されていない……だから、いまだにチ〇コキラーが男なのか女なのかも分かっていなかったのだ。
だが、今回ついていえば少々違っていた。
というのも、やじ馬たちの足元には無数のエロ本が散らばっていたのである。
もしかしたら、コンビニの店主がエロ本を廃棄しようと店内から持って出たところを襲われたのかもしれない。
だが、散らばるエロ本は、どれも、なぜかタコさんウィンナーのシールによって修正されていたのである。
こんな変わったエロ本など売っているだろうか?
いや、もしかしたら、コレこそがチ〇コキラーにつながる新たな証拠なのかもしれない!
それに気づいた野次馬たちは口々に推理を始めるのだ。
「なにか匂うな……」
「かなり臭いな……」
「というか、めちゃめちゃ臭くない?」
「さっきから、確実にウ〇コ臭い!」
「誰だよ! ウ〇コ漏らした奴は!」
そして、やじ馬たちの視線は当然に、タコさんウィンナーのエロ本を持っているタカトの元へと集まっていくと、
「「「「犯人は!お前かぁぁぁぁぁぁ!」」」」
慌てたタカトは逃げるようにその場を後にした。
――もう、タコさんウィンナーのエロ本は諦めよう……
というのも、ケツに血便がついている以上、明らかに怪しいのだ。
いかにベン明しようとも、自分の身の潔白は証明できない。
そう、どう頑張ってもタカトの身は茶色なのだwww
そんな状態で、この場に残っていようものならば、殺人事件の犯人としてウ○コ臭い体でウ○コのような臭い飯を食わなければならないことになるかもしれないのだ
……いや、待てよ、普通、牢屋に入れられる前には一度きれいに体を洗ってくれるのではないだろうか……それなら、わざわざ川で体を洗う必要もないのでは……
あほか! 犯罪者に超優しいどこぞの美しい国とは違ってココは融合国なの! 犯罪者に人権などあるわけないだろうが!
きっと、そのまま牢屋に閉じ込められて、何年も何十年も出してもらえないのだ……そして、体が本当のウ○コのように朽ち果てた時、やっと汚物として牢屋から排出されるのである。
えっ⁉ 裁判? そんなもの関係ねえよ! というか、ウ○コ臭い体で裁判なんかに行った日には、開始5秒で死刑を宣告されてしまうわ!
この国の宰相アルダインという男は、そういう男なのである。
なので、タカトはそそくさと逃げるしかなかったのだ。
まぁ、やじ馬たちも臭いの元凶はタカトであるということはすぐさま確信したものの、殺人事件の犯人がタカトであるという確証は持てていなかった。
確かに、タカトの持っているエロ本には血痕が付いていた。
だが、そこら辺に散らばるエロ本にも赤い飛沫が飛んでいるのだ。
もしかしたら、そこら辺に落ちているエロ本を拾っただけかもしれないのである。
だが! そのエロ本を持って、この少年を犯人だと決めつけるのは早計なのだ。
やじ馬たちの中にいた名探偵!ムッシュウ・ムラムラ・エルキュール・アッポォワロが推理する!
「奴は犯人ではない!」
というのも、タカトが立っていた路地の入口付近では、立ち込めるウ○コ臭のため目すら開けていられなかったのである。
これに対して、ユングラーの倒れている路地奥では、確かに生ごみの香りはするものの入口付近の空気に比べるとまだ爽やかなミントのように感じられたのである。
しかも、この路地裏は構造上、風がなかなか吹き込まない。
だから路地奥に溜まった空気が長時間その場に滞留するのである。
ならば、まだ奥の空気が吸えるということは、あのウ○コ野郎は奥に行っていないという事を示しているのだ。
あれほどまでに強烈なにおい……絶対に嗅ぎ間違えるわけはない!
幸ウンにも、タカトの潔白は、その身に付いたウ〇コ臭によって証明されたのであるwww
というか! さっさとどこかに行けよ! ウ○コ野郎!
と言わんばかりに、タカトが去ってくれたことにホッと胸をなでおろしていたのだったwww
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