第591話 コンバイン! 1・2・3!
だが、コウケンは三兄弟のお兄ちゃん!
そんなコウケンは無理やり肺を膨らます!
弟たちにはできなくても、お兄ちゃんならできるはず。
お前は炭治郎か!
「
「なんと水鳥軒奥義! 麻婆赤豆腐!」
龍のような闘気をまといしコウケンに、マグロが一匹突っ込んだ!
だが、マグロはマグロでもその顔中をあばただらけにしたガイヤの着ぐるみ。
しかも、胸にはおばさんらしく、ダボダボのブラジャーまでつけていたのだ。
って、なんで、マグロやねん!
えっ? 赤豆腐って、マグロの意味なんだって。
その昔、おにくを食べることを禁止されていたお坊さんたちが、マグロの肉のことを赤豆腐と言って食べていたんだって。
「これはマグロではない! 赤豆腐だ!」
ああ! なるほど! イノシシのお肉をボタン、シカのお肉をモミジって言うのと同じやね! って、……それを屁理屈って言うんやねん!
だが、それよりも早くコウケンの体が上空高く飛び上がる。
そして、くるりと回転したかと思うと、
「
何もない空間を力強くけり出すと、足裏から空気の塊が甲高い音を立てながら勢いよく打ち出されたではないか。
反発するコウケンの体。
そんな体は、地面に向かって勢いよく直下する。
どゴーン!
大きな音ともに、地面の上ではつぶれたマグロが黒焦げになっていた。
上空からの落下の勢いを込めたコウケンの蹴りがマグロをつぶし、身にまとう闘気で焼き尽くしていたのだ。
白目をむくマグロの表面からは、油の抜け落ちた肉のようなボソボソとした体が見え隠れしている。
そんな、マグロをかぶったガイヤがボソボソと何か言っている。
「……ダム……アダムさまに……忠誠を……」
ついには、白目をむいたままマグロのきぐるみがゆっくりと起き上がりはじめた。
すでに顔面はつぶれ、目玉が飛び出している。
マジでグロい……これこそ、真・グロ!
だが、そんなマグロが吹っ飛んだのだ!
そう、カンパチ! いや、間髪入れずにコウケンの肘がガイヤのみぞおちに入っていたのである。
「ぐぼぼぼぉぉぼおっぉぉ!」
きりもみをしながら飛んでいくガイヤの口からは何か得体のしれないものが巻き散らされていた。
「なんと水鳥軒奥義! マグロ女のタタキ丼!」
そんな吹き飛ぶ汚物が、まるでアメーバーのように無数の糸のように伸びていく。
しかも、それは四方八方に向かってである。
――また何かする気ですか?
コウケンは警戒した。
真面目な性格のコウケンは、まともな攻撃、そう、魔人などの予想されうる攻撃なら、他の兄弟たち以上に対処する自信があった。
だが、ガイヤの攻撃はトリッキー。
次に何が飛び出してくるか全く分からないのである。
ここまで分からないのでは、対処のしようもない。
しかも、その一つ一つが、とても人間のやるようなまともな技ではなかったのだ。
いわゆるコウケンはガイヤとの戦闘において相性が悪いのだ。
そんな意味不明な攻撃はコウケンにとって御しがたかった。
「ならば、一気にここで決めます!」
龍の闘気をまとったコウケンの体が、ガイヤに向かって一直線に加速した!
「びくとりぃぃぃぃ!」
だが、放たれたのは打突の音ではなく、ガイヤの大声。
コウケンの拳は、そんなガイヤに届くこともなく何かを叩きつぶしていた。
ブヒィ……
そう、それはガイヤの前に突然現れた守備兵の顔面であった。
――いつの間に?
そんな驚くコウケンの周りには、いくつもの守備兵たちが集まっていた。
――この人たち……もしかして……
そう、それは死者。
すでに死んでいる守備兵たちが、コウケンの周りに集まっていたのだ。
――しかし、どうやって……
コウケンは、瞬時に周りを観察する。
死人の足元には、何か白い筋のようなものが何本か伸びていた。
その先はマグロをかぶったガイヤへとつながっているのだ。
しかも、その死者の数は5……
――もしかして、こいつ……死者使いか⁉
というか、集まっているのは守備兵の男たち。
どこが女と言うのであろうか。
そう、この場にはマグロ女どころか、女などどこにもいなかったのだ。
そんな中、ガイヤが「コンバイン!」と叫ぶと、コウケンの周りを取り囲んでいた守備兵たちが同じ動きを取った。
「1・2・3!」
ガイヤの声と共に、三人の男が腰に手を当て下腹部を突き出した。
「4・5! 突撃だぁぁ!」
残る2人も同じように腰に手を当てて下腹部を突き出したではないか。
そして、ついにガイヤが大声を上げた!
「ビックりブラスとぉぉぉ!」
ブヒィ! ブヒィ! ブヒィ!
肉が引きちぎられるような音ともに、死んだ守備兵たちの股間からどこぞのロボットアニメに様にミサイルが打ち出された。
――何? 飛び道具?
一瞬、訳が分からないコウケンに次々と5本の肉塊ミサイルが襲った。
べちっ……べちっ……べちっ……
その肉の塊はコウケンの頬にぶち当たる。
だが、コウケン顔面を打ち抜くこともなく、ただつぶれて垂れ落ちるだけ。
その肉塊を掴み見るコウケン
――これは……まさか……男のイチもつ……
そんな腰を突き出す死人たちの股間には、大きな穴が空いていた。
――おえぇぇ……
コウケンは、突然、吐き気を催してしまった。
そんなコウケンにむかって5つの死体が飛んでくると、ボコボコ殴り始めたではないか!
「これこそ! マグロ女のタタキ丼! どーん!」
もしかして、穴が空いて女とか?
そんな安直な?
というか意味が分からない……
バカじゃないのか? こいつ?
だが、意味は分からないが、コウケンの戦意はどんどんとそがれていった……
もうろうとする意識。
すでに
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