第308話
「いやっぁぁぁあぁ!」
突然女の悲鳴が響く。
3000号の体の上に突き刺さる十字架につるされた女からである。
その女の目が赤く染まり始めていた。
荒神化か!
タカトは、女を見上げた。
神は絶対防壁である神の盾を有している。
しかし、生気が尽きた荒神は神の盾を使えない。
そこで、ケテレツは、荒神化し始めた神を、この3000号に融合、いや、取り込ませたのである。しかし、このまま荒神化が進行すれば、荒神爆発を起こし、辺り一面、いや、融合国そのものが吹き飛んでしまうかもしれない。そこで、3000号が取り込んだ生気を、強制的に女神に吸収させていたのである。そう、口の中に触手を突っ込み、否が応でも体内に取り込ませていたのである。それにより、荒神になりかけた状態で今まで十字架につるされていたのである。一体どれだけの時間、ココに張り付けられていたのであろうか。
タカトは、3000号の上をよじ登る。
そして、十字架と女神を縛る触手を引きちぎる。
「大丈夫か! 今、外してやる!」
タカトは、女神の口に入る触手を引き抜いた。
げぼっ!
女神の唾液とも胃液とも分からぬ白き液体を引きながら触手が引き抜かれた。
力なくタカトの腕に倒れ込む女神。
だが、最後の力を振り絞り、女神はタカトに抱き着いた。
その目からは、待ち焦がれた相手にやっと会えたかのような切ない涙。
「タカト……やっと会えた……」
すでに力が入らない女神の手がタカトを懸命に抱きしめる。
半裸の体が、タカトを求めるかのように強く押し付けられる。
その勢いで尻もちをついたタカトの体が、3000号の体の上を滑っていく。
ゴチン!
地面に尻もちをついたタカトは、その勢いで、後頭部を地面にぶつけた。
そして、女神の顔もその勢いで、タカトの顔に落ちた。
「何してんのよ!」
いつの間にか、元気になったビン子が怒鳴り声をあげた!
それもそのはず、半裸の女神とタカトが口づけをかわしていたのである。
「タカト、どさくさに紛れて何してんのよ! 離れなさいよ!」
ビン子が、ズカズカと蟹股で近づいてくる。
「そのままじゃ!」
ミズイの声が響く。
いまだソフィアの二振りの連撃を神の盾で受け続けるミズイ。
唇をかみしめながら、ソフィアをにらむ。
「そいつは、時の神、ティアラ! タカト!お前の生気を分ければ、少しは荒神化の進行を抑えることができる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます