第46話 激闘?福引会場?(25)老人から託された思い

 時はそう……大体3時ごろ……

 太陽の位置は頂点を超えたとはいえ、まだ高い。

 そのせいか、そらはアホのように青かった。

 そんな青い空に第六の門の警鐘が鳴り響く。


 商店街のガラポン会場を後にしたタカトとビン子は、いつものようにじゃれあいながら権蔵の待つ家へと帰路についていた。

 土がむき出すあぜ道の上、タカトがヒョウタンを口に当てながらビン子をからかうのだ

「今泉君……結局、ガラポンの賞品はヒョウタンですか……」

 そのどこかニヒルで嫌味たらしい物言いは腹が立つwww

「何言ってるんですか!古畑さん! ガラポンを引いたのはアナタじゃないですか!」

 このタカトの古いボケにテンポよく突っ込みを入れるビン子ちゃん。

 もう、さすがとしか言いようがないwww

 しかも、腰に手を回しタカトに優しく微笑みかけるのだ。

「別にヒョウタンでもいいじゃない。きっと、じいちゃん。喜ぶよ」

 そう、古来よりヒョウタンとは水や酒を持ち運ぶ水筒として重宝されていたのである。

 酒好きの権蔵のことである。

 当然……

「こんなのじいちゃんに渡したら四六時中、酒飲んでるぞ……というか、このヒョウタン……真ん中に割れ目があるんだよねwwww」

 と、タカトはひょうたんの中を覗きこんでいた。

 そうなのだ……このヒョウタンの中に変声機を仕込むため、プロレス技のバックブリーカーなみの力をかけてヒョウタンのくぼみから真っ二つにたたき割ったのである。

 現在、その割れ目はタカトが所有していたネバっとした白濁の液で固定している。

 だが、ヒョウタンの中に酒でも入れようものなら、その割れ目から潮を吹くように吹き出すことだろう。

 ぷしゃぁぁぁぁぁぁ!

 って、何が噴き出すんだよwww

 もう♡ そんなこと言わせないで♡


 でも、それを聞くビン子は後ろ手に手を組んで嬉しそうにタカトに近づくのだ。

「そうかもね。でも、タカトからのプレゼントだから嬉しいんだよ」


 しかし、それでも納得ができないタカトは大きくため息。

「はぁ……やっぱり、アイナちゃんの写真集……欲しかったなぁ……」

 それを聞くビン子が指先でタカトの頬をツンツンとつつくのだ。

「だったら、私がモデルになってあげようか?」

 えっ⁉

 一瞬ドギマギとするタカトは頬を赤らめた。

 ――もしかして、ビン子の水着姿の写真を取れとかいっているのか?

 だが、タカトは巨乳派なのであるwww

 ――ふん! 貧乳のビン子の水着など見てもなにも嬉しくもないわ!

 でも、待てよ……

 貧乳とはいえ……構図さえしっかりとしていれば、それはもはやゲイジュチュと呼べるのではないだろうか?

 想像してほしい……

 ベッドの上でワイシャツだけをまとったビン子が横たわる。

 上から四つほど外したボタンは、貧乳と言えども胸の谷間をあらわにするのだ。

 しかもワイシャツしか羽織っていない下半身は、かろうじてワイシャツのすそでその付け根を隠しているのである。

 そんなビン子が手に持っている太いバイブのようなエビフライの先端をピンクの唇にそっとあてがい、上目遣いで物欲しそうな視線をカメラのレンズに送るのだ……

 こ! これは! もはや貧乳と言えども完璧なエロス!

 だが、ゲイジュチュ家の俺はここで妥協しない。

 そう、ココから俺はビン子のワイシャツに霧吹きで水をかけていくのである。

 ワイシャツからうっすらと浮き出る肌の色。

 汗のように光を反射するなまめかしい太ももの付け根からは一滴の雫が垂れ落ちていく。

 つい先ほどまでこのベッドの上でイケナイ何かをいたしていたかのように頬と唇を上気させておけば、より完璧だ。

 ついでにお尻の下のシーツに、ヒョウタンの割れ目から噴き出してできた大きな輪染みでも作っておくのはどうだろうか。

 完璧!

 えええい! ここまで来たらついでだ!

 唇の端からタルタルソースのような白い液体でも少し垂らしておくか!

 タカトの頭の中でどんどんと出来上がっていく一枚の構図!

 題して!「あなたの大きなエビフライ♡食べさせて♡」なのであるwww

 あああああ!

 もう、想像するだけで! ピィィイィィが!ピィィイィィで!ピィィイィィなのよぉぉぉぉぉ!

 目を血ばらせるタカトは、まるで餓えたオオカミのように鼻息荒くしながらビン子へと近づいていくのであったwww

「エビフライ! いただきま~っす!」


 ひぃぃぃ!

 当然、その様子に顔を引きつらせるビン子。

 ――タカトの奴、絶対になんかエロい想像しているに違いないわ!

「もう! 何想像してるのよ! アイナの写真集はワンワンでしょうが! だったら私はニャンニャンの格好してあげるって言っているのよ」


 えっ? ニャンニャン?

 ニャンニャン……娘々ニャンニャン……

 ネコ娘々ニャンニャン……

 ネコ娘々といえばベッドでごろりと転がり上目遣いでニャーとなく、あのネコ娘々か?

 ありだ! それもありだ! いや、そのコンセプトのほうが断然イイ!

 そうだ、先ほどの構図に猫耳をつけてみよう!

 ついでに猫のしっぽをビン子のお尻につけてみるのはどうだろう?

 貧乳のビン子の事だ、この方がエロ可愛さがぐっとアップする! 間違いない!

「それでもいいぞぉぉぉぉ!」

 と、ついにエロオオカミは目をハートにしながらビン子に飛びかかったwww

 ビシっ!

「何がイイのよ! このエロタカト!」

 だが、飛びつく頭は、その瞬間に正確無比なビン子のハリセンによって、まるでハエでも潰すかのように叩き落されていた。

 地面に思いっきり顔面をめり込ませるタカトは思うのだ……

 ――コイツのこの凶暴性……エロいネコ娘々ニャンニャンではなくて、ゲゲゲの鬼太郎に出てくるネコむすめに違いない!

 ということは……君は鬼太郎ではなくて、ねずみ男で確定だねwww

 

 ツン……ツン……ツン……

 いまだ地面にめり込んだままのタカトの後頭部を誰かが細い棒でつついてくる。

 というか、この状況でタカトをつつくといえば決まっている。

 ――ビン子の奴! ふざけやがって!

 タカトはだんだんと腹が立ってきた。

 ――自分で思いっきりハリセンでシバいておいて……いまさら、心配するのかよ……それなら、最初から叩くな!

 ならば! ビン子を心配させるために、このまま死んだふりをしてやるのはどうだろう。

「タカト死なないで……」

 目にいっぱい涙を浮かべて心配するビン子が言うのだ……

「もう私……二度と暴力なんて振るわないわ……だから、タカト死なないで……」

 だが……そうそう……うまくいくだろうか……

 ――いや無理だ……無理に決まっている……

 あのビン子のことだ……

「死んでないのならさっさと起きなさいよ!」

「はい! 深呼吸! ヒッヒッフー! はいもう一度! ヒッヒッフー!」

 ぐらいのことだろう……

 ――だが……このままじっとしておくのも……なんかムカつく……

 ――大体、しばかれたのは俺のほうなんだ……

 ――そんな俺が、なんで地面に伏してジッとしてないといけないのだ?

 ――ふつう逆だろ!

「タカト……暴力を振るってごめんなさい……」そう詫びるビン子が地に頭をこすりつけて土下座している方が筋なのだ。

 ――この状況なら、誰がどう見たって俺のほうが悪いことをしたみたいみ見えるじゃないか!

 って、タカト君……先ほどの状況、誰がどう見ても君のほうが100%悪いこをしたと思っていますよ……

 だが、納得のいかないタカト君。

 何かビン子を懲らしめる方法はないかと思案しはじめた。


 しかし、いまだに……

 ツン……ツン……ツン……

 まるでDr.スランプあられちゃんが道端に転がるう〇こを木の棒でつつくかのようにタカトの頭がツンツンされ続けるのであるwww

 ――俺はう〇こじゃねぇ!

 う〇こ……?

 う〇こ……⁉

 う〇こぉぉぉぉぉ‼‼‼‼

 どうやらタカト君、何かひらめいたようであるwwww

 ――うっしっしwwwww

 地面に顔を突っ込んでいるためよく分からないが、おそらく、いじわるそうな笑みを浮かべていたに違いない。


 それでは皆さんに解説しよう!

 さきほどタカトが思いついた作戦はこれであるwww

 まず、イメージしやすいように奴とタカトの位置関係から示してみよう。

 先ほどからタカトの頭をツンツンする棒先は、地面に突っ伏した頭の頂点側から行われているのである。

 ということは、その方向につついている奴の本体があるということなのだ。

 いいかな?

 そして、地面にめり込んでいるタカトの頭をつついているということは、そいつは必ず「う〇こ」座りをしているということなのである!

 しかも!

 今日のビン子は短めのスカートをはいているのだ!

 ならば!

 ここで偶然を装って、勢いよく頭をあげたらどうなるだろうwww

 そう! この至近距離!

 タカトの眼前にはスカートの中の白い丘陵痴帯がはっきりと見えるはずなのだ。

 いや、もしかしたら顔を上げた瞬間に、ついうっかりと丘陵痴帯にぶつかるかもしれないのである。

 ならば!ここぞとばかりにその丘陵痴帯をベロベロと舐めまくってやるのだ!

 白色の布ごしに伝わる汗の味! 

 「いやぁぁぁぁぁ! やめてぇぇぇぇえぇ!」

 とっさに悲鳴を上げるビン子!

 おそらくビン子はあまりの恥ずかしさにスカートを押さえることだろう!

 そう、その時まさにハリセンを振るう暇などないのである!

 どうだ!

 ――この勝負! 俺の勝ちだ!

 ウッシッシ!


 ということでwww


 それでは今から実際に顔を上げてみたいと思いますwww


 3!


 2!


 1!

 

「お~っと! これはうっかりちゃぁ~ん!」

 そんなタカトの脳内の艦橋では檄が飛ぶ!

 艦長! ワープアウトします!

 敵目標! 艦首前方! すぐそこです!

 約7cmペロン式主砲(前部主砲)発射用意! てぇぇぇぇ!

 ベロベロベロ~wwww

「いやぁ~ん♡」

 艦長♡ 0距離攻撃♪ 直♡撃♡です♪


 ――なんだこの味?

 この時、タカトは気づいたのだ……

 目の前に広がる赭色しゃしょくの風景に……

 それはふっくらと可愛い丘陵痴帯というより、もっこりと大きな男山。

 しかも、その山の峰にそって舌を這わしたタカト……

 ――この味……確かに記憶がある……

 とたん、口の中に広がるおやじ臭……

 ――しかも……俺の記憶が確かなら……俺は昨晩もこの匂いになれしんだ記憶がある……

 アイナちゃんの写真集を前にして行った神聖な奉納の儀式。

 少々ため込みすぎたせいなのだろうか? いや逆に、毎日頑張りすぎてミノフスキー粒子の濃度が少々薄まったせいなのだろう……その夜のティッシュ三枚重ねの装甲を簡単に貫通してきたのである……

 ――さすがは連邦の白い悪魔!

 だが、今晩はビン子からパクった四枚目のティッシュがある!

 これさえあれば白い悪魔のビームライフルは防ぎきるはずなのだ……

 これでもう、手についたベトツキを気にすることなく白い木馬ならぬ白いベットに帰還することができるのである。

 そんな白い悪魔のベトツキにも似たような香り……

 いや、白い悪魔そのもの味わい……

 事をすました後、手を洗いに行くのが億劫なタカトだからこそ分かるのだ!

 目の前に広がる赤い布の向こうにいる奴の存在を!

 確かにいる! 奴がいる!

 ――シャァか!

 この舌越しに伝わるザラザラとした感覚!

 ピキーーーーン! 見える! ときが見える!

 ニュータイプにも通ずる研ぎ澄まされた感性!

 そんな感性が、タカトの脳内に奴のイメージを映し出す!

 ――コ! コレは!  ╰⋃╯コレ!

 なんでやねん!

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