第34話 激闘?福引会場?(21) ルパン・サーセンでサーセンww

 セレスティーノが、そんな苦い思い出をアイスダンスショーのステージの上でかみしめていた時。

 それぞれの悪の首領が同時にガラポンを回したのだ。

 カランカラン!

 そう同時に!

 大切なので、もう一度いますよ! 同時にです!


 それを見たセレスティーノは気が付いた!

 そして今! 控室の中でセレスティーノが、ルパン・サーセンを前にして威風堂々と立ち振る舞うのだ。

「運の悪いコウスケのことだ! ガラポンで5等以上の景品など当てられる訳がない!」

 さすがセレスティーノ様!

 コウスケのことをよくわかっていらっしゃる!

 というか、そんな理由ですかwwww


 だが、ルパン・サーセンは理解したようで、

「そうか……俺の運が良すぎたのか……これはうっかりしてたぜ……だが、俺がルパン・サーセンであることはどうして?」

「お前が、この控室に入っていくのを見たからだよ!」

「うーん……よく分からないな……」

「いいか! 悪の首領は仮面ダレダーのシーズン1に出てくるキャラクターだ!」


 それを聞いたビン子はハッと気づいた!

 そう、ビン子もまた仮面ダレダーの熱烈なファンの一人なのである。

「私! 分かった! シーズン1の悪の首領はトイレで一人飯をするぐらいのボッチなのよ! だから!控室でみんなで仲良くお着がえなんてしないはず!」


 ウンウンとうなずくセレスティーノはなぜか超嬉しそう!

「そう! その通り! ボッチの悪の首領は控室など使わない! 使わないはずなのになぜ、しかも! 悪の首領は仮面ダレダーショーの控室ではなく、わざわざアイスダンスショーの控室に行ったのか!」

 そもそも……コスプレですから、キャラクター通りの行動をとる必要もないのではないでしょうか?

 というか……スーツアクターの人だって、演技が終われば控室で普通に着替えるでしょうが……

 ――ふっ! 甘い!

 そんなことだから貴様は、仮面ダレダー道が極められんのだ!

 仮面ダレダーファンたるもの! いついかなる時でも仮面ダレダーファンたれ!

 ということで!

 十分に間をとってからセレスティーノはルパン・サーセンを指さすのである。


「それはお前がルパン・サーセンだからだ!」

 理論の飛躍!

 まったく意味が分からないwww

 そのため、ルパン・サーセンはキョトンとしていた。

 いや、ルパン・サーセンだけでなく、タカトもまたキョトンとしていた

 だって……ルパン・サーセンであることが分かった理由に全くなっていませんもんwww

 だから、おそらく、いや、確実に全ての読者の皆さんが話についてこれていないはずなのだ!


 そうか……ヤッパリ分からないかぁ~

 分からないよな~

 仕方ない♪ ここはセレスティーノ旦那にもう少し詳しく説明してもらうことにしよう!

 

 要は!

 セレスティーノは二人の悪の首領がガラポンを同時に回した瞬間、その一人がルパン・サーセンであることが分かったのである。


 思い出してほしい。

 ガラポンがあった3っつのテントのことを……

 一つ目はモンガが受付をするロリコン写真のトレードコーナー

 二つ目はローバンが受付をするロリコン野郎は死ね死ねコーナー

 三つ目はメルアが受付をする、ロリコンとは程遠い巨乳コーナー

 この中で、まともにガラポンが回せたのはメルアのガラポンだけである。


 それなのに、なぜか二つのガラポンが同時に回ったのである!

 そう、そこが重要なのだ!


 仮に本物のコウスケがモンガのガラポンを回そうとすれば、おそらく、机の上に置かれた写真にくぎ付け……ガラポンそっちのけで写真のトレードを申し込んでいただろう……だって、男の子なんだもの……仕方ない。


 では、本物のコウスケがローバンのガラポンを回そうとすれば、どうなるだろうか……当然に、ロリコンということで、ローバンにガラポンでパン! いや、ロリコンとわかる前に確実にパン!なのだ。そう、ローバンが、そもそもココでガラポンを回すことになったのはコウスケのせいなのである。コウスケが授業に遅刻してきたがためにスグル先生がいきなり高校生クイズを始めて……しかも……しかも……そのアホのコウスケに最後の問題で大逆転されて……ついに……ついに……スグル先生と夕日に向かって走る羽目になったのである。そんな恨みの源泉であるコウスケが、もし!目の前に現れようものなら……パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パン!パっパン!  

 おそらく残り玉、全部!コウスケの股間へとぶち込むはずなのであるwww

 お前はもう死んでいる! byローバン

 アベシッィ! byコウスケ


 したがって、本物のコウスケが回したのは巨乳のメルアのガラポンなのである。

 だいたい、ガラポンを回す前に、その列に並ぶビン子とともに仮面ダレダーを熱心んに応援していたのだ。

 恥ずかしい! 超恥ずかしい!

 そんな二人に向けらる周囲の白い目と冷めた嘲笑……

 おそらく普通の人間の精神なら耐えられない……

 だが、コウスケはこの羞恥の仕打ちに耐えた、いや耐え抜いたのである。

 まさに!ビン子に対するコウスケの愛! そう、愛なのだ! たぶん……

 ということで、このような超恥ずかしいことができるのはコウスケをおいて他にいるとは思えない!

 これこそが、まぎれもなくメルアの列に並ぶのがコウスケだったという証左だったのである。


 ならば、残る一人が偽物である。

 だが、偽物とわかっても、それがルパン・サーセンであるという確証は全くないのだ……

 では、なぜ……セレスティーノは分かったのであろうか……


 ローバンが撃ちだすガラポンの白弾!

 コウスケであれば股間に直撃であるが、これがルパン・サーセンならどうだろう?

 おそらく華麗なステップで迫りくる白弾の嵐をかいくぐることだろう!

 そう! ルパン・サーセンとは、そういう男なのだ。

 ならば、ルパン・サーセンが回したのはローバンのガラポンだったのだろうか?

 いや違う……違うのだ……

 というのも、ローバンが受付をするガラポンはローバン自身の手によって回されて、次々と変態オッサンの股間めがけて白弾を撃ちだしていたのである。

 ルパン・サーセンがガラポンを回すことなど、まずもって不可能なのだwww


 ということで、ルパン・サーセンが回したのはモンガのガラポンなのである。

 だが、モンガのテーブルでは所狭しとロリコン写真が並んでいるのだ。

 ルパン・サーセンも男……

 目の前に露出が多いペチャパイビキニのコスチュームをまとった美少女写真が、これみようがしに悪の道にいざなえば……ミーニャちゃん最高!といわんばかりに当然に悪の道に走ってしまうことだろう。

 ということで、ルパン・サーセンも目の前の写真を次々とあさりだし、お目当ての女の子の写真を片っ端から集めだしていたのであるwww

 って、お前もかwww

 そんなルパン・サーセンの背後から一人の女性が声をかけた。

「ルパン! オイルバーンはどこにやったのよ!」

 ドキッとした表情を浮かべたルパン・サーセンは、ゆっくりと背後へと振り向いた。

 そこには、怒り心頭でふくれっ面をした尾根フジコがライダースーツから豊満な胸の谷間をのぞかせて立っていた。

「フジコちゃ~ん♡」


 そう、フジコは仮面ダレダーショーに飛び入り参加した魔法少女から命からがら逃げ出した後、このガラポン会場に身を潜めていたのである。

 そんな時、一人の悪の首領が受付にやってきたのだ。

 だが、その仕草……一つ一つの手の動きがやけに見たことがあるような気がするのである。

 しかも、先ほどから熱心に集めている写真は、どれも一人の女の子ばかり……

 その女の子を見た瞬間、フジコには分かったのだ。

 それはルパンの娘……ハナだったのである。

 なんか聞いたことがある?

 そんなことはあり得ない!

 というのもその写真は、ハナが魔の「養殖の国」で食料用の半魔を繁殖するために飼われていた時のものだったのだ……

 この男は、そんな写真を必死で回収しようとしている……

 まぎれもなく、この男はルパン……

「もう! あなたがオイルバーンを隠したせいで、稼ぎそこなったのよ!」

「えっ⁉ オ〇パイーン?」

 そんなルパン・サーセンの両手がフジコちゃんの胸を鷲づかもうとした。

 その時である!

「ご褒美は仕事が終わってからって言ったでしょう!」

 ばきっ!

 フジコちゃんの放った右ストレートが悪の首領の着ぐるみから覗くルパン・サーセンの顔面を直撃!

 宙を舞うルパン・サーセンの体。

 その体はテーブルの上を飛び越えて、置かれていたガラポンとその背後に立つモンガをも巻き込んでぶっ飛んでいった。

 いまや静かになったモンガのテント。

 そんなテントの横で、あっけにとられたローバンが鐘を鳴らすのだ。

「このお姉さま……すごい……というか……素敵♡」

 カランカラン!

 試合終了……

 そんな地面に転がるガラポンからは、静かに5等の緑玉が飛び出していたのであった。


 もう、分かったよね!

 セレスティーノはフジコちゃんがルパンと言ったのを耳ざとく聞きつけたのである。

 ――なに! ルパンだと!

 ルパンといえば、オイルバーンを盗んだ張本人!

 奴を逮捕すれば、アルダイン様の信用も確実に回復するに違いない!

 ならば、これでアルテラとの婚姻も確実!

 そして、自分が宰相の座についた暁には酒池肉林のマッスル体操! うっほぉ! うっほぉ!

 ――きたぁぁぁぁ! コレ!


 だが、セレスティーノがガラポン会場に駆けつけた時には、時すでに遅し……

 そこにはルパンの姿はなかったのだ。

 あたりを懸命に見回すセレスティーノ!

 ――どこだ! どこに行ったというのだ!

 そんな狐の眼光は、ルパンがアイスダンスショーの控室に入っていくのを目ざとく見つけたのである。

 だが、なぜに奴は、アイスダンスショーの控室に?

 もしかして、着替えか?

 いや、悪の首領はボッチである……控室で着替えるということは考えにくい……

 ならば、なぜ奴は……

 ――⁉

 そう、奴がルパン・サーセンであるならば、控室に行く理由はたった一つ!

 奴は、また控室で何かを盗もうとしているに違いないのだ!

 ――そうはさせるか!

 今度こそ、確実に奴を捕まえて犯罪を未然に防いで見せる!

 そして、アルダインの信頼を回復し、アルテラとの婚姻を……以下、リピート!

 うっほぉ! うっほぉ!


 ということで、セレスティーノは控室の窓へと飛び込んだのである!

「逮捕だぁぁぁぁあぁ! ルパン!」


 と、今更ながらなんだけど……

 もしかして、セレスティーノの旦那……スッポンポンでガラポン会場内を走り回っていたんですかねwwww

 まぁ、飛び込んできた時に裸だったんだから、当然、そうなりますわwww

 というか、会場内の超変質者はお前だ! セレスティーノ!


 そんなセレスティーノの推理を控室で聞くルパン・サーセンは静かにうなずいていた。

「なるほど……フジコのせいだったのかよ……」

「そうだ! それこそお前がルパンであることの動かぬ証拠!」

「あはははは! まいったな! コレ」

「そんなことよりも、貴様! 融合加工院から盗み出した『オイルバーン』はどこに隠した! 正直に白状しろ! 今、白状すれば苦しまずに3秒で殺してやるぞ!」

「いやだなぁwwwセレスティーノの旦那ぁwww白状しろと言って素直に白状する泥棒がいるわけないでしょうがwww」

「では、質問を変えよう……この控室で何を盗んだ! もしかしてチ〇コか!」

「俺、甘党じゃないからチ〇コなんていらねぇしwww大体、今はまだ、何も盗んでないからwww」

「今はまだ⁉ なら、何を盗むつもりなんだ! 言え! 正直に言え!」

「だからwww正直に言うぐらいなら、泥棒なんてやってませんってwww」

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