俺は働かない。宇宙の果てが尽きるまで I won't work. Until the end of the universe

ダイスケ

俺は働かない。宇宙の果てが尽きるまで

 昔から、働きたくない、と強く願っていた。


「働かずに食う飯は美味いか?」


 そんな俺に世間の勤勉な社畜達は上から目線で問うてくる。


 ならば、俺はもっと上からの目線で答えてやろう!


「ああ、美味いね!お前も食ってみろよ!」とね。




 3年前まで社畜だった俺の生活は、叔父さんから相続したマンションの経営をはじめて一変した。


 今じゃ管理を任せている不動産会社からの月一の定期レポートを読んで、ときどき文句をつけるぐらいが仕事だ。


 満員の通勤電車?僻地への転勤?休日出勤に深夜残業?


 そんな代物はSNSの向こう側のイベントにすぎない。

 ハッキリ言って他人事だ。


 ごくろうさま、ってやつだ。

 人生勝ち確だね。


 俺は一生働かない。


 そう、思っていたんだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 忘れていたが、人類は進歩する。

 社会は変化し続けるし、停滞は後退を意味するわけで。


 具体的には、マンションの資産価値が落ちてきた。


 しょうがないよね、あれから50年は経つんだもの。

 鉄筋コンクリートだってボロボロさ。


 普通なら俺もとっくに墓の下を意識するはずの年齢なんだけど、これまた遺伝子医薬だのが発達したせいで安価な年齢停滞薬が出回ってる。


 そのせいで今の日本の平均年齢は98歳だ。


 平均、だぞ!?


 先進国は軒並みそんな感じ。


 そのせいで、政府は年金なんて払えない、と言い出しやがった。

 わかってたけどね。


 年金財政なんてとっくに赤字。

 そこまではいい。


 だけどさ、生涯現役世代とか、無茶言うなよ。

 つまりは、永遠に働けってことだろ?


 俺は働きたくないんだ。

 そもそも半世紀も働いてないのに、今さら働けるか?


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺は考えた。


 働かずに飯を食うためにはどうすればいいか。


 頭が千切れるほどに考えた末、いいことを思いついた。


 稼ぎが少なくなってきたのだから、飯を減らす。

 これで行けるんじゃないか?


 とりあえずマンションのペントハウスに食べられる野菜の家庭菜園をつくり食用で鶏を飼ってみた。


 あとは高効率分子ソーラーパネルとコンポスターを設置すればアーバンスローライフスタイルの完成だ。


 働くのは嫌だが、スローライフならやれる気がしてきた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 結論から言うと、ダメだった。

 俺にはスローライフ向いてない。


 菜園の野菜は枯らしてしまったし、鶏は鳴き声がうるさい、臭い、とマンション住人から文句が来て処分した。

 ソーラーパネルは設置が甘かったのか台風で飛んでしまったし、コンポスターは臭すぎるのでやめてしまった。


 業者に依頼する費用をケチって自分で設置したのがまずかったんだろう。


 貧すれば鈍する、だな。


 節約はダメだ。

 向いてない。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺はめげずに考えた。


 働かずに稼ぐにはどうすれば良いか。


「治験バイトしたら?働かずに金がもらえるよ?」と勧めてくる奴もいた。


 だけど、治験はダメだ。俺の健康という数少ない資産が減ってしまう。

 80を越えた今でも遺伝子再生していない天然の歯が揃っているのが数少ない自慢なんだ。


 残された減価している資産のマンションもそろそろ立て替えないとヤバい。


 住人も雨漏りがどうとか階段の照明がとか要求がうるさい。

 最近は管理会社の質も落ちてきて、俺が自分で対応しないといけなくなっている。


 世間ではロボット管理人でメンテフリーマンションも増えているというのに・・・


 そこで、はたと思いついた。


 マンションを建て替えている間、俺が眠ってれば文句を言われないじゃないか?


 何を言ってるんだ?と思うかもしれないが、最近出てきたサービスにコールド・スリープというやつがあるんだよ。

 人工的な冬眠処置だな。


 遺伝子医薬の進歩でほとんどの病気は地上から撲滅されたけれど、いくつかの難病や症状が進みすぎて治療が望めない患者なんかが、未来の技術進歩に託して冬眠する、という一時的な医療処置だ。


 言い換えると、それは未来へのタイムワープだ。


 俺の場合はマンション建て替えが済むまでタイムワープすればいいわけだ。

 医療措置で眠っている人間に文句は届かないし、眠っている間は食費もかからない。

 医療費はかかるけど知り合いの医者に頼めば保険も効く。


 そんなわけで、俺は冬眠処置を受けることにした。

 起きたら新品のマンションと、働かない未来が待ってるぜ!


 俺はわくわくしながら医療ポッドの透明なシールドが降りてくるのを視界にいれつつ眠りについた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 起きたら、マンションがなくなってた。


 まっさらの更地。


 どういうことよ!?


 人口が減りすぎて住宅需要が壊滅的になったのと国の方で再開発地域に指定されたらしく、俺の財産権は法律改正でマルっと無視されて、跡地はデカい宇宙港になってた。


 眠っている間に賢い科学者だか企業が電気推進とかレーザー推進とかで、超安価に宇宙へ人や貨物を輸送する事業を始めたらしい。

 世間は宇宙開発に熱狂していた。


 つまりは、働く連中の黄金時代であり、俺みたいな働かずに飯を食う連中は日陰の時代だ。


 考えてみればわかるだろう?

 フロンティアがあるってことは、インフレするってことだ。

 インフレってのは金を持っている連中よりも金を稼ぐ連中に優しい。


 それに地球不動産なんて時代遅れ。

 今は宇宙不動産の時代ってやつらしい。


 政府の保証でそこそこの金は口座に入っているけれど、網膜ディスプレイに映したシミュレーションによれば資金は20年も持たないらしい。

 遺伝子医薬が進歩して、今は日本人の平均寿命は120才を越えている。


 その意味するところは、俺が働かなければ一瞬で金がなくなるってことだ。


 いやだ。働きたくない。


 俺はかつて自分のマンションがあった宇宙港の傍らに呆然と立ちすくみ、レーザーでバカみたいな速度で夜空を切り裂くように加速上昇していくロケットをぼんやりと見上げていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 実年齢100歳越え。

 ここ数十年の職歴なし。


 そんな俺が執念で見つけた、働かなくて済む仕事。


 それが、深宇宙植民事業の乗務員への応募だ。


 この時代、地球から数光年離れた地球型惑星への移民が盛んになっている。


 何でも宇宙空間にバカでかい鏡をいくつもうちあげて、さらに強いレーザーで後押しをすることで宇宙船を光速の数分の一の速度まで加速できるようになっているらしい。


 要は宇宙ヨットだな。


 停止するときは帆の部分を分離して後ろから来たレーザーの方向を前に向けることで減速するんだとか。


 若い頃ならロマンを感じるのだけれど、年寄りの目から見ると危なすぎて躊躇する。


 宇宙に浮かべた直径数十メートルの強力なレーザーを受ける宇宙船とか、ちょっと方向がズレただけで丸焼きになるし・・・おまけに植民先の惑星だって居住に適さず資源だって何もない可能性だってある。


 一応、観測はしているというけど、観測は観測。現地は現地。

 地球にいて普通に働くだけで暮らせるのに、どうしてそんな危険な僻地へ行く必要があるのか?

 というわけで、深宇宙植民事業はあんまり人気がない。


 だけれども、俺は深宇宙植民事業にある種の可能性を感じ取っていた。


 それは、働かないで済む可能性だ。


 植民惑星は遠い。

 そりゃあもう太陽系内の移動とは桁違いに遠く移動に時間がかかる。


 ということは、人間は冬眠状態で送らないとならないわけだ。


 寿命が延びたのだから起きていても平気じゃないか?という議論もあったようだけれど、大勢の人間が閉鎖環境で起きているとストレスで諍いを起こすし、少数では孤独に耐えかねて自殺してしまう、という事例が続いたらしく、結局は寝かせておくのが一番、という結論になったそうだ。


 そして、俺は人工冬眠の経験者だ。

 人工冬眠にも実は適性があるらしく、何割かは目覚めないということがあったらしい。

 こえーな。そんな事実を知っていたら処置を受けなかったぞ。


 おまけに寝ている間に口座の資産を運用に預けておけば、眠っている間に勝手に増える。

 資産はデータだから、植民先の惑星に光速で送ってもらえばいい。


 つまりは寝ているだけで働かずに済む!

 俺って頭いい!


 というわけで、俺は意気揚々と多少の健康診断と同意書にサインをして、深宇宙事業植民船団に乗り込んだわけだ。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 トラブルを期待している諸君には申し訳ないが、旅路は至って順調である。


 俺の他に数名の飛行士はいるが、基本的には全員が眠ったまま宇宙船はレーザーを受けて進んでいく。

 貨物や各種の開発機械を積んだ宇宙船は人間と違って高加速を無視できるので何年も先行して飛んでいるらしい。


 なぜ眠っているはずの俺が旅は順調だと自覚できているかって?


 それは脳に埋め込まれた補助チップのおかげだ。

 こいつのおかげで、眠りながら起きている、という器用な状態を保てるんだ。


 昔の映画では乗務員が交代で冬眠から起きて勤務する描写なんかがあったようだが、医者もろくにいないのに人工冬眠措置を何度もするなんて危険すぎる。

 そもそも起きていたところで人間が出来ることなんてほとんどない。


 作業はドローンがするし、作業のモニターは眠ったまま意識がほんの少しだけ覚醒していれば出来る。

 そうして夢うつつでも作業できるよう、サポートのためのチップが脳に埋め込まれているわけだ。


 脳に機械を埋め込むなんて!という人もいるかもしれないが、この時代では普通のことで危険はないし、それにチップがあると眠りながらゲームもできる。これが楽しい。なにしろ俺にとっては何世代も先の最新のゲームだからね。


 ちょっと通信にタイムラグがあるので地球の連中とは対戦はできないが、俺と同じように眠っているはずの乗務員とはスペースゾンビゲームで1万戦ほどやった。

 どんだけ煽っても物理的な台パンが飛んでこないのがいいね。

 まあ、相手もよくできたbotの可能性もあるけれど、楽しければそれでいい。


 なぜ長々と宇宙暮らしの説明をしてきたかということ、要するに俺はついに、寝たまま働かずに遊ぶ暮らしを手に入れたのだ!


 やったね!


 ◇ ◇ ◇ ◇


 旅は楽しい。

 けれども、旅にはいつか終わりがくる。


 永い永い旅路の果て、ついに俺たちは目的地の星系にたどり着いてしまったのだ。


 ゆっくりと上がっていくポッドのシールドを見上げつつ、俺は涙を流した。

 さらば、楽しき眠りの日々よ。


 他の乗員は、俺が感動のあまり涙を流していると思ったらしいが、そんなわけないだろう。

 働きたくないから、泣いているんだ。


 それにしても、たどりついた先の惑星は青い。

 まるで地球のようだ。


 それだけじゃない。

 軌道上から見える夜の部分には、多くの明かりが見える。

 まるで都市のような明かりが・・・


 いったいどういうことなのか。

 はるばる旅してきたと思ったのはただの錯覚で、我々は地球に戻って来たのだろうか?


 俺だけでなく、ベテランの船長も、強面の軍人さんも、多くの人々が宇宙船の窓から見える光景に立ちすくんでいた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 種がわかると、話は簡単だった。


 俺たちは早すぎて、そして遅すぎたのだ。


 社会は進歩する。そして技術は進歩し、既存の技術は陳腐化する。

 俺が長い生涯で何度も思い知らされたように、今回の植民船団も同じ目に遭ったということだ。


 この惑星へ向けて植民船団が飛び立った十年後に、画期的なレーザー素子が開発され、宇宙船の速度は向上した。

 さらに十年後、画期的な反射素子が開発され、宇宙船の速度はもっと向上した。


 技術開発のブレークスルーが何度も繰り返され、俺たちが百と何十年もかけてノロノロと進んできた惑星には後発で最新型の宇宙船に乗った連中がわんさと押し寄せ、あっという間に進歩した技術で惑星改造を済ませてしまった、というわけだ。


 無人島の開発にカヌーで向かっていたら、大型クルーザーに乗った連中に知らぬ間に追い抜かされて、島はとっくに巨大なビーチリゾートになっていた。


 遅かったね、ごくろうさん。

 ここはもう俺たちの場所だから。


 ということだ。


 生涯の使命と思い定めた事業がチャラになった植民船団の乗務員達は航宙管理官からの説明を聞いて呆然自失の体であったけれど、俺は口座の金額を眺めて満足に浸っていた。


 まあ、何とかなるだろう。

 これまでだって、何とかなっていたのだから。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 俺は口座に残された金で宇宙船を何度も乗り変えては、現代文明の辺縁まで移動した。


 簡単な数式の問題だ。眠っている間の移動の費用より資産が増える金額が大きければ、俺は働かずにいられるのだ。

 移動を続ける旅暮らしに躊躇はなかった。


 銀河中心からいかに離れようとも、俺からみればどんな僻地でも映画で見た以上のSF未来都市である。

 飯が人工食になっていくのだけは閉口したが、冬眠処置を受けている間は関係ない。


 脳に埋め込んだチップは幾度かのバージョンアップを経て、半覚醒状態であっても食事を含めたあらゆる体験を提供してくれる。

 寝ていても飯が食えるのだから、歓迎すべきことだ。


 そうして旅をして、旅をして、旅をして。

 俺は銀河の端までたどり着いた。


 たどり着いてしまった。


 地球を発ってから、千と七十四年が過ぎていた。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 その頃になると、俺は銀河の有名人になっていた。


 何でも、普通の人間は300年も生きると飽きて自殺してしまうらしく、1000年以上生きている俺は生きている奇跡の化石扱いだ。

 冬眠措置を受け続けているせいか、精神もあまり磨耗していない。


 おまけに200年ほど前に銀河を二分した大戦があったせいで、地球の位置がわからなくなってしまったとか。


 要するに、俺は最後の地球人、というやつでもあるらしい。


 そういえば、何度か宇宙船に乗る際に苦労した便があった。

 あれは戦争のせいだったのか。


 地球がなくなった、というので嫌な予感がして網膜ディスプレイで口座の確認をしてみた。


 案の定というか、口座自体にアクセスできなくなっていた。


 人類は銀河全体に広がったことで満足したのか、隣の銀河への開拓船団もない。

 おまけに冬眠措置は危険な技術として禁止されてしまったようだ。


 なんてこった。


 このままでは1000年ぶりに働かなきゃならないじゃないか。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 働きたくない気持ちが一杯で難儀していると、世話役の役人が声をかけてきた。


 献体しないか、というのだ。

 1000年前の貴重な体を調査に回したいらしい。


 そんなことをすれば死んでしまう、と拒否すると電子移民と市民権をただにする、と持ちかけられた。

 なんと、今では人類の3割が電子化された世界に住んでいるという。

 物理的世界に住んでいるのはブルーワーカーがメインで、いわゆるホワイトカラーは電子化世界に移住してしまったらしい。

 どうりで、人をあまり見ないわけだ。


 よくよく考えてみれば物理の体は寝ている以外は役立たずなわけで、移住に躊躇はなかった。

 幾多の電子書類に署名し、何十もの量子スキャンを受けて、俺は電子世界に移住した。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 電子化世界は快適だった。


 周囲の世界を21世紀風のアンティークにカスタマイズして、俺は日がな眠りこけては飯を食う、という暮らしを楽しんだ。


 しかし、それも長続きはしなかった。


 なんと電子化世界でも労働をしなければならない、というのだ。


 警告を受けて俺は焦りよりも憤りを覚えた。


 労働め!宇宙の果てまで逃げても追ってくるとは!


 俺は意を決して警告は無視することにした。


「それでは?本当に措置をしてもよろしいですか?」


「構わないさ。やってくれ」


 労働の警告を無視し続けた罪として、俺は電子世界での重罪。

 主観時間の遅延処理の罰則を受けることになった。


 他の人の時間は飛ぶように進み、自分の時間はゆっくりと進む。


 つまりは、スローライフだ。


 宇宙船で冬眠措置を受けているのと、何も変わらない。


 他人が100年働くところ、俺は10年を遊んで暮らす。


 時間と距離の行き着く果てに「働かずに飯を食うスローライフ」をついに手に入れた俺は幸せだった。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 それから何千年が経っただろう。

 いや何万年。あるいは何億年だったか。


 主観時間の停滞した今では外部物理世界の相対的な時間は意味を持たない。


 そうして永遠の停滞と安寧の中にいた世界に、ある時、視界に小さな警告のポップアップが開いた。


「宇宙の質量は危険なレベルに希薄化しています。物理端末の移動を推奨します」


 宇宙が希薄化?


 なんだい、そりゃ。


 宇宙が希薄化とは、宇宙が広がっているということだろうか。


 調べ物をしようにも、この時代のライブラリーへのアクセスの仕方がわからない。

 停滞処理のせいで市民権が制限されているのだろうか。


 仕方ないので遥か昔の記憶を掘り起こして事態の理解につとめる。


 最近の物理学は全くフォローしてないが・・・たしか21世紀の宇宙論では宇宙の未来は、広がり続けるか縮むか、どちらかだった気がする。


 鍵となるのは宇宙の質量だ。


 宇宙の質量が十分に高ければ宇宙はいずれ縮み、低ければ宇宙は際限なく希薄化してほとんど無に還るという。


 どうやら宇宙の運命は後者の道を選んだようだ。


 移動・・・するか?


 電子化して久しいとはいえ、どこかにシミュレーションするためのサーバーめいた物理的な筐体があるらしい。


 それを質量が豊富な宙域に移動させれば、また数千万年だか数億年だかを生き延びることができるらしい。


 ふと、思いついたことがあってシステムに問うてみた。


「ところで、どうやって向かうんだい?」


 我々は電子生命体なのでアンテナからデータで送り出されたりするのだろうか。


「いいえ。タキオン推進で光速の340%の速度で物理移動を実施します」


 すごいな。なんだかよくわからんけど光より速く移動できるのか。

 人類の科学技術の進歩はすごいな。


 いや、そもそも管理者は人類なのか?

 自分は人類と言えるのか?


 だんだんと考えることが面倒くさくなってきた。


「光の100%へ減速は可能かい?」


「可能ですが。時間は停滞することになります」


「構わないさ。どうせ着いた先で働かされるなら少しばかり遅れたって構わないだろう?」


 そうして再び、俺は働かずに飯を食う理想の暮らしに戻った。


 今度こそ、宇宙の時間が尽き果てるまで今の停滞スローライフが続くことを祈って。


 了

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