第40話 ナイナの苦手なもの
「はいどうぞ、採れたてのお野菜とお肉ですよぉ」
テーブルの上に食べきれないほどの新鮮な野菜と豪快に焼かれた肉が置かれた。
ナイナの作った食材も数日ぶりなだけで格別に美味しく感じる。
もうこれ以外のものが食べられない口になってるなぁ。
「こんな美味しいものが毎日食べられるなんて」
ノリスが一口食べるごとにひっくり返りそうになるくらい感激して食べていく。
「ウシャァァァ」
「ガウ!」
スライムのシュシュなんちゃらって奴と、チキンベアの、なんとかバロンも喜んでナイナの食事を食べている。
「このちっちゃい熊ちゃんかわい〜」
セリルはチキンベアがお気に入りのようだ。
食事をそっちのけで、チキンベアに野菜をあげたり、食べるところを眺めたりしている。
、
「ふふ、この子はシュトロイドホリーク=バロンって言うの、仲良くしてあげてね」
「ええ……っと、か、かっこいい名前なんだね……」
予想してない名前にセリルは目をパチクリさせている。
セリルがモンスター達に好意的なのに対して、ナイナはモンスターが苦手なようで距離を置いて見るのも嫌がっている。
「ナイナおねぇちゃん、この子達が怖いの?」
フランがナイナに問いかけるとナイナは申し訳なさそう小声で話しだした。
「わ、私昔からドロドロしたものが苦手で……」
「シャァァァ」
ナイナが怯えてることに反応してか、スライムが声をだした。
「きゃぁぁぁぁ!」
ナイナがイスから飛び上がり、壁まで逃げて屈んで怯えている。
スライムはそんなナイナを見て、ズリズリと移動し近づいていく。
「あわわわわわわ」
ナイナがパニックになって、目を回しだした。
「こら、シュシュラベル=ドリーレミィ! ナイナを虐めないの!」
スライムの名前を聞いて、セリルとフランは難しそうな顔をした……
「フシャァ……」
スライムの声がさっきより元気なさげになった。
「この子、ナイナと仲良くしたかったみたい、悪気はないの、ホントは人懐っこくていい子なんだよ」
ノリスがスライムの身体をスリスリと撫でた。
「は、はい……ちょっとずつ仲良くできるように頑張ります……」
ナイナの顔は引きつったままだった。
ノリスが仲間になったのは嬉しいだろうけど、ナイナが仲間のモンスターとやっていくのは時間かかるかもな……
騒々しい食事も落ち着いてきて、みんなゆっくりし始めた。
俺はずっとヤマトの事が頭から離れなかった。
「なぁ、ソウルガンドではヤマトの話はでなかったのか?」
フランとセリルはそれぞれモンスターと遊んでいたが手を止めた。
「うーん、キエルさんとヅィリィさんがお城の事とヤマトおにぃちゃんの話をしてたんだけど、ちゃんとは聴けなかったの……」
「私達がヤマトおにぃちゃんの話を聴こうとすると、ヅィリィさん起こるんだもん」
残念だけど、2人からは特別情報は得られないか……
「お城を襲ったモンスターについてなんですけど……」
ナイナが話しだした。
「実はあのモンスター、あれだけ暴れてたのに死者が1人もいなかったんです」
「えっ? じゃあディスティーも無事だったのか?」
「はい、ディスティー様もしばらくしたら気が付き、後遺症などもない様子でした」
「さすが、頑丈だな……」
ヤマトは、あんな現れ方をしたのに全員に手加減をして戦っていたってことか……?
ヤマトといい、ソウルガンドといい、何が目的なんだ……
「ところでさ、ヤマトがいたして、もしヤヨイが帰りたくないって言ったらどうするの?」
確かに……あり得ない話じゃない。
ヤヨイとヤマトってどういう関係なんだ?
少なくともヤヨイはヤマトを探すために旅をしてたってくらいにはヤマトの事を思ってはいたみたいだけど……
姿はモンスターになってしまったけど、言葉もおそらく通じるみたいだし、ヤマトと離れたくないっていう可能性もあるか……
でも……
「俺はヤヨイに会って話をして、俺やみんなの気持ちを伝えようと思う。 そこでヤヨイが戻ってこない選択をするようなら……残念だけど、ヤヨイの気持ちを尊重したい」
「迎えに行ってもヤヨイおねぇちゃん、帰ってこないかもしれないの……?」
セリルの顔がすごく悲しそうだ。
「もちろん、帰って来ればベストだけど、ヤヨイが選んだ道を選ばせてやりたいしな、まずはヤマトがどんな奴なのかちゃんと会ってみないとわからないけどな」
そう、すべてはヤマト次第だ……
いればの話だけど。
「やっぱり戦う事になってしまうんですかね……」
ナイナは悩んでいそうだった、本心では絶対迎えに行きたいんだろうけど、戦闘があれば何もできないナイナには荷が重過ぎる。
「戦う可能性は十分にあるだろうな……」
ナイナにはまた留守番をしてて貰うことになってしまうだらうな……
1人にさせるのは怖いからフランかセリルのどちらかに残ってて貰いたいけど、今回はどっちも付いてきたいだろうし、どうするかな……
「こんな時こそ、うちのシュシュラベル=ドリーレミィちゃんの出番ね!」
シュシュラベル=ドリーレミィ、どっちのモンスターのことだったっけな?
ナイナの顔が青ざめた。
「この子意外と頭もよくて、防御力も高いからボデォガードにピッタリだよ!」
スライムがナイナに向かっていく、そっか、こっちがシュシュラベルって方か。
「えええええぇぇぇぇぇ……」
「ナイナ……大丈夫そうか?」
「ノ、ノリスさんがいい子だっていうのなら……信じます……本当は付いていきたいですけど、足手まといになる訳にはいかないんで……」
そうは言ってもナイナの顔は引きつっていいた…
テイマーになったはずが女の子が懐くことになってしまいました ゆに @uni-syouseru
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