第39話 フランとセリルが強くなったみたいです

拠点にフランとセリル、それにナイナも戻ってきてくれてた!


もう会えないとどこかで思ってた……

本当にたまらなく嬉しい。


「俺が頼りなくてごめんな。 これからはもっとしっかりみんなを守ってみせるから」


「「「守る……?」」」


3人とも首を傾げた。

全然俺に守られてるなんて気持ちなかったみたいだ……


「ロジカはお城での出来事があってからずっと自分を攻めてたの……俺がみんなを守れなかったからこんなことになったって」


「えぇ、私達ロジカおにいちゃんに守ってもらってたの!?」


ノリスの説明を聞いてセリルが、必要以上に驚いていた。


そんなリアクションされると1人で舞い上がってたみたいで恥ずかしいだろ……


「俺はただ、テイムしたからにはみんなを守っていこうと思って……」


3人互いに顔を見合わせる。


フランが我慢できない様子で吹き出すと3人で一斉に笑い出した……


何が面白いんだ……?


釣られてノリスも笑いだしてるし……



「ちょっと、なんなんだよ! みんな俺の事なんだと思ってたんだ!?」


3人とも笑うのをやめて考え出した。


「う〜ん……たまに怒る優しいおにぃちゃん?」


「じゃあ私はね、よくヤヨイおねぇちゃんと一緒にナイナおねぇちゃんと怒られてるおにいちゃん!」


なんだそりゃ……


「えぇっと、ロジカさんはいつも私達に振り回されてるけど、頑張ってる人……ですかね」



ノリスがププッと吹き出した。


「散々ね、これで守ってるつもりだったの?」


「……」


恐らく俺の顔は恥ずかしさで、ゆでダコみたいに赤くなってるだろう……


なんか、前と全く一緒だ。

俺だけがナーバスになってただけで、みんな俺に愛想をつかした訳じゃなかったんだ……


守るなんて偉そうに宣言してたけど、俺はみんなに支えて、守って貰ってたのかもしれないな……


「ノリスさんもこれからは一緒に居てくれるのですか?」


「うん、本当はロジカが1人でみんなを探すのは大変だろうから協力するつもりなだけだったんだけど。 こうなったらお世話になっちゃおうかな、よろしくね!」


「「やったぁ! ノリスおねぇちゃんも一緒に暮らせるんだぁ!」」



ナイナとフラン、セリルはノリスを歓迎してくれた。

これで今まで以上に楽しい日々になるぞ。


あとはヤヨイがいてくれれば……



「ヤヨイは戻って来ませんでしたね……」


ヤマトに連れていかれたヤヨイはまだ帰ってこれないか……

無事であって欲しいけど……


「たくさん心配かけて、帰ってきたら沢山言いたいことがあるんだから……」


ナイナがヤヨイを心配してつぶやいている。

世話焼きなナイナはいつもヤヨイに文句をいってたけど、その分ヤヨイへの思いも強いんだろうな……

でも、それは同じだ。



「ヤヨイおねぇちゃんのことなんだけどね」


フランが服の中をガサガサと漁りだし紙きれを取り出した。


フランから受け取った紙を見てみると手書きの地図が丁寧に書かれている。


街の近くにある森の奥の方に×印がされている。


「これは?」


「キエルさんがね、ここにヤマトがいるんじゃないかって渡してくれたの」


キエル……ヅィリィと一緒にいたソウルガンドのリーダー。


「え……っと聴きたいことは沢山あるけど、なんでキエルがこれをくれるんだ? そもそも、2人とも普通に帰ってこれたのか?」


「うん、ソウルガンドのみんな元気そうだったよ」


「じゃあ行ってくるね、って言って普通にここまで戻ってこれたの」


どういうことだ……?


「じゃあ……なんでキエルはフランとセリルを連れて行ったんだ?」


フランとセリルは自身の両手を見つめた。


「キエルさんがね、せっかく魔法がちゃんと使えるようになったんだから、もっと契約しといた方がいいって言って沢山魔法の契約をさせてくれたんだよ」


「契約? 魔法を使うのって何か必要なんだな」


「うん、精霊様の泉に行ってお願いするの」


「そこでジョブを授かる時と同じように精霊様に魔法を使えるようにしてくださいってお願いして、契約してもらうんだよ」


「へぇ、じゃあ2人とも前よりも沢山の魔法が使えるようになったんだな」


「「うん!」」

2人とも嬉しそうに元気な返事をした。



「今まではファイアとか、ヒーリングとかの初期魔法しか使えなかったんだけど、上位魔法が使えるようになったんだよ!」


「あとね、それだけじゃないんだよ!」


「上位魔法以外にもできるようになったことが? すごいな、どんなことなんだ?」


「えへへ、それは本番までのお、た、の、し、み」


うれしそうだなぁ、よっぽとすごいものに違いない。


「まさか合体魔法とかできちゃったりするんじゃ……?」


安直だし、まさかそんな事じゃないだろうけどな……


「「あー!!」」


図星だったみたいだ……



「すごいじゃない、合体魔法なんてあるのね」


俺が当ててしまって落ち込んでるフランとセリルにナイナがすかさずフォローを入れる。


「うん、お互いの息が合ってないと使えないすごいら魔法なんだって! ヅィリィさんも使えないんだよ」


ナイスフォローだナイナ! 2人の機嫌は悪くならずな済んだ!


「……キエルはなんでそこまでやってくれたんだろうな?」


ソウルガンドの印象ってはじめにヅィリィに会ったから悪いイメージがあったけど、そういう訳でもないのか……?


帰った2人も割と受け入れられたみたいだし、幽閉されるでもなく、簡単に帰ってこれた。


「これから、大変になるだろうからしっかりロジカおにいちゃんの力になってやれってキエルさんは言ってたよ」


「ヅィリィさんはずっと必要ないって文句言ってたけどね……」


やっぱりヅィリィはそういう奴なんだな……


キエルはひとまず俺の力になってくれようとしてる、と思ってよさそうだ。


これから大変になる……ってことは渡されたメモの場所に行ったら戦いになる可能性が高いって事だろうな……


相手はヤマト……


1人で城を壊滅寸前まで追い込んだ奴とこれから戦うかもしれないのか……

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