貴方と出会って、運命を感じて・・・

 幼い頃から、一人でいる時間が長かった。

 家政婦さんが相手をしてくれる時もあったけど、仕事の邪魔になるからと私から断った。

 お父様もお母様も、二人共仕事で忙しいのは分かっていた。

 だから、迷惑を掛けない様に特別甘えたり、我儘を言った事なんて無かった。

 学校へ行けば、友達と楽しくお話したりできるし、勉強も将来の事を考えると苦には感じなかった。

 けれど、家に帰ればまた寂しさが襲ってくる。

 それをずっと繰り返していた。

 いつかこの寂しさにも慣れてしまう時が来るんだろうって……そう思っていたら、貴方と出会った。

 家への帰り道にある公園。

 その公園の隅にあるベンチに、いつからか貴方はいた。

 初めて見た時に、良く分からない感じが心に湧いてきた。

 興味本位に声を掛けてはいけないと思って、遠くから眺めるようになっていった。

 名前も知らない、どこに住んでいるのかも分からない。

 でも、この公園に来れば、貴方はいつもそこにいた。

 貴方を見ていると、何故かその時だけは寂しさが消えてなくなっている事に気付いた。

 家に居る時でも貴方の顔が見たくて、こっそり写真を撮ったりもした。

 一枚じゃ足りないと思って、沢山撮った。

 写真を撮るのに夢中で着いて行ったら、貴方の家も知る事ができた。

 それから毎日が楽しくて楽しくて……でも、やっぱり物足りない時があって……。

 ある日、眺めているだけじゃ嫌になって、声を掛けようとしたら、貴方から声を掛けてくれた。

 私が日本語を話せるって知らないから、必死になってどう言おうか考えている貴方を見て、笑いを堪えるのが大変だった。

 無逃繋様。

 それが貴方の名前だと分かって、何度も何度も口にして確かめた。

 話しているだけで、とても安心できた。

 それからは毎日毎日、繋様よりも先に待っているのが当たり前になった。

 お互いの事を良く知るためにも、色んな事をお話した。

 繋様の事を知っていく内に、気付いた。

 これは運命だ。

 私の今までの人生は、繋様に出会うためのものだったんだって思った。

 寂しさを我慢したのも繋様と一緒にいる為。

 日本に来たのも繋様に出会う為。

 そう思えるのは――――――私が繋様の事を、愛しているから❤

 いつからとか、理由とか、そんなもの必要ない。

 一目見てこの人だって感じたんだから、それが全て。

 私の全てをこの人に捧げよう。

 だから、この人の全ても……私が貰う❤


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 何度も何度も何度も、繋様を誘って、今日やっと私の家に来てくれる事になった。

 生まれて初めて、我儘の様な事を言っていたかもしれない。

 少しの時間も無駄にしたく無かったから、繋様の手を引いて家まで向かった。

 繋いだ手はとても温かくて、二度と離したく無いと思った。

 そう言えば、繋様は今、仕事を探していると話していた……大丈夫、私が養ってあげます❤

 その為にも、早く家に行きましょう❤


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 私の部屋で、繋様が待っている。


 「もう、写真見てくれたかな❤」


 私がどれだけ繋様の事を愛しているか、分かる様に机の上に置いていた写真立て。

 それと、見上げた先にある……。

 繋様がどういう反応をしてくれるかとても楽しみで仕方がない。


 「飲み物とお菓子と……あっ! いけないいけない、これも持って行かなくちゃ!」


 用意しておいた手錠とお薬も持って、二階に上がる。

 もしも、繋様が帰るなんて言い出したら困るから、その時の保険。

 これからはここが繋様の家になるんだから、分かってくれると思うけど、念の為。


 「家政婦さんには私の部屋には入らない様に言って、お父様とお母様にも紹介しなくちゃ」


 その時が楽しみですね、繋様❤

 階段を上がって、自室の前まで来た。

 中に入れば、そこは私と繋様の二人だけの空間になる。

 それを考えただけで、体が疼いて仕方がない。

 中から音がした。

 繋様も、私に気付いてくれたのかな……嬉しいなぁ❤

 私も、繋様に声を掛けた。



 「お待たせしました、繋様❤」


 愛する貴方へ、この気持ちはきっと届きますよね❤

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