水曜日のアイスティー

宇佐美真里

水曜日のアイスティー

週に一度の水曜日…。

改札を抜け、駅ビルの中にあるバイト先へと早足に向かう。


だが、そのままバイト先には向かわずに…ボクは、

店先で「おはようございます!」とひと声だけ挨拶すると、

そのまま向かいのカフェへと入って行く。

そして、いつもの様に窓際の席へと腰を下ろす。

ガラス越しには、バイト先の二軒隣にある洋服屋が見えた。


週に一度の水曜日…。

この日だけ、その洋服屋に居るカノジョ…。

カノジョもきっとアルバイト。

週三シフトのボクなのに、たった…この一日だけ…水曜日にしか、

カノジョには、お目にかかれない…。

タイムカードを押して二時間後にボクが貰える休憩の頃には、既にカノジョの姿は消えている。


そんな"水曜日のカノジョ"…。

背の低いカノジョがお店中に振りまく笑顔は、

大輪の向日葵の様に、いつも周囲の雰囲気をパッと明るくさせていた。


そして…、

カノジョの笑顔を眺めながらのアイスティーが、


    カラカラ…と


氷だけの音になる頃に…、

「さぁ、行こうかっ!」と充電を終え、ボクは席を立ち上がる。

これが水曜日…バイトの前の、いつもお決まりの十分間。

そう…それは…たったの十分間……。

それでも…カノジョの"満面の笑み"がボクをいつも"満充電"にしてくれる…。



-了-

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水曜日のアイスティー 宇佐美真里 @ottoleaf

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