花の香りが死ぬ前に、ジャスミン茶

 見えないものを、見ようとすること

 花の匂いが死んでいくこと

 私が1本書き上げたいこと

 誰もいないところに立っているのに

 タバコの匂いがする

 ずっと誰かに見られている

 何がいいかなんて、誰にも分からない

 私が花が死ぬ前に何をしたいのか

 空が青くても、春が来ていても

 何も無いって思えるのが1番辛いこと?

 何を見て、私は感動するのだろう


 ジャスミン茶のペットボトルが、何本も転がっている。

 ジャスミンの香りは甘美であり、中毒性があると勝手に思っていた。

 私はこのお茶に乗って、どこまでも遠くへ、流されていくのではないか。

 天の川を思い出しながら、私は思考する。

 あそこは、水素の匂いに溢れていたので、こちらは迷わず花の香りだ。泳ぐ魚も、淡い色の淡水魚で、瞳がキラキラと輝いている。

 川岸に咲く花は、触れない。触れたら最後、このお茶は濁るだろう。


 きっと海も違う。海は、恐ろしい。

 私は何度も、夢の中で、虚ろな瞳の魚に出くわした。イカも、サメも、クジラでさえ、怖くて仕方ないのだ。

 だから、ジャスミンの川がいい。とても美しい。単価が安かろうが、花が咲く工芸だろうが、ジャスミン茶に変わりはない。

 あぁ、どうして私はここにいるのだろう。

 捨てるのが手間で、どうしても溜まりがちなペットボトルを、私はどうしようもなく眺めていた。

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掌握寄せ集め 空付 碧 @learine

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