異世界では許しません

@zakiso

第1話

「入れてくれよ!」

「だから、ここは転生者と召喚者しか入ることの出来ないギルドなんだよ、グレン」

「何であいつら略奪者チーターが優遇されんだよ!」

「おい、やめろ。それは禁句だぞ!」


 ギルドの入り口で三人の男が揉めている。二人の門番が一人の男を押しとどめているようだ。


「おいおい、ここは託児所だったかぁ?」


 大柄の男が二人の女を連れてゆっくり近づいてくる。言葉にはあからさまな侮蔑が含まれていた。


「こ、これは、アーサソール様。どうかされましたでしょうか」

「いや、ギルドの方に用があったんだけどなあ。道端にNPC《ゴミ》が転がってたから、気になってなあ」

「も、申し訳ありません。お見苦しいものを…」


 そう言って二人の門番は頭を下げる。


「(お前も頭を下げろ!)」


 一人の門番が無理矢理グレンと呼ばれた男の頭を押さえつける。


「何すんだっ」

「(いいから!)」

「よ〜し、許す。なあんて言うと思ったか?」


 アーサソールはグレンに蹴りを入れる。グレンは腹を抱えて倒れた。


「て、てめえ…」

「そんなに急ぐなよ。すぐ殺してやるからさあ」


 みかねて横から女たちが口を挟む。


「ソールさま〜、まだ行かないの〜?」

「わたし〜、お腹すいちゃった〜」

「よ〜し。じゃあ今日は中心街の宿に行くか〜」


 先ほどとは全く違う態度でアーサソールは女と会話する。


「また、あそこ〜?ヤリたいだけでしょ〜」

「いいじゃねえか。この世界の奴らじゃできないようなことしてやるよ〜」

「ちょっと〜どこ触ってんの〜」


 そうして、アーサソールたちは去っていった。


「なんとか助かったな。あの二人には感謝しないと」

「なんであのビッチどもに感謝しないといけないんだよ」

「あの二人がアーサソール様の意識を逸らしてくれたんからだろ?」

「媚びるしか能がないだけだろ、あんな奴ら」

「この世界に適応しようとしてる奴をバカにするな、グレン」

「お前らは悔しく無いのかよ。略奪者チーターの言いなりになって!」

「悔しい、悔しくないの話じゃない。受け入れるしかないんだよ」

「チッ。………今日は帰る」

「明日は来んなよ、絶対に」


 グレンは薄暗い道を一人で歩く。後ろから追ってくる人影を警戒しながら。

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