第2話 地球発、異世界生きの列車に乗っちゃった

 気が付くと数十人にに囲まれていた。


「うわぁぁぁぁ」


 びっくりした。寝起きドッキリみたいなことするなよ。寝起きに人がいるって結構怖いからな。

 隣ではななみが寝ている。気を失っているといった方が正しいのか?

 とりあえず、状況確認をしなければならない。焦るな。落ち着け。

 まずは、周りを見てみる。

 石造りの部屋で、床には直径5メートルくらいの謎の魔法陣的なものが描いてある。その真ん中に俺とななみがいる。

 魔方陣の外側には十五、六人の大人がいた。最初に目に入ったのは、ローブを着ていら人たちだ。フードをかぶっていて顔が見えずらい杖を持った人が10人くらいいる。年齢はまばらで80代くらいもいれば二十代くらいの人もいる。

 後ろの方には、王冠を被った人がいた。威厳のある立ち方。cv大塚明夫のような顔。完全に王様だ。

 

 「うわっ!」


振り向くとななみが起きていた。

「えっえ、え」

だいぶ、驚いてるいるようだ。


数秒後


「これってあれだよね」


ななみが喋りかけてくる。


「あれしかないな」


「「異世界転移」」


 でしょうね。誰だって同じ結論に辿り着くわ。

 

 ローブを着た老人が私たちに近寄って来る。

 老人は二つの指輪を差し出してきた。

 付けろということなのだろう。

 これが呪いの指輪たかかもしれないということを考えたが、異世界転移特典のチート能力が確認できない以上俺たちが拒否して相手の機嫌を損ねると殺されかねない。

 ななみが俺の様子を見ている。俺の判断を待っているのだろうか。

 俺はうなずいた。

 俺たちは、警戒しながらも指輪をつける。

 

「どうだ。言葉がわかるようになったか?」


老人が喋りかけてきた。聞こえてくるのは日本語ではない。でも、意味だけが頭の中で伝わってくるようだ。

 翻訳の魔術具ってところか。

 しかし、周りの人たちはぼそぼそしゃべっている声は翻訳されていない。多分、意識が向いている相手の身に聞こえる仕様なのか、俺たちに聞かれないように意識的に除外しているのかもしれない。


「あっ、はい」


「私も聞こえます」


「そうか」


 老人は魔方陣の外へと戻っていく。入れ違いで王様が魔方陣の中へと入ってくる。


「勇者よ。まず名を聞こう」


 あ、そういうパターンね。まあ、勇者として呼ばれたんだ。どうせ魔王を倒せとかだろう。


「えっと、私は・・・」


ななかが答えようとしたので、少し肩を当てて止める。

(おい、本名言うなよ。デス〇ート的なものがあったら殺されるだろ。なんか、偽名にしておけ)

ななみはうなずく。


小鳥遊たかなし・・・小鳥遊花音たかなしかのん


うわ、アニメ丸出しの名前だな。しかも、小鳥遊って絶対アニメ見てないと読めねえだろ。

 ななみの自己紹介が終わって、次は俺の番だと心も準備をしていると、ななかがつづけて話し出した。


 「そして彼の名は那狼なろうケイ」


 え、ちょっと待ていぃぃぃぃ!

 人の名前勝手に決めるなよ。

 RPGとかだと名前が重要なんだぞ。ああああとかだったら、ラスボス戦の時に気分が冷めるだろうが。なろうけいって。

 ランキングに異世界しか入らないような某サイトの名前じゃねえか!

 

「おぬしたち、家名が先なのか?」


「はい」


 人の名前勝手に決めてをいて、さっさと話しを先に進めんじゃねえよ。

 完全にななかはこの厳粛な雰囲気に慣れいる。もはやRPG気分。

 

「では、本題に入ろう」


 あ、もう名前変更できる感じじゃない。

 ダサいきらきらネームをつけられて子供の気持ちってこんなのかな。


「勇者小鳥遊、勇者那狼を呼んだ理由は100年周期で魔王の力が増幅する時と、封印の力が弱まる時が重なる。その時、魔王が復活するであろう。今から十年後に訪れる魔王の復活を阻止してほしいのじゃ。」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


 変な間が流れる。

 え、これで終わり?


「あの、どうやって封印をすればいいのでしょうか」


「そうじゃ、それを教えるのを忘れておった。各地にいる仲間を集めて、魔法で封印してほしい。詳細なやり方は100年前の勇者ああああが書物にして残しておいてくれたのでそれを見てほしい。」


 勇者ああああって適当な名前言い過ぎだろ。よくそれで通したな。どうせ、ああああの作った書物なんてあてにできるのか?とりあえず、レベルを上げて物理で殴れ程度のアドバイスしかないかもしれないな。


 使用人が、大きな箱を持ってきた。鍵が二重にかかっていて、かなり厳重だ。

 これはやばいそうだ。

 何か集めないと見れない程度だったら問題ないけど、読んだものの力を試すみたいなものだったら、どうしよう。死ぬ可能性もあるよな。ああああに殺されるのだけは絶対に嫌だな。

 ななみも不安そうな顔をしている。

 ガチャ

 箱が開く。

 中にはいていたものは、ものすごい見慣れたものだった。

 c〇mpusって書いてある。しかも、右下にちっちゃくK〇KUYO書いてあるし。

 完全に市販のノートじゃねえか。

 緊張してばかみたいだ。


「これは100年前に研究されていたがまったく文字が読めない。少なくても3種類以上の文字が使われているとくらいしかわからなかった。勇者にしかわからない難解な言語なのだろう。勇者にしか扱えない知識というものがあるのかもしれない。下手に読み解こうとすると神の怒りに触れると思い、私の父、先代の王が今まで封印してきた。」


 俺はノートをとり、最初のページから呼んでいく。


 はじめに sorry, japanese only

 多分戸惑っていると思うけど、落ち着いてね。あなたたちは異世界転移しました。ここは剣と魔法のファンタジー世界と言ったらわかりますか。ド〇クエと言っといった方が分かりやすいですか。とりあえず、この本が手元にあるということは、きっちりと王が仕事を遂行してくれたということです。君たちを何かに利用するならこのノートを決して見せなかったでしょう。なので、王を信頼してくれて大丈夫です。

 多分、魔王を封印しろとか言われたのでしょう。そんなに難しいことではありません。旅をして仲間を集めて、魔王が封印されている地に向かい、魔方陣に魔力を流しこむだけです。(詳しい方法は39ページ)

 勇者として召喚されたあなたたちならだれにも負けないほどの魔力があるはずです。召喚時に必要な魔力のほとんどはあなたたちから出されたものです。明日にでも魔法を打ってみればわかります。(詳しい方法は10ページ)

 いろいろなことがありますが要は慣れです。そんなに不安にならないでください。


 攻略本よりも丁寧だな。勇者ああああのくせに。しかも、精神的なケアもしっかりしている。それに、japanes only って昔のブログかよ。

 まあ、これを読んで安心したのも確かだ。訳の分からない場所に放り出されたら誰だって不安になる。

 ななみもこれを読んで少しは安心したようだ。

 

「とりあえず、いろいろ疲れたであろう。今日は休むとよい。使用人に案内させよう。」


 一人の侍女が俺たちの前に来てお辞儀をした。

 うわぉ、メイド服だ。コスプレじゃなくてマジものだ。やっぱりコスプレじゃ表現できない立ち振る舞いがある。すげえ。それに、金髪のロングだ。まさにメイド。


「きれい」


 ななみもは思ったことが口から洩れていた。


「使用人のメアリーと申します。御用の際はなんなりとお申し付けください。では、寝室のほうへと案内させていただきます。」


 きれいな侍女に案内されて、囲まれた人々を抜けて、この石造りの部屋を出た。


 


 

 



 


 




 

 

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オタクな私たちは異世界で戸惑いません red-panda @red-panda

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