寺尾勇(美学者)を彷彿とさせる秀逸な文章で、文明を支える「知」の本質とその儚さが綴られていく。作者は我々に問いかける。パンドラの箱が象徴するものは箱の底に残ったものの価値ではなく、飛び去っていったものの価値ではないかと。(勝手な解釈です。すみません)文明の底に潜む滅びの遺伝子をさりげなく解き明かした最後の三行には心底感動しました。